独学でデザインの勉強を長く続けていると、デジタルの技術はもちろんのこと、アナログの思考や発想方法がとても大事になってくることに気付きます。
どんなにスマホが上手く使えても、難しいデザインツールが使えても、便利な生成AIツールが使えても、やっぱり最後は自分の手を動かすことが大事です。
アイデアスケッチをするときも、レイアウトの草案をつくる時も、他のデザインと差別化する時も、やはりデジタルの知識や技術だけでは物足りないデザインとなってしまいます。
そこで、今回は東京でデザインの基礎を学べる通学講座について徹底解説。
- 他の人よりも一歩上を目指したい
- 独学での勉強に行き詰まりを感じてる
- デザイナーの発想方法を知りたい
- 一緒に仕事をしているクリエイターと共通言語を共有したい
- 打ち合わせで価値あるデザイン提案をしたい
- デザイン関連の職種に就くための準備をしたい
etc…そんな人にこそ、ぜひ読んでもらいたい記事となっています。
もちろん、このブログのテーマである「公務員のデザイン職」に就いた時にも、一緒に仕事をするデザイナーさんと共通言語を共有できれば打ち合わせもスムーズに進みます。
現在、業務でデザイン関連の知識や判断をする機会が多い社会人も、これからデザイン関連の知識や技術を磨こうとしている学生さんにも、打ってつけの内容となっています。
記事を読んで、「もっとアナログのデザイン力アップを目指していきたい!」と思った人は、ぜひ自分に会ったデザインスクールや講座、学校を探してみてください。
アナログのデザインスクールや講座が少ない理由
おすすめのアナログの知識や技術を学べるスクールを紹介する前に、なぜアナログのデザインスクールや講座が少ないのかを確認しておきましょう。
日本国内には星の数ほど、デザインの技術を学べるスクールや講座が存在します。
ですが、時代が進化してパソコンやスマホが普及してくると、手先がそこまで器用な人でなくてもデザイナーやクリエイターに近い職種で働けるようになりました。
そのため、多くのデザインスクールではデザイナーを目指す学生や社会人をターゲットに、企業の即戦力して活躍できるデジタル技術を教える学校が多くを占めます。
デザインスクールとしても自校出身の受講生がデザイン関連の企業に就職してくれれば、実績や知名度を上げることができます。
知識や技術を身に付けるのに時間がかかる上、即戦力にならないアナログのデザインスクールが少ないのには、このような理由があります。
アナログのデザインスクールが再び、見直されてきている理由
デザインスクールの実績も上げられて、短期間でデザイン業界に就職できるデザインスクールが台頭するなか、再びアナログの知識や技術が学べるデザインスクールが見直されてきています。
なぜでしょうか?その理由は一つ。
卒業後、すぐにデザイナーやデザイン業界に就職することはできてもデザイナーやデザイン業界に居続けることの方が難しいからです。
もう少し分かりやすく説明しましょう。
デジタル技術をメインに教えているデザインスクールで学んだ知識や技術は、即戦力という意味では確かにすぐに実践で活用できます。
最初のうちは、自分のレベルや能力に合わせてツールを駆使していけることが重宝されるでしょう。
ですが、その位の知識や技術は実践を積み重ねていくうちに、誰でも当たり前にできるようになります。
そうすると次に大事になってくるのが、デジタルでの知識や技術を磨くというよりは、デザインの企画や発想力を磨くということになってきます。
最初のステップで多くの人のが勘違いしているのですが、デザインを学ぶにあたって大事なことはパソコンやスマホでキレイなデザインを制作できることがメインではありません。
もちろんその部分の側面もあるのですが、本来は伝えたいメッセージを分かりやすくする手段であって、目的ではありません。
つまり、本当の目的は「伝えたいメッセージを視覚的に分かりやすく届けるのがデザインの役割」なのです。
この「伝えたいメッセージ」を分かりやすく伝えるための知識・技術・発想を学ぶためにアナログのデザインスクールが再び見直されているのです。
【東京版】アナログの知識・技術・発想が学べるデザインスクール5選
僕がおすすめするアナログのデザインスクールは、ただ単に絵の具や筆でデザインの技術を学べる学校ではなく、デザインの知識・技術・発想を総合的に学べる場所です。
ここでは、学生や社会人でも通いやすい東京のおすすめデザインスクールを5つ上げました。
- WEデザインスクール
- 広告未来塾
- ミームデザイン学校
- 桑沢デザイン研究所 夜間附帯教育
