前回、辞めて良かったこと5選を書いたので、今回は辞めて後悔したことを書いていこうと思います。
グラフィックデザイナーのお仕事はやりがいはありましたが、決して楽しいことばかりではありません。
どのお仕事にも共通しているかも知れませんが、苦しいことやツライことを乗り越えて、初めて楽しさや達成感を得られる時もあります。
ただ、あまりにもツライことを我慢し続けて、身体を壊してしまっては元も子もありません。
「やっぱり続けていればよかったかなあ」と、辞めてから後悔する人が居ないよう、自分が感じたことをそのまま書いてみようと思います。
本当はよかったことと同じように5選をピックアップしようとしたのですが、そこまで後悔したことが自分は無かったので3選にしました。
今後、気づいたことがあれば追加していきたいと思いいます。
やはり、辞めてみて初めて気づいたことや感じたこともあるので、ぜひ参考にしてみたください。
グラフィックデザイナーを辞めて後悔した事、3選。
ここでは、僕がグラフィックデザイナーを辞めて後悔した事を3つまとめました。多少の後悔はあったものの、事務職に就いた今となっては、懐かしい感覚となっています。
- 業界から離れたことで、デザイン力が確実に落ちていく
- 長い間デザインに掛けてきた時間やお金を無駄したという虚無感に襲われる
- 一緒に過ごしたデザイン学校の同期と会いづらくなる
辞めた直後は「本当に自分は正しい選択をしたのだろうか?」と、不安に感じることもありましたが、結論からお伝えすると何ら問題ありませんでした。
それでは、順番に見ていきましょう。
業界から離れたことで、デザイン力が確実に落ちていく
グラフィックデザイナーを辞めてすぐの頃は、業界誌を読んでいても話の内容に、ある程度はついていくことができました。
ところが、1年、2年、3年・・・と時間が経過していくと、段々とデザイン業界に疎くなってきます。
当たり前といえば当たり前なのですが、仕事を離れてしまうと、情報を集める手段が格段に減ります。
業界誌として、「デザインノート」や「ブレーン」などの有名なデザイン本や広告専門誌などが本屋でも売られていますが、仕事として接していないと購入してもそれを活かす方法がほとんどありません。
内容もかなりコアな内容なので自分の中では、普段自分が接していない世界の話として面白おかしく読むエンターテイメント本としての要素が強くなってきました。
もし、デザイン業界に居続けていれば、そういった専門誌も情報収集の媒体として利用し続けていたのではないかと思いますが、専門誌というのは幾分他の雑誌よりも値段が高く、毎月購入するのはかなりハードルが高いです。
ましてや、仕事で直接接していない訳ですから、段々とそこにお金をかける必要があるのか??という疑問を抱くようになってきます。
もちろん、趣味でデザインを続けていくならば、自分のデザイン力を維持していくために購入し続けても良いとは思うのですが、やはり実戦に勝るものはありません。
そういった意味では、Adobeのイラストレーターやフォトショップのソフトなども、かなり高額なものとなるので、個人で購入するには、とてもハードルが高いです。
今は全てクリエイティブクラウドと呼ばれるバージョンのCCに移行していると思いますが、毎日使用する訳ではないソフトに、サブスクで毎月定額料金を払い続けるのはかなり負担がかかります。
ただし、アドバンスクールオンラインのように、学割価格でAdobeのソフトを購入できて講座も受講できるスクールも存在します。
他にも現在はイラストレーターやフォトショップ以外にも、それと似たCANVAのようなアプリケーションを無料で使えたりするものがあるので、そちらを利用する手もあります。
まあ、もともとイラストレーターのソフトを使用できる方は、逆にCANVAのようなアプリケーションは使いづらいかも知れませんが。
0から何かを作り出すより、テンプレートを利用しながら組み合わせて作成する手法を求めるならCANVAは重宝するソフトになると思います。
ただ、趣味でデザインを続けていくことになったとしても、きちんとデザインの勉強をしていた方であれば、ある程度プロと同じ土俵で闘うことも可能。
