公務員のデザイン職については近年発足した新しい職種ということもあり、将来どんなキャリアプランが描けるのか不安に思っている人もいるかも知れません。
というのもの、一般的な広告代理店、デザイン制作会社やデザイン事務所のデザイナーであれば、何年かその会社で経験を積んでステップアップしていくという道筋が描けます。
そして、ゆくゆくはアートディレクターやクリエイティブディレクターとなったり、独立して起業する人も多いでしょう。
ですが公務員のデザイン職については、デザイン職ではなく、事務職のカテゴリーに属するため、定年まで一つの会社に属することを想定しています。
デザイナーと違って、将来どんな仕事ができるのか、どんなキャリアプランが描けるのか…etc、入庁前に具体的にイメージできる人は少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、主に東京都で募集をおこなっている特定任期付職員の職種に絞って解説します。
今回の記事を読めば、自分が将来どんなキャリアプランを描き、どんな仕事ができるのか具体的にイメージできるようになるでしょう。
それでは早速解説をしていきます。
そもそも、特定任期付職員ってどんな職種なの?
まず、特定任期付職員について簡単に触れておきましょう。具体的には、以下のような職員のことを指します。
業務内容でいうと、法務・訟務関係、医療関係、危機管理関係、IT関係などの分野が挙げられます。
一般的には、上記のような専門知識を持った人材を特定任期付職員として採用することが多いようです。
【キャリア採用】東京都の特定任期付職員の募集について
東京都では、先日まで「政策企画局戦略広報部キャリア活用採用」として特定任期付課長級の募集がおこなわれていました。
募集がおこなわれていたのは、以下の2つの職種です。
- 戦略広報担当課長(4名程度)
- 国際戦略広報担当課長(2名程度)
それぞれ2つの職種の業務内容の違いについて、以下のように記載がありました。
○戦略広報担当課長
(1)都の広報・情報発信全般に関する戦略策定
(2)効果的かつ訴求力のある広報・PRの企画・実施
(3)デジタルマーケティングを活用した情報発信企画
(4)国内主要メディアとのメディアリレーション構築
(5)リスクコミュニケーションの実施
(6)都全体の広報力向上に向けた各局支援・啓発活動
○国際戦略広報担当課長
(1)海外都市のメディア・世論動向を踏まえた戦略的なプロモーションの企画・実施
(2)海外メディアへの戦略的なメディアリレーションの企画・実施
(3)海外向けデジタル広報に関する戦略的な情報発信の企画・実施
引用【終了】東京都政策企画局戦略広報部キャリア活用採用(特定任期付課長級)の募集|特定任期付職員の募集について|政策企画局
もう少し細かい募集要項を見てみると、前者の「戦略広報担当課長」の方が公務員のデザイン職に近い職種だと思います。
今回の記事は就職活動や転職活動のためというより、自分の将来のキャリアプランを描く際の参考にしていただければ幸いです。
ここでは、公務員のデザイン職の業務内容に近い戦略広報担当課長の募集要項の方をメインに解説していきます。
(もし、国際戦略広報担当課長の方も気になるという方がいれば、公式ホームページにも詳しい募集要項が記載されていますので参考にしてみてください。)
東京都の政策企画局戦略広報部 戦略広報担当課長の採用案内について
ますは東京都の政策企画局戦略広報部がどんな部署なのかを確認しておきましょう。
採用案内には冒頭に、以下のような記載があります。
戦略広報部は、広報に関連する部門が局横断で集約され、令和4年4月に発足した新しい部署です。
様々な対象者に応じた戦略的な広報・情報発信を展開し、都庁全体の広報力の強化を図る司令塔であり、旗振り役・牽引役を担っています。
約17万人の職員が、街づくりや教育、スポーツ、環境、文化、観光、災地復興支援、経済、テクノロジーと、日々幅広い分野の行政課題に立ち向かっている都庁の広報力を高めるため、戦略広報部ではこの度、高い専門性と豊富な経験、そして東京都の未来に対する熱い想いを有する民間人材を、管理職として募集します。
なお、国際戦略広報担当課長を併願して受験することが可能です。
引用:令和6年度 キャリア活用採用選考(特定任期付) 政策企画局戦略広報部戦略広報担当課長 採用案内
人口の多い東京都では、やはり都庁全体の「広報力の強化」がカギとなっているようです。
採用予定職、採用予定人数等
すでに募集は終わっていますが、採用予定人数、任期、勤務場所等についても確認しておきましょう。
(1) 採用予定職 ※特定任期付職員
政策企画局戦略広報部戦略広報担当課長
(上記の局以外の局へ兼務職員として勤務する場合があります。)
(2) 採用予定人数
4名程度
(3) 採用予定日
原則令和7年4月1日または5月1日
(4) 任用期間
原則令和7年4月1日(5月1日)から令和9年3月31日まで
(最長5年まで期間を延長できる場合があります。)
(5) 勤務場所
東京都政策企画局戦略広報部
(新宿区西新宿二丁目8番1号 東京都庁本庁舎)
(6) 募集期間
令和6年12月12日(木)から令和7年1月5日(日)まで
引用:令和6年度 キャリア活用採用選考(特定任期付) 政策企画局戦略広報部戦略広報担当課長 採用案内
任期はちょうど2年間ですが、最長で5年まで延長できる場合があるようですね。
勤務場所はもちろん東京のど真ん中、東京都庁の本庁舎となっています。
