デザイン関連の部署を覗いてみよう、ということでお届けしているシリーズの2回目。前回は、佐賀県庁の「さがデザイン」における取り組みを見てきました。
シリーズ2回目は、東京都にある日本で2番目に小さい市である狛江市の取り組み、KOMAE Desingner’s Lab.(コマエ・デザイナーズ・ラボ)について取り上げます。
KOMAE Desingner’s Lab.(コマエ・デザイナーズ・ラボ)は、市の行政活動にデザインの視点を取り入れ、狛江市にゆかりのあるデザイナーと協働する仕組み。
このラボは、「デザインの力で、市の事業にインパクトと付加価値を。」をコンセプトに2021年11月に立ち上げられました。
公務員のデザイン職として、専門的に職員の募集をおこなっているところは少ないですが、狛江市や佐賀県庁のように、市役所や県庁の中にデザインに関連する部署がある自治体は多いです。
公務員のデザイン職を目指すのであれば、こうした自治体の取り組みについて知っておいて損はありません。
それでは、早速進めていきましょう。
東京都狛江市は、東京都にある日本で2番目に小さい市
まずは、東京都狛江市がどんな街なのかを簡単に見てましょう。
東京都狛江市は神奈川県との県境に位置し、日本で2番目に面積の小さい市のため、都民でも知る人ぞ知るまちだが、雄大な多摩川の眺めが印象的なまちで、水や緑に恵まれていて、住んでみるととってもいいところ。都心への交通利便と静かな住環境の両方を求める人にとっては理想的な立地と環境で、世田谷区と調布市を含むこのエリアは人口が急増している都内屈指の人気エリアの一つ。狛江市へは新宿から小田急線で20分ほどで行くことができる。
引用:狛江市の魅力をぎゅっと3分に凝縮- 狛江市役所 (city.komae.tokyo.jp)
狛江市役所のホームページを見てみると、住みやすそうな街で緑や自然にも恵まれており、子育て世帯からも人気があります。
公式ホームページには、狛江市の魅力を3分に凝縮したYouTube動画がありましたので、こちらにもリンクを貼っておきます。
KOMAE Desingner’s Lab.(コマエ・デザイナーズ・ラボ)について
ここからは、そんな狛江市でおこなわれているKOMAE Desingner’s Lab.(コマエ・デザイナーズ・ラボ)について、詳しく見ていきます。
冒頭でも少しだけ触れましたが、KOMAE Desingner’s Lab.では、狛江市にゆかりのあるデザイナーやクリエイターがこのプロジェクトに数多く参加しています。
狛江市のホームページよると、これまでに30名を超える人が登録。
市役所の各部署が作成するチラシやポスター、ノベルティグッズ、事業ロゴ、Wenデザイン、職員向け研修など様々な取り組みに参加しています。
市役所の職員は、このような形でデザイナーやクリエイターの方々と協働しながら行政課題の解決に向けてプロジェクトを遂行していきます。
狛江市未来戦略室について
実は、KOMAE Desingner’s Lab.は狛江市未来戦略室のいくつかあるプロジェクトの一つとなります。
現在、取り組まれているプロジェクトは以下の通り。
他に、狛江市未来戦略会議というプロジェクトもありますが、こちらは実施未定となっています。
それぞれのプロジェクトについての細かい説明については、ここでは割愛しますので、興味のある方はリンク先の情報を見てみてください。
KOMAE Desingner’s Lab.は、この主要プロジェクトの中の一つということになります。
KOMAE Desingner’s Lab.に参加しているクリエイター
このKOMAE Desingner’s Lab.に参加しているクリエイターの方々はどんな人たちなのでしょうか?
