今回は、僕が過去に入賞したデザインコンペ(デザインコンテスト)について色々と思うところを綴って行こうと思います。
デザインコンペを探す場所について
デザイナーから事務職に転職してからは、比較的プライベートの時間を確保できるようになったので、余暇の時間を自主制作や勉強の時間に充てることが出来るようになりました。
デザイナー時代は、昼夜/土日問わず、常にデザインのことを考え続ける必要があったため、余暇の時間までデザイン制作のために充てるというにはかなり無理がありました。
1つに、余暇の時間までデザインのために充ててしまうと、デザイナーとしての引き出しを増やせなかったり、人間としての幅も狭まりそうだし、人との交流も薄れてしまうような感覚がありました。
あとは、純粋にせっかくの休みの日はデザイン以外のことをして過ごしたいというのもありました。
ところが。人間というのは中々厄介なもので、いざデザイン以外の仕事を本業にすると、今度は逆に余暇の時間を自分が好きなデザインの時間に充てたいと思うようになります(笑)
前提条件として、鬱病などの病気を克服して、基本元気な状態の時という前提条件が入るかもしれませんが。(時々、負の感情をエネルギーにして作品を作られる方もおります。)
そこで、せっかく土日を丸々作品制作の時間に充てることができるなら、自分の今の実力を試す意味でもデザインコンペ(デザインコンテスト)に応募してみようかな。という思いに駆られました
ちなみに、デザインのコンペを探す場所として有名な場所として、「登竜門」というサイトがよく知られています。
かなり、充実した情報がありますが、この中から自分に合いそうなカテゴリーを選んでいきます。
ちなみに僕が好きなカテゴリーは
- 「写真・フォトコン」
- 「ロゴ・マーク・キャラクター」
- 「イラスト・マンガ」
- 「グラフィック・ポスター」
- 「プロダクト・商品企画・家具」
- 「ビジネス・アイデア・企画」
などのカテゴリーが自分に合いそうなコンペが多いので、ここからしっくり来るやつを選んだりしています。
アイデアを出すまでのアプローチについて
僕が最近「入選」したコンペを1つご紹介したいと思います。こちらも登竜門のサイトで見つけたコンペですが、今回のお題はフリーペーパー雑誌の表紙絵デザインコンテストでした。
このコンペで良かったのは、アイデア勝負でPCでも手書きのアイデアでもどちらでも良いという条件付きでした。
技術的にはプロのデザイナーやクリエイターの方にはかなわないのが一般的とも言えます。(自分の場合は、元デザイナーなので、最低限の技術的な部分はフォローできてはいますが。)
ただ、今回はアイデアの方に比重が置かれているデザインコンテストだったので、全ての人に平等にチャンスが与えられているデザインコンペとも言えます。
で、たまたまこのコンペに入賞したわけですが。実際にアイデアを考えた時間はわずか1日程度だったと思います。
アイデアは出ないときは何日も何週間も、下手をすると何ヶ月も出ないときもあるのですが、今回はたまたま自分と相性の良いお題だったのか、すぐにアイデアを出すことができました。
アイデアそのものが良ければ、あとはそれを形にして、どのように審査員に見せるかを考えるだけなので、ほぼ半分以上のプロセスは終わったと言っても過言ではありません。
もちろんコンセプトも考える必要があるので、そちらもうまく言語化して噛み砕いていく必要があります。
アプローチの仕方としては、
- ビジュアルからコンセプトにアプローチしていくか
- コンセプトからビジュアルにアプローチしていくか
の2つの方法があります。今回自分の場合はややビジュアルよりの方からアイデアが降りてきました。ただし、何も考えずにビジュアルからアプローチした訳ではありません。
まずは応募要項や過去の入賞作品や実際の作品をリサーチして、そこから何日か熟成期間を経て、アイデアを出す作業をしたということになるので、リサーチにはまあまあ時間を掛けています。
アイデア出し自体は、リサーチをせずに行うというのは不可能なので、リサーチ後のアイデア出しの時間が「1日程度」であったということになります。
実際に制作に掛かった時間について
