昨今、公務員試験で「デザイン・クリエイティブ枠」の事務職を募集する自治体が徐々に増加しています。
一般行政職の事務職とは異なり、入口の試験そのものが異なっており、自治体も柔軟な発想のできる人材を求めていることがうかがえます。
有名な所では神戸市や市川市などが数年前から、「クリエイティブ枠」の事務職を募集中。
今回はそんな自治体の中から富山県にある「高岡市」の職員採用試験について解説!
高岡市は令和5年度より、「デザイン・クリエイティブ業務」のできる事務職を募集しており、2023年11月30日まで募集受付をおこなっていました。
すでに募集は終了していますが、来年度も同様の試験がおこなわれることが想定されます。
この記事を読めば、高岡市の「デザイン・クリエイティブ業務」試験における、書類選考/筆記試験/面接試験についての具体的な対策方法を練ることができるでしょう。
ぜひ、記事を熟読して次回「デザイン・クリエイティブ業務」の採用試験で合格をつかみとってください!
ドラえもんの聖地、富山県にある高岡市ってどんな街??
画像引用:高岡市/藤子・F・不二雄先生のふるさと高岡へようこそ (city.takaoka.toyama.jp)
試験の概要を説明する前に、富山県高岡市がどんな街か簡単に触れておきたいと思います。
高岡市は富山県の北西部に位置する、人口17万人弱の都市。(2023年9月7日現在)
細かい市の説明は公式ホームページに譲るとして、ここではデザインやものづくりに関連する特徴を記していこうと思います。
高岡市は、『ドラえもん』の生みの親である藤子・F・不二雄先生の生まれ故郷で、20歳になって上京するまでこの町で暮らしていました。
ものづくりやデザイン教育などにも力を入れており、伝統文化・技術の継承、人材育成など活動も精力的におこなっています。
ふるさと納税の返礼品では、
- 伝統工芸の「高岡銅器」で作られた名刺入れ
- ドラえもんトラムプラレール
- 伝統産業である「鋳物」の加工技術でつくられたぐい吞
などのアイテムがラインナップされています。
こういった地域的な特徴からかんがみても、高岡市が「デザイン・クリエイティブ業務」の事務職を募集を始めたというのには納得がいきますね。
参考:高岡市/ふるさと納税(寄附金) (city.takaoka.toyama.jp)
ドラえもんの聖地、高岡市のデザイン・クリエイティブ試験の概要について
※現在は、公式ホームページから令和5年度のデザイン・クリエイティブ枠の採用情報はすべて削除されています。
高岡市職員採用試験の公式ホームページを見てみると、事務職(デザイン・クリエイティブ業務)の募集人数は大卒・社会人経験者ということですが、若干名ということで比較的狭き門のようです。
すでに情報が削除されてしまっているため、次回、募集があった時のためにこのブログで過去にどんな試験がおこなわれていたのかをチェックしておきましょう!