公式ホームページによると、以下のような記載があります。
グラフィックデザイナーを始め、動画・プロダクトデザイナー・空間デザイナー・照明デザイナー・サービスデザイン・コピーライターなど様々な分野のデザイナーさん・クリエイターさんが登録されています。この事業を開始した時点では、フリーランスや個人事業主の方を主に想定していましたが、最近では企業に属している方も増えています。また、デザインの観点から住んでいるまちをより良くしたり、まちづくりの活動に興味・関心があって登録しているデザイナーさんも増えています。
引用:KOMAE Desingner’s Lab.(コマエ・デザイナーズ・ラボ)デザイナーの登録を受け付けています – 狛江市役所 (city.komae.tokyo.jp)
デザイナーズラボという名称ではあるものの、コピーライターや動画クリエイターなど、様々な創作活動に携わっている人たちが登録していることが分かりますね。
また、個人事業主の人だけでなく、企業に所属しているインハウスデザイナーの方もおり、今後ますます活動の範囲が広がっていきそうです。
KOMAE Desingner’s Lab.(コマエ・デザイナーズ・ラボ)の取り組み
狛江市には、「こまえのデザイン」という名称でKOMAE Desingner’s Lab.の取り組み事例を中心に情報発信をおこなっています。
ここでは、そんなKOMAE Desingner’s Lab.の取り組みについて幾つか見ていきましょう。
コマエ×ミライ×チャレンジ 2022
コマエ×ミライ×チャレンジは、子どもたちが地域や企業と関わり合いながら、自分で考えてアイデアを活用して、新たな価値を創造する場所としておこなわれています。
2022年度に関しては、脱炭素という世代間を超えた課題に焦点を当て、狛江市の『ゼロカーボンシティ』推進のロゴマークを募集していました。
結果、最優秀賞1作品、優秀賞3作品が選出され、この最優秀賞作品のデザインをもとに、KOMAE Desingner’s Lab.のデザイナーさんがロゴマーク制作をおこないました。
市内のデザイナーと協業でナッジ・ユニットを結成
狛江市では市内のデザイナーと協業でナッジ・ユニットを結成し、「おしチャリラボ」というユニットを立ち上げています。
ちなみに、“ナッジ(nudge)” とは、動経済学や行動科学の文脈でよく使われる用語。わずかなきっかけを与えることで人々の行動変容を促していくことを指します。
また、おしチャリは「自転車の押し歩き(おしチャリ)」のことを略した用語で、ザックリ言うとこの行動を促すためのプロジェクトユニットのことです。
具体的な経緯は、公式ホームページのnoteにも掲載されていますので、より詳しい内容を知りたい方はホームページも参考にしてみてください。
職員募集ポスター&採用案内パンフレット
前回までの、狛江市職員採用資格試験のポスターやパンフレットをデザインしたのも、KOMAE Desingner’s Lab.のデザイナーさんです。
制作進行としては、狛江市職員課とKOMAE Desingner’s Lab.のスタッフが協働で制作を進めていきました。
新しい採用案内では、市役所で働くことの面白さや魅力ができるだけリアルに伝わるような構成やレイアウトになっています。
KOMAE Desingner’s Lab.(コマエ・デザイナーズ・ラボ)で働くには?
ここからは、そんなKOMAE Desingner’s Lab.で狛江市職員として働く方法について触れていきます。
KOMAE Desingner’s Lab.の構成員としては、主に狛江市職員と市内のデザイナー。
ですが、このブログでは基本的に公務員のデザイン職に就くための道のりをお伝えしていますので、ここでは狛江市職員となってKOMAE Desingner’s Lab.で働く方法をお伝えします。
※ちなみに、デザイナーしてKOMAE Desingner’s Lab.で働くには、公式ホームページから登録作業さえすればOK
狛江市の採用試験では、公務員のデザイン職という専門的なくくりがあるわけはないので、一般事務の職員採用試験を受けて合格しなければなりません。
採用後は、必ずしもKOMAE Desingner’s Lab.に関わる部署に配属されるという訳ではありませんが、人事異動の際に希望の部署を伝えれば近い部署で働ける可能性があります。
書類選考はついては、専用の入力フォームがあり、そこから応募できます。
筆記試験はSPI3のみということで、転職を視野に入れている人も受験しやすい構成となっています。
面接試験については2回ほど実施されますが、グループワークやプレゼンテーションなどの試験はおこなわれず、一般的な内容となっています。
デザインの枠を超えて働きたいなら、「狛江市」の職員採用試験を受けるのもあり
今回は東京都狛江市の、KOMAE Desingner’s Lab.の取り組みについて見てきました。
狛江市では、公務員のデザイン職を専門に募集している訳ではありませんが、市役所内にKOMAE Desingner’s Lab.を立ち上げ、デザインの力を使って行政課題を解決しようとしている姿勢が印象的でしたね。
他の自治体の事例もそうですが、現代社会における行政課題についてはデザインの力が必要不可欠です。
今でのやり方では限界があるものの、既存の要素を新しい視点で構築し直すことで、コストパフォーマンスに優れた斬新な解決策を見出すことができます。
デザイナーやクリエイターの方と協力しながら、そのような道筋を立てられたら、業務に大きなやりがいを感じることでしょう。
もし、KOMAE Desingner’s Lab.に少しでも興味を持った人がいれば、ぜひ狛江市職員採用試験を受けてみてください。
一般事務の募集ということで専門のデザイン職ではありませんが、一般事務の視点から幅広い業務に携わりたい人にはおすすめ。
採用試験に関しても割と一般的な内容となっているので、少しでも興味を持ったならば、まずは申込みだけでもしておきましょう。
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