実際にアイデアを決めることができればあとは作る工程に移行するだけです。今回は、PCでも手描きでも可ということだったので僕は敢えて手描きで応募する方を選びました。
もちろん技術的にはイラストレーターやフォトショップなどのグラフィック系ソフトを使用することもできましたが、今回は敢えてこの手段を取りました。
応募要項を見てみると、データで提出することも、紙媒体に印刷して提出することも、両方できたようですが、敢えて手書きの紙媒体での提出方法を選んだ訳です。
たとえアイデア勝負だとしても、そのアイデアが一番よく見えるような手段を取りたかったのと、今回は手描きの方がある程度審査してくれる方の想像力のところで、+αのイメージが膨らみそうだという判断からそうした訳です。
あとは、デジタルで完成形に近いものを提出してしまうと、審査員の方の想像力を広げるための余白が狭まってしまうと思ったからです。
もし万が一、採用されたら(笑)、アイデアよりのコンペの場合、その方が最後にプロの方に面白く仕上げて貰えるかも?と思ったので。
使った画材は色鉛筆とミリペンのみ。ひたすらシャカシャカと自分のアイデアを形にしていく作業をして行きます。で、こちらも朝から晩までひたすら作業をして、1日で完成(笑)
「かなり良くできたぞ。」というのが、その時の感想です。コンペは「こんなもんでいいか」というスタンスでは入賞することは困難と言えます。
一般の方だけでなく、プロのデザイナーの方とも一緒に競い合う訳ですから、「全力を出し切って、これで入賞しなかったのなら実力不足」という位のスタンスでないと入賞は夢のまた夢とも言えます。
デザインコンペを終えたあとは…
数ヶ月後、公式サイトに作品と共に講評等と一緒に入賞作品が発表されます。最優秀賞として実際に表紙絵に採用されたのは他の方となってしまいましたが、自分は入賞という形で結果を残すことができました。
いくつか最終選考まで残った作品のうちの1つということになります。ざっくりいうと、「惜しかったで賞」ということになるでしょうか。
実際に結果を見てみると、自分以外の入賞作品はアイデアそのものが同じくらいのレベルで、最優秀賞の作品はその中から頭一つ抜きん出てたな、という感想です。
最高だと思ったアイデア自体をもう一歩掘り下げて、違う角度からアプローチしているような作品だったので、これはいまの自分の実力では編み出すことができなかったなあ、という印象でした。
デザインのコンペやコンテスト自体は点数化できるものではないのですが、自分のアイデアと比較すると一発でどちらのアイデアがより優れているか、というのはすぐに分かってしまいます。
これも感覚的な話になってしまうのですが、誰も見たことのないようなアイデアというのはやはり相当のインパクトがあります。
もちろん、自分もそういったアイデアを目指すのですが、その先の世界もあったんだなあ。ということで今回もよい経験を積むことができました。
デザインコンペの良いところは、そういった目に見えない自分のデザインのレベルを客観視できるところにあります。
もちろん入賞したらしたで嬉しい訳ですが、箸にも棒にも引っかからないこともあります。
今回はたまたま入賞できたので、最優秀賞までの道のりで自分に足りなかったところはどこなのか、比較・検証することもできます。
そうすると、今度はそういった自分のウィークポイントを鍛えて行けば、次のコンペの結果に繋がりやすくなると思うのです。
あるいは、入賞することすらできず、なんの結果も残せないで終わるということも勿論あります。
その時は、ある程度のデザイン経験がある場合、自分の実力が不足していたか、努力の方向性が間違っていたか、そのどちらかの可能性が高いと思います。
そんな時は、時間を無駄にしたという感覚にとらわれず、良い経験を積むことができたと考え、次の目標を設定すれば良いのです。必ず何かしらの糧にはなっていると思うので。
たとえ今はプロのデザイナーでなくても、こんな風にデザインの力を日々伸ばしていくこともできるので、割と毎日が充実していたりします。今回のブログも参考になれば嬉しいです。
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