必要なスキル・経験
ここからは、どのようなスキル・経験が必要なのかを見ていきましょう。
採用案内を見ると、基本的には民間企業等で経験が5年以上ある人を対象としているようです。
※必須スキル:(1)~(3)のいずれかのスキル・経験を計5年以上お持ちの方
(1) 広報・広告分野におけるストラテジックプランニング、マーケティング・コミュニケーション領域のスキル・経験
(2) デジタルマーケティング分野におけるストラテジックプランニング、マーケティング・コミュニケーション領域のスキル・経験
(3) グラフィック・Webデザイン・動画、UI/UX等に関するクリエイティブディレクター・アートディレクター等の実務経験
※歓迎する経験・スキル
・PR戦略の策定、プレスリリース作成・メディア対応から、広告メディアバイイング・メディアプランニング・リスクコミュニケーション、インフルエンサータイアップをはじめ、PRディレクター等の広報に関する実務経験
・メディア運営、コンテンツマーケティングをはじめとした情報発信に関する業務経験
・危機管理広報などのリスクコミュニケーションに関する経験
・社内広報・インナーブランディング・研修など、啓発・社内コミュニケーションに関する経験
・CMSの導入、入替、移行等の経験やHTML、CSS、PHP、Javascript等を使用したサイト制作経験
・ウェブ広告等におけるコピーライティングの経験
引用:令和6年度 キャリア活用採用選考(特定任期付) 政策企画局戦略広報部戦略広報担当課長 採用案内
必須スキルや歓迎するスキルを見てみれば分かるように、割と専門的な分野で活躍してきた人材を求めているようですね。
職務内容
戦略広報担当課長の職務内容については冒頭でも少し触れましたが、ここからはもう少し具体的に見ていきます。
主な職務内容は以下の7つです。
(1) 都の広報・情報発信全般に関する戦略策定
都の抱える広報課題に応じて、テレビや新聞をはじめとしたマスメディアでの広報展開に限らず、デジタル施策やイベント、プロモーションなど、あらゆる側面から生活者にアプローチし、都政情報を届けるための戦略を構築、企画を立案し、実施すること
(2) 効果的かつ訴求力のある広報・PRの企画・実施
都が積極的に発信すべき重要施策に関し、動画・Webコンテンツの企画・作成、広告の掲出、著名人・インフルエンサーとのタイアップなど、多様な手法を組み合わせながら、効果的に発信すること
(3) デジタルマーケティングを活用した情報発信企画
国内外のメディア報道や SNS、そして世論調査などを踏まえ、都として重点的に情報発信をしていくタイミングやターゲットおよび手法の選定、発信内容の改善など、オウンドメディア・ホームページ及びSNSを中心としたデジタルマーケティングを活用した情報発信の企画・実施、効果分析を行うこと
(4) 国内主要メディアとのメディアリレーション構築
都民・事業者に広く情報を届けるために、メディア(TV、新聞、ラジオ、雑誌、Web等)の中から適切な媒体を選定し、能動的なアプローチによりメディアリレーションを構築。情報が的確かつタイムリーに届くよう、PR手法・ツールを複合的に組み合わせ、企画立案から各所調整、最終的な発信までを行うこと
(5) リスクコミュニケーションの実施
SNS 等における不正確な情報や、疑問・不安に起因する意見などについて、適宜適切な対応を速やかに実施すること
(6) 都全体の広報力向上に向けた各局支援・啓発活動
上記(1)~(7)に関して、都各局(デジタルサービス局、生活文化スポーツ局など)の広報力向上に向けて、これまでの幅広い知識・経験を活かして提案、支援、コンサルティング、研修等を行うこと
(7) その他
庁内広報をはじめ、上記(1)~(6)に属さない業務についても、戦略的な広報のために専門的な知見を活かして適宜適切な対応を行うこと
引用:令和6年度 キャリア活用採用選考(特定任期付) 政策企画局戦略広報部戦略広報担当課長 採用案内
上記の業務内容をみてみると、やはりデザインだけができる人材ではなく、プロジェクト全体を統括できるディレクターとしての能力が求められていることが分かりますね。
受験資格(基準日:特に断りのない限り採用予定日)
受験資格についても見ておきましょう。
(1) 受験資格(①~⑤を満たすこと)
① 民間企業等において「必要なスキル・経験」に記載の実務経験が一定年数(5年以上)あり、企業広報やメディア対応に関する高度な専門知識と経験を有すること。プロジェクトリーダー・プロジェクトマネージャーの経験を有すること(プロジェクトの規模・内容は任意)
② 新しい環境に順応し、多様な関係者と効率的かつ円滑にコミュニケーションを行う力を有していること
③ 都庁内外の関係者に対して、内容や意義を適切かつ丁寧に説明できるプレゼンテーション能力を有していること
④ 各局の広報力向上に向けた助言、提案コンサルティング等を行う能力を有すること
⑤ 管理職として、広い視野及び将来的な展望を持ち、明確な論拠を示した折衝力及び調整力を有すること
(2) 次の①から⑥までのいずれかに該当する者は受験できません。
① 日本国籍を有しない者
② 禁錮以上の刑に処せられ、その執行が終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
③ 東京都の職員として懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない者