- アートディレクター養成講座(ARTS)
いずれも、他の即戦力を目的としたデジタル技術の修得するデザインスクールでは学べない魅力的な講座ばかり。
①から順番に難易度別に並べてみましたので、⑤のアートディレクター養成講座(ARTS)が最も難易度の高い講座となります。
それでは、早速順番に見ていきましょう。
WEデザインスクール
1つ目はWEデザインスクールという学校で、公式ホームページでは以下のように紹介されています。
WEデザインスクールは、WEデザインスクールは日本初のデザイン経営の学校として2016年に武蔵野美術大学デザイン・ラウンジと共同で開校した学び場です。
デザイン判断力・発想力を持つクリエイティブリーダーを育てます。
引用:ABOUT | WEデザインスクール (wedesignschool.com)
スクールを主宰しているのは稲葉裕美さんという方で、デザイン教育家/WEデザインスクール/WEアートスクール主宰/株式会社OFFICE HALO代表取締役の4つの肩書を持っています。
カリキュラムには大きく分けて「デザイン判断講座・ビギナー」と「デザイン判断講座・アドバンス」の2つのコースがあり、順番にステップアップしていくと以下のような能力が身に付けられます。
- ロゴ・チラシ・ウェブ・広告など、ビジュアルの判断ができる
- 目的に合った最適なデザイナーを採用できる
- デザイナーと対等に、共通言語を持って議論できる
- デザイナーのアウトプットの良し悪しを判断できる
- デザインの良し悪しを言語化して共有できる
- デザインを理由をもって説明できる
- 自らおおよそのデザイン制作ができる
これらの能力は公務員のデザイン職に就いた際に、プロのデザイナーと一緒に仕事を進めていく上で欠かせない能力となります。
ちなみにそれぞれのコースの詳細は以下の通りで、通学タイプではなくZoomによる受講をベースにしています。
なお、映像での事後受講はできませんが、受講できない回があった場合、来期クラスへの振替受講ができます。
デザイン発想講座・ビギナー
■カリキュラム
DAY1
人間の体験価値を考えるとは?
デザイン発想力を高めるには/デザイン思考の特徴とは何か?/UXデザインとサービスデザインの発想/体験を考える力をつける/人間の五感の喜びを知る
DAY2
デザイン発想力を身につける
デザイン発想とは何か?/感性的価値と合理的価値を知る/合理に縛られた発想を捨てる/人間が感じる情緒・精神・美的な価値に気づく
DAY3
感性的価値で魅力を生み出す
自分の感性に向き合う/他者の感性を知る/感性を呼び覚ます/感性的な視点を磨くためにできること
DAY4
市場の感性を捉える
主観的な感性と客観的な感性を知る/市場の感性を捉えるには?/魅力を生み出す方法とは/デザインリサーチ力を持つ
DAY5
課題・フィードバック
リサーチと分析で判断力を磨く/フィードバック
DAY6
課題・フィードバック
リサーチと分析で判断力を磨く/フィードバック
■会場
オンラインにて開催(Zoomを使用)
■講師
稲葉 裕美
■定員
25名程度(最小開催人数あり)
■受講料
152,000円(税込み・全6回)
参考:色・かたちの良し悪しを判断する力を持つ | WEデザインスクール (wedesignschool.com)
デザイン判断講座・アドバンスの詳細は以下の通り。
デザイン判断講座・アドバンス
■カリキュラム
DAY1
感性的価値とケーススタディ
感性的価値を実践する、優良なデザイン事例から、ケーススタディ型で学び、インプットを増やします。
DAY2
感性的価値とケーススタディ
感性的価値を実践する、優良なデザイン事例から、ケーススタディ型で学び、インプットを増やします。
DAY3
感性的価値とケーススタディ
感性的価値を実践する、優良なデザイン事例から、ケーススタディ型で学び、インプットを増やします。
DAY4
リサーチと実践・フィードバック
課題を設定し、それぞれでリサーチとアプトプットを行います。講師からのフィードバックでより深度のあるデザイン発想力を身につけます。
DAY5
リサーチと実践・フィードバック
課題を設定し、それぞれでリサーチとアプトプットを行います。講師からのフィードバックでより深度のあるデザイン発想力を身につけます。
DAY6
リサーチと実践・フィードバック
課題を設定し、それぞれでリサーチとアプトプットを行います。講師からのフィードバックでより深度のあるデザイン発想力を身につけます。
■会場
オンラインにて開催(Zoomを使用)