本業以外の場所で、自分のデザインの力を維持する方法や向上させる方法については、他の記事で紹介しています。
長い間デザインに掛けてきた時間やお金を無駄したという虚無感に襲われる
デザインの勉強をしてきた方なら分かると思いますが、デザイン学習には膨大な時間とお金が掛かります。
美大やデザイン学校受験のためのアトリエの学費、晴れて美術系の学校に入学できたとしても授業料や画材に多くの資金を必要とします。
他にも画材や美術館を訪れるための入場料や交通費、パソコンや専門ソフトの購入費用、カメラやその機材などなど、数え上げればキリがありません。
ともかく、就職する前段階で最低限のデザイン能力を取得するために沢山の時間と費用をかけている訳です。
その後、無事にデザイナーとして就職できたとしても、最初は見習いということで一般的なサラリーマンの初任給に比べて低いことが多く、過酷な労働条件を強いられることもあります。
そこまでして、ようやくなることができたデザイナーという立場を捨てて、新しい道を新たに模索するというのはかなり勇気のいる決断であると思います。
自分の場合は幸か不幸か、心身に不調をきたしたため、自分の意思とは関係なく辞めざるを得ない状況に追い込まれました。
そのため、過去に自分が努力してきた時間や掛けてきたお金のことよりも、自分が最も安全に過ごせる場所を本能的に選ばざるを得ないという結果になったと言えます。
そういった意味では、そこまで追い込まれた状況にならない限り、なかなかデザイナーという職業を辞めるという決断をすることが難しいといえます。
本来は自分が好きで目指していた職業ですし、好きなことを仕事として続けることが出来たらそれが一番幸せなことであるはずです。
けれども。世の中、そういった純粋な思いを踏みにじるような酷い会社も沢山あります。世間一般的には「やりがい搾取」と呼ばれてるような場所です。
運悪くそういった会社に就職してしまった僕と同じような環境にある方は、決して無理をしないで自分の健康を一番に考えた行動をして欲しいと強く思います。
生きていれば、またやり直すチャンスはいくらでもあります。本当に辛いときは、全力で逃げてください。逃げた後でも、他の選択肢が今の世の中には沢山あります。
ですが、辞めるという選択肢を取ってしまうと、猛烈な虚無感に襲われるかもしれません。無理して長期間、自分が苦しいと感じていることを続ける必要はありません。
一次的な虚無感は、新しく自分に適した場所が見つかれば、時間が少しずつ解消してくれます。これは自分自信が実感しているので、間違いありません。
向いていないと思ったら一旦はその環境に居続けることは辞めて、また新しいことに挑戦して道を切り拓いていけばOKだと僕は思うのです。
ぜひ、自分自身や自分の周りにいる大事な人のことを最優先に考えて決断をして欲しいな、と思います。
一緒に過ごしたデザイン学校の同期と会いづらくなる
僕がグラフィックデザイナーを辞めた直後は、デザインの学校で切磋琢磨した仲間、友人と会いづらくなったというのも後悔したことの一つ。
みんな、好きなことを仕事にして一生懸命頑張っている中、自分だけが取り残されたような気持ちになりました。
あんなに一緒に頑張って課題をこなしてきたし、あんなに一緒にデザイン論について語り合ったのに…
まるで世界で自分だけが取り残されたような感覚に陥りました。
辞めてからは何をするでもなく、特に忙しいわけでもないのですが、自然と同窓会には参加しづらくなり、何年間か参加を見送っていました。
何年か経過すると、同級生もそれぞれの人生でそれぞれの選択をする時期となり(結婚や転職など)、自分と同じようにデザイナーを辞めて別の道を歩み始める人もいました。
周りで徐々にそういった友人が増えてくると、だんだんとデザイナーを辞めて全く畑違いの職業についたことも気にならなくなってくるのですが、最初の数年間は本当に辛かったのを覚えています。
仲がとても良かった友人の結婚式も、本当は参加したかったのに、参加できなかった期間もありました。一生に一回のことだから・・・と自分に言い聞かせましたが、やはりどうしてもそんな気分になれませんでした。