職務内容としては以下の通り。
デザイン・クリエイティブ分野に関わる企画・立案などを通じて産業支援業務等に従事するほか、産業振興等の関連事務を含む行政事務全般に従事する。
引用(リンク切れ):募集要項(通年上期)デザイン (city.takaoka.toyama.jp)
この文言を読んだ限りでは、自分で何かデザインをおこすというよりは、デザイン・クリエイティブ分野における企画・立案業務がメインのようですね。
そのうえで、あくまでも行政事務全般に従事するということなので、がっつりとクリエイティブな活動をおこなうというよりは、デザイン関連の知識を活かした仕事内容であると認識しておいた方が良いでしょう。
ただし、受験資格として、デザインのことをしっかりと学んできた人や、同等の資格を持っている人を求めているので、合格するためには専用の対策を講じておかなければなりません。
また、年齢制限として令和5年度の採用試験は「昭和 58 年4月2日以降に生まれた人」という制約がありましたので、その点にも注意です。
他にも、民間企業等での通算職務経験年数が3年以上あることなどの条件が記されているので、しっかりと募集要項を確認しておきましょう。
通常の公務員試験であれば、筆記試験対策に力を入れておけば一次試験を突破できるかもしれませんが、デザイン・クリエイティブ業務の採用試験では、選考時にアピールできる作品なども用意しておく必要があります。
なお、詳しい試験内容自体は以下のようになっておりますので、試験全体の概要をつかんでおくと良いでしょう。
試験の方法 | 内容 | |
第一次試験 | 教養試験(75分) | 公務員として必要な一般的知識及び知能について拓一式による試験 |
専門試験(60分) | 課題解決のための創造的かつ論理的な思考力、発想力及び言語化して伝える表現力に関する記述式による試験 | |
性格特性検査(20分) | 職務遂行に必要な素質、適正についての検査 | |
アピールシート※ | 試験申込時に提出されたアピールシートの内容について審査 | |
第二次試験 | 専門実技試験(120分) | 創造的思考力、発想力及び視覚化して伝える表現力に関するデザイン実技試験 |
口述試験 | 主として人柄、対人的能力などについて個別面接による試験 |
図表引用(リンク切れ):募集要項(通年上期)デザイン (city.takaoka.toyama.jp)
なお、高岡市の職員採用案内にもあるように、基本的には過去の試験問題は公表されていないので、募集要項などからどんな試験問題が出るか予測を立てる必要があります。
過去の職員採用試験の問題は、公表していますか?
⇒ 過去の試験問題は公表していません。試験科目については、「募集要項」でお知らせしています。
引用:令和5年度 高岡市職員採用案内
高岡市のデザイン・クリエイティブ試験の手続きについて
まず、前提とていデザイン・クリエイティブ枠の募集が毎年度おこなわれている訳ではないので、タイミングによっては募集が無いこともあります。
受験をするにあたって、まずはインターネット(電子申請)or郵送・持参のどちらかの方法で、申込手続きをおこなう必要があります。
必要なデータ等はすべて、高岡市の職員採用ホームページからデータをダウンロードできます。
郵送・持参の場合は以下4点のアイテムを準備しなければなりません。
- 高岡市職員採用試験申込書
- 職務経歴書
- 返信用封筒(長形3号)2通
- アピールシート(添付資料含む)
なお、インターネット申込みの場合は返信用封筒以外は、必要な書類を電子添付して手続きをおこないます。
ただし、アピールシートで映像作品などを収めたい場合は、電子申請の方を選んでURL等を記載しておくと良いかも知れません。
また、冊子やパンフレットなどの紙媒体に力を入れた作品を収めたい場合は、郵送・持参などの方が作品の魅力が伝わりやすくなるかも知れません。
どちらの方法も自由に選べますが、基本的には「自分自身」や「自分が作り出した作品」の強みを最大限アピールできる方法を選んだ方が良いでしょう。
とどのつまり、応募の段階からすでに採用試験は始まっているのです。
高岡市のデザイン・クリエイティブ試験の第一次試験
過去の試験問題は公表されてはいないものの、ある程度の予想を立てることは可能です。
先ほども確認したように、高岡市の事務職(デザイン・クリエイティブ業務)における第一次試験の内訳は以下の通り。
第一次試験 | 教養試験(75分) | 公務員として必要な一般的知識及び知能について拓一式による試験 |