■講師
稲葉 裕美
■定員
25名程度(最小開催人数あり)
■受講料
152,000円(税込み・全6回)
参考:一段上の発想力を目指す | WEデザインスクール (wedesignschool.com)
実際に申し込みをする際は、公式ホームページより「①メールでのお申し込み」「②Peatixでのお申し込み」のいずれかの方法となります。
また、実際に申し込みをしようかどうしようか迷っている場合は、1DAYプログラムの「社会人のためのデザイン判断入門」が開催されています。
こちらは、全1回3,500円(全1回・特別お試し価格)で受講できるので、一度受講してから再考してみると良いでしょう。
社会人のためのデザイン判断入門
■講座概要
1. レクチャー
デザインとは何か/なぜ今デザインが重要なのか/デザインの誤解を整理する/デザインの良し悪しとは/
デザインの見方を知る/デザイナーの視点とは/デザインの全体像をつかむ
2. ワークショップ
グループディスカッション/デザインの読み解きワーク
3. スクール説明
WEデザインスクールのプログラムについて
■会場
オンラインにて開催(Zoomを使用)
■講師
稲葉裕美
■定員
各回30名程度(最小開催人数あり)
■受講料
3,500円(全1回・特別お試し価格)
参考:デザイン経営の判断力をつける | WEデザインスクール (wedesignschool.com)
いずれの講座も公式ホームページから、「①メールでのお申し込み」または「②Peatixでのお申し込み」となっています。
WEデザインスクールはZoomでのリアルタイムの講座とは言え、地方に住んでいても同じ授業が受けられるのはオンラインならではのメリットです。
広告未来塾
2つ目は「広告未来塾」という学校で、公式ホームページでは以下のように紹介されています。
「人間を知ろう 心を知ろう」
テクノロジーやデータの活用がすすんでも、
さまざまな統合の手段が発達しても、
クリエイターの最大の武器は、
人を知っていること。
人の心を揺さぶることがコミュニケーション。
広告未来塾は
さまざまな領域で人の心を動かす達人たちから
その技を学ぶ場に。
引用:広告未来塾|公益社団法人 東京広告協会 (tokyo-ad.or.jp)
スクールを主宰しているのは嶋浩一郎さんという方で、株式会社博報堂執行役員/株式会社ケトル クリエイティブ・ディレクター・編集者などの肩書を持っています。
「広告未来塾」は2017年に開講しました。
先日まで今期の募集をしていましたが、今は募集を終了しているため気になる方は次期のタイミングを狙いましょう。
案内を見てみると、
「広告界に集う次世代を担う若い人たちが、広告界の最高・最新の知見を学び、将来に渡る人的ネットワークを築き、創発と交流の場を提供しています。」
と記載があります。
第7期の概要
■テーマ・講師陣
第1回 7/3(水)
「合意形成のスイッチ」
嶋 浩一郎 氏
博報堂 執行役員/博報堂ケトル クリエイティブディレクター・編集者
第2回 7/17(水)
「料理のスイッチ」
鳥羽 周作 氏
sio 代表取締役
第3回 7/31(水)
「戦略のスイッチ」
中川 悠 氏
博報堂エグゼクティブクリエイティブディレクター/ストラテジスト/ヒット習慣メーカーズリーダー
第4回 8/21(水)
「デザインのスイッチ」
小杉 幸一 氏
onehappy 代表取締役
アートディレクター/クリエイティブディレクター/グラフィックデザイナー
第5回 9/4(水)
「コピーのスイッチ」
細川 美和子 氏
(つづく)クリエーティブ・ディレクター/コピーライター/プランナー
第6回 9/18(水)
「CMのスイッチ」
澤本 嘉光 氏
dentsu Japan グロースオフィサー/エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター/CMプランナー/脚本家
第7回 10/2(水)
「動画のスイッチ」
明石 ガクト 氏
ワンメディア代表取締役CEO/動画プロデューサー
第8回 10/16(水)
「番組のスイッチ」
工藤 里紗 氏
テレビ東京制作局 クリエイティブ開発チーム部長
第9回 10/30(水)
「編集のスイッチ」
今尾 朝子 氏
光文社 執行役員 第一編集局長
第10回 11/13(水)
「事業のスイッチ」
宮永 充晃 氏
博報堂クリエイティブディレクター/クリエイティブ局 チームリーダー/クリエイティブチームYOKI リーダー
第11回 11/27(水)
「イタズラのスイッチ」
小山 薫堂 氏