④ 人事委員会又は公平委員会の委員の職にあって、地方公務員法第60条から第63条までに規定する罪を犯し刑に処せられた者
⑤ 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
⑥ 民法の一部を改正する法律(平成11年法律第149号)附則第3条第3項の規定により従前の例によることとされる準禁治産者
引用:令和6年度 キャリア活用採用選考(特定任期付) 政策企画局戦略広報部戦略広報担当課長 採用案内
受験資格の(2)については基本的な内容ですので、(1)のほうを確認してみると、高度なコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力が求められていることも分かります。
選考方法等
選考の過程については、第一次選考から第三次選考までおこなわれます。
(1) 第一次選考(書類選考)
応募フォームの記載事項により、「専門性」、「業績」及び「実務経験」等を勘案し選考します。
また、第一次選考合格者には、第二次選考の詳細(日時、URL など)をお知らせします。
(2) 第二次選考(Web面接による口述試験)
面接により、戦略広報担当課長としての専門性等について確認します。また、第二次選考合格者には、第三次選考の詳細(日時、会場など)をお知らせします。
(3) 第三次選考(対面での面接による口述試験)
採用予定職への適性等について個別面接を行います。合否にかかわらず、第三次選考実施後、受験者全員に対し通知します。
(4) その他
事前提出書類において、受験資格がないと認められた場合は、口述試験を受験できません(そ
の旨通知いたします)。
引用:令和6年度 キャリア活用採用選考(特定任期付) 政策企画局戦略広報部戦略広報担当課長 採用案内
第二次選考のWeb面接による口述試験、第三次選考の対面での面接による口述試験に進むためには、まずは第一次選考の書類選考が勝負です。
ここは気合を入れてしっかりと書類を作成する必要がありますね。
勤務の条件
ここからは気になる勤務の条件についても見ていきましょう。
(1) 給与
① 給料は、「東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例」に基づき職歴等を勘案して決定されます。
(参考例:4号給の場合) 給料月額 536,700円
② ①のほか、期末手当、通勤手当が支給されます。扶養手当、住居手当等については支給されません(「東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例」に基づく)。
※ このほかに、給料月額の20%相当(参考例の場合は107,340円)の地域手当が支給されます。なお、採用前に給与改定等があった場合は、その定めるところによります。
※ 条例は、東京都ホームページの「東京都例規集データベース」にて閲覧可能です
(https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki_menu.html)
(2) 勤務時間
勤務時間は、1週38時間45分で、原則として週休2日制です。
(3) 休暇
休暇は、1年間に20日(初年度は採用日により異なります。)付与される年次有給休暇をはじめ、慶弔休暇、夏季休暇等があります。
(4) 服務
特定任期付職員は、常勤の一般職の地方公務員であり、秘密を守る義務、営利企業等の従事制限など地方公務員法の服務に関する規定が適用されます。そのため、例えば、従前に雇用関係があった企業等に対して、便宜供与をはかることや職務上知り得た情報を漏洩することなどは、規定等に基づき懲戒処分の対象となります。
引用:令和6年度 キャリア活用採用選考(特定任期付) 政策企画局戦略広報部戦略広報担当課長 採用案内
ここはさすがの好待遇といったところでしょうか。給料月額だけでも地域手当とあわせて、単純計算しても、月額65万円ほどの金額になります。
さらに期末手当も支給されるということで、年収に換算するとかなりの額。
自分がやりたい仕事も出来てお給料も申し分ないということであれば、一度受験してみる価値はありますね。
特定任期付課長級採用にあたっての紹介動画
ここまで記事を読んでも特定任期付課長級採用の業務内容がいまいちイメージが難しいという人もいるでしょう。
そこで、いくつか関連する紹介動画を掲載しておきます。こちらもぜひ参考にしてみてください。
特定任期付職員は、専門的な知識やスキルを持った人にうってつけの職種
ここまで、東京都のキャリア活用採用選考(特定任期付)である政策企画局戦略広報部戦略広報担当課長の募集要項について見てきました。
ここまで読んで、様々な感想を持った人も多いと思います。
「自分には無理だ…」
「将来、自分も挑戦してみよう!」
「全然イメージが湧かないなあ…」
などなど。
今回の記事では公務員のデザイン職に就いた未来のその先に、こんな職種もあるよということをご紹介しました。
目の前の就職活動や転職活動のことで精一杯で、まだ遠い未来のことなんて分からないよ、という人も多いでしょう。
ですが、特定任期付職員という職種があること、民間企業以外にもこういった選択肢があるということはぜひ覚えておいてください。
今回の記事が将来のキャリアプランを描く際の参考になれば幸いです。
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