専門試験(60分) | 課題解決のための創造的かつ論理的な思考力、発想力及び言語化して伝える表現力に関する記述式による試験 | |
性格特性検査(20分) | 職務遂行に必要な素質、適正についての検査 | |
アピールシート※ | 試験申込時に提出されたアピールシートの内容について審査 |
図表引用(リンク切れ):募集要項(通年上期)デザイン (city.takaoka.toyama.jp)
上記内容に沿って、どんな対策を講じることができるかを詳しく見ていきましょう。
教養試験(75分)
「公務員として必要な一般的知識及び知能について拓一式による試験」とは記されているものの、始めて公務員試験を受ける人にとってはどんな試験問題が出題されるのか、皆目見当もつきません。
ですが、この「75分」という時間設定から、この高岡市の教養試験は公務員試験の定番である新教養試験「Light(基礎力タイプ)」の問題であると推測できます。
通常、公務員の教養試験は択一式で2時間かけておこなわれるものが多いのですが、75分でおこなわれる試験は新教養試験「Light(基礎力タイプ)」しかありません。
ですので、基本的にはその対策をおこなっておけば、教養試験については特に問題ありません。
試験レベルも比較的やさしめで、公務員試験独自の準備をしていなくても受験可能な試験となっています。
イメージとしては、就職活動におけるSPI試験のちょっとした応用版といったところでしょうか。
対策としては、本屋さんで売っている新教養試験「Light(基礎力タイプ)」の問題集などがあれば充分でしょう。
参考:新教養試験「Light」例題 -公益財団法人 日本人事試験研究センター- (njskc.or.jp)
専門試験(60分)
専門試験については「課題解決のための創造的かつ論理的な思考力、発想力及び言語化して伝える表現力に関する記述式による試験」とだけ記されているのみで、具体的な対策を練るのが困難です。
記述式とあるので、与えられた問題文に対してその場で応用を効かせる必要がありそうです。
性格特性検査(20分)
性格特性検査も対策を講じるのが難しい試験の1つです。ですが、基本的には自分の回答に矛盾が無いよう、一貫性を持って答えるのがセオリーのようです。
以下、参考になりそうなサイトを載せておきますので、時間のある時に読んでみてください。
参考:公務員試験の適性検査とは?試験内容や対策のポイントを解説|資格の学校TAC[タック] (tac-school.co.jp)
アピールシート
最後にアピールシートについてです。このアピールシートだけは適当に作ってはいけません!
というのも、アピールシートには以下のような重要な項目が記されており、第一次試験の審査や第二次試験(口述)にも使用されるからです。
- 高岡市役所を志望した理由について
- 自己PRについて(これまでの職務経験等で培ってきた知識や能力等を、高岡市職員としてどのように活かすことができるか。)
- 活動歴等について(最大5件、別途資料を提出※) (芸術分野・デザイン・クリエイティブ分野での受賞、出展などの活動歴等を記入してください。)
さらに、活動歴については、以下のような活動が記入例として挙げられています。
例1:コンテスト等で発表した作品の資料(ポスター、プレゼン資料等)
例2:作品等の全体が分かる画像(写真等)
例3:映像作品やインターネット上の作品等の場合は、画面のコピーでも可
上記、具体的な活動実績が無い場合でも、今までライフワークで作ってきた作品や撮りためていた写真などがあれば、充分アピール材料になります。
どうしてもデザインコンテストなどで実績を作っておきたいという人は、こちらの記事も参考にしてみてください。
高岡市のデザイン・クリエイティブ試験の第二次試験
次に、高岡市の事務職(デザイン・クリエイティブ業務)における第二次試験の内容についても触れておきましょう。第二次試験の内容については、以下の通り。
第二次試験 | 専門実技試験(120分) | 創造的思考力、発想力及び視覚化して伝える表現力に関するデザイン実技試験 |
口述試験 | 主として人柄、対人的能力などについて個別面接による試験 |
図表引用(リンク切れ):募集要項(通年上期)デザイン (city.takaoka.toyama.jp)
それぞれ、どのような対策が練れるかを考えていきましょう。
専門実技試験(120分)
専門実技試験の内容は視覚化して伝えるデザイン実技試験とありますので、おそらくビジュアル的な要素を施す試験が出題されるであろうと予想できます。