会えば必ず「今、何してるの?」と必ず近況報告の話題になると分かっていたからです。
本当は周りはあまりそこまで気にしていないような気がします。
むしろアラフォー世代になった今、同級生に会った時に「自分は今、事務員として働いているよ」と言うと逆に羨ましがられることがあります。
デザイナーの仕事は労働時間が不規則になることが多いので、どんなに好きな仕事とはいえ、ツライ瞬間があります。
土日確実に休めて、規則的な生活リズムで過ごせる働き方というのは、やはり魅力的に映るようです。
逆に自分から「転職は考えなかったの?」と同級生に聞いてみると、「自分にはデザインの道しか無かったから」という回答が返ってきました。
自分と同級生だと、同じようにもうすぐアラフォー世代の仲間入り。
確かにこの年齢から全く違う分野の職種に転職するというのは至難の業と言えるのかもしれません。
自分は27歳の時にデザインの世界から離脱してしまったので、25〜35歳までの転職市場の波に運良く乗れたというのもあります。
もし軌道修正をするなら、やはり早くに決断するのがいいのかもしれません。
ただ、今の時代は年齢だけで門前払いになる会社は少なくなってきているような気がします。
就職支援センターでも、ミドルエイジの就職活動を応援するようなサポート体制があるので、結局は自分がその年齢までにどんなことをやってきたか?ということの方が重要な気がします
他にも公務員や公益財団法人の職員になるという道もあります。
年齢制限の区切りなどが無ければ、基本的にはそういった職種は、多種多様な人材を獲得するために幅広く門戸を開いているので選択肢の一つとして考えていくのも良いのでなないかと思います。
グラフィックデザイナーを辞めて後悔したことを振り返って
以上、自分がグラフィックデザイナーを辞めて後悔したこと3選を見てきましたが、いずれも時間が解決してくれる問題の方が多いですね。
デザイン力の低下については、流石に本業でやっている方には技術的には敵わないところがあるのは事実です。他にも、段々と使用していないイラストレーターやフォトショップのショートカットキーを忘れてしまったり(苦笑)
ただ一度は後悔することになったとしても、27歳当時の自分の決断は間違っていなかったと胸を張って言うことができます。
もしあのまま無理をしてグラフィックデザイナーを続けていたら、確実に心身はズタボロになって鬱病がさらに悪化していたと思います。
社会復帰もままならず、病状が悪化していた場合は、最悪、命を落としていたかもしれません。自分の体や心の異常に気づき、辞めるという大きな決断をした当時の自分を褒めてあげたいと、今でも僕は思っています。
実際にデザイナーを辞めて、今の職業についてから僕の生活は一変しました。楽しいことも、嫌なこともたくさんありましたが、デザイナーとして無理をして働いていた時よりも確実に充実した時間を過ごせています。
今の環境を変えたいと思っている方は、良かったことと、後悔したこと、僕の両方の記事を見てもらって、自分が何に重きを置いているか考えるきっかけにして欲しいと思います。
その結果、やはりデザイナーで居続ける選択をする、というのも間違った選択ではないと思いますし、むしろ充分に熟慮した結果であれば、その道が正解である可能性が高いです。
一方で、本当は辛いと身体や心が悲鳴をあげているにもかかわらず、
「自分が好きでやっていることだから」
「今まで沢山の時間やお金を掛けてきたから」
という理由で何となく続けているのであれば、もう一度将来自分がどんな風に働きたいかを考えて欲しいと思います。
本当に好きなことであれば、毎日職場に行くのが楽しくてワクワクするはずです。
そういった自分の素直な感情を道しるべにしても良いと思います。特にデザイナーを職業にしている方は感性で仕事をしているわけなので、自分自身の本当の感覚を大切にして欲しいな、と思います。
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