さらに、募集要項の最後のページに以下のような文言がありましたので、専門実技試験はほぼ100%アナログによる手描きの試験であると判断できますね。
第2次試験(専門実技試験)では実技に必要な用具(色鉛筆・ペンなどの着色用具等)を持参してください。
引用(リンク切れ):募集要項(通年上期)デザイン (city.takaoka.toyama.jp)
ここでは、一般的な筆記試験とは異なり、創造的思考力や発想力が求められる試験なので、クリエイティブに関する試験の対策を施しておくのがセオリー。
過去問が公表されていないので、ここではデザイン業界で過去に実技試験を課した会社の問題をご紹介します。
ビジュアルデザイン分野では、以下のような実技試験が入社試験で実施されたことがあるようです。
- 動物のイラスト(30分)
- 指定された文字のロゴタイプ作成(110分)
- 化粧品ボトルのアイデアスケッチ(50分)
- わずか5gのスポーツシューズのネーミングとロゴ(5案)、屋外広告(10案)他(6時間)
高岡市の専門実技試験は120分となっていますので、この事例だと指定された文字のロゴタイプ作成、などが制限時間に作れるものとしては近いでしょうか。
このような問題が課されるかどうかは分かりませんが、日頃から手描きのビジュアルで情報を伝達できるよう、ある程度練習を重ねておきましょう。
口述試験
口述試験、いわゆる面接試験については、すべての試験問題の中でも最も重要な試験の1つと言っても過言ではないでしょう。
一般的な面接試験であれば聞かれる項目としては以下のようなものが挙げられます。
- 高岡市を志望した理由
- 自己PR
- 事務職(デザイン・クリエイティブ業務)を志望した理由
- デザイナーではなく、なぜ事務職(デザイン・クリエイティブ業務)なのか
- 民間の会社ではなく、公務員を志望した理由
- アピールシートに記載した作品の説明(もしくは、プレゼンテーション)
- 今まで、デザイン・クリエイティブ分野でどのような活動をおこなってきたか
- 仕事でトラブルに見舞われたときのエピソードと対処法
- 友人や同僚からどのような人と言われることが多いか
- どんな仕事に携わってみたいか
…etc、ざっと思いついただけでこれ位のことは聞かれるであろうと想定できます。
また、アピールシートについては第二次試験にも使用するとのことなので、面接試験の会場には作品集やポートフォリオのような現物のファイルは持ち込みできないと考えるのが自然でしょう。
高岡市の職員採用試験は、デザイナー職の試験ではなく、あくまでも事務職(デザイン・クリエイティブ業務)の試験です。
求められる知識や技術についてはデザイナーと同等レベルの実力が求められるようですが、実際の業務でポスターやバナーのデザインを自ら手掛けるような仕事をガッツリとおこなう訳では無さそうです。
おそらくチームとして、外部のデザイン会社やプロのデザイナーを交えて、企画の立案・制作、プロジェクトの進行をおこなっていくのでしょう。
そのためには、専門的なデザインに関する知識や技術が不可欠です。
面接試験においても、その点をきちんと踏まえておかないと、「じゃあ君は、うちじゃなくてデザイン会社やデザイン事務所の試験を受ければいいじゃない?」と言われてしまいかねません。
あくまでも公務員試験の枠組みの中で、事務職(デザイン・クリエイティブ業務)の試験を受けているというスタンスを忘れないようにしましょう。
高岡市のデザイン・クリエイティブ試験は事前準備が必須
ここまで、高岡市の事務職(デザイン・クリエイティブ業務)採用試験について説明してきました。
試験自体は令和5年度より新設されたばかりで、過去に受験した人も、過去問もありません。
そのため今年度は、採用試験対策をするといっても、募集要項からどんな試験問題が出題されるのか推測するしかありません。
ですが、それはどの受験生も同じで、全く同じスタートラインに立っているということに変わりはありません。
もし、スタートラインで差がつくとしたら、いままでどれほど真剣にデザインやクリエイティブな活動に向き合ってきたか?ということだけです。
見る人が見れば、その人の作品がどれくらいのレベルのものなのかは、見た瞬間に分かります。
どんなに口で説明しても、作品は嘘をつきません。
これから試験を受ける人は、過去に作ってきた作品でなるべくクオリティの高いものをアピールシートに収録するようにしましょう!
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