放送作家/京都芸術大学副学長
■対象
会員社・非会員社、一般の若手・中堅層(20代から30代を想定)
■時間
19時~21時 ※第1回講義のみ18時45分より開講、講義終了後懇親会を開催
■受講料
会員社 80,000円/全11回分(消費税込)
非会員社・一般 90,000円/全11回分(消費税込)
※11回通しのみ、1回のみの受付は不可。開講中の参加者の変更はやむを得ない場合を除いて不可。
■定員
70名
※応募者多数の場合は抽選。(先着順ではありません)
参考:広告未来塾|公益社団法人 東京広告協会 (tokyo-ad.or.jp)
ちなみに申し込み方法は、公式ホームページからとなっています。応募者多数の場合は抽選となります。
ミームデザイン学校
3つ目はミームデザイン学校で、公式ホームページでは以下のように紹介されています。
ミームデザイン学校は2008年に開講して以来、現在まで500人以上が受講したデザインの学校です。
週末を利用した週1回のカリキュラム構成で、働きながらデザインの理念や実技を習得できます。
引用:働く社会人のためのデザイン学校|MeMe Design School
スクールの代表は中垣信夫さんというグラフィックデザイナーの方で、金沢美術工芸大学で客員教授もしています。
現在は、タイポグラフィー及びダイヤグラムをひとつの指標として、日本文化に根ざしたデザインに活かす道を一貫して追求しています。
ミームデザイン学校のカリキュラムは「デザインベーシックコース」「ブックデザインコース」「共通講座」の3つのコースに分かれています。
年に1回受講生を募集しており、定員にもよるかと思いますが毎年4月頃には募集を締め切っています。
もし受講を本気で検討している場合は、その前の2月頃か3月頃に公式ホームページから募集要項をチェックしておきましょう。
なお、それぞれのコースの概要は以下の通り。
デザインベーシックコース
■概要
基礎的な技術とデザイン的思考方法を身につけることを目指します。
1つの講座を2人の講師が担当する授業形式は、講師と受講生の活発なコミュニケーションと、 テーマに対する多角的な取り組みを可能としています。
実践から先端的な知までを包含する授業内容は広い視野を培い、課題のプレゼンテーションは論理的思考力や表現力を鍛えます。
■講座回数
10講座(26回)+共通講座(7回)=全33回
■受講定員
40名
■受講期間
2024年5月〜2025年3月
受講時間
土曜日12:30〜15:30
■場所
青山ブックセンター本店内 青山ブックスクール
■受講料
¥270,000[税込¥297,000](共通講座受講料を含む)
参考:働く社会人のためのデザイン学校|MeMe Design School
ブックデザインコース
■概要
エディトリアルデザイン、ブックデザインを 中心とした実践的な講座です。
単行本や写真集、詩集や雑誌など、 より具体的なテーマでデザインを学びます。
講師はブックデザインの領域で活躍するデザイナーを中心に、 編集者など関連領域の専門家も招きます。
少人数で、丁寧な授業展開と完成度の高い課題制作を目指します。
■講座回数
10講座(26回)+共通講座(7回)=全33回
■受講定員
25名
■受講期間
2024年5月〜2025年3月
■受講時間
土曜日12:30–15:30
■場所
青山ブックセンター本店内 青山ブックスクール
■受講料
¥270,000[税込¥297,000](共通講座受講料を含む)
参考:働く社会人のためのデザイン学校|MeMe Design School
共通講座
■概要
デザインベーシックコースとブックデザインコースの受講生が 共通して受講できるオプショナルな講座です。 諸分野の専門家や、デザイナーによる講義を通して、 より広い視野でデザインへの理解を深めます。
デザインベーシック、ブックデザインいずれかのコースを 修了した方は、修了後も無料で受講し続けることができます。
■今後の開講日
2024年9月18日(水) 18:30 – 20:30
2024年10月19日(土) 14:00 – 16:00
2024年11月20日(水) 18:30 – 20:30
2024年12月14日(土) 14:00 – 16:00
■講座回数
6講座(7回)
■受講対象
デザインベーシックコース・ブックデザインコース受講生及び卒業生
◉受講料はデザインベーシック・ブックデザイン両コースの受講料に含まれておりますので、別途徴収することはございません。
◉開催地までの交通費はご負担ください。
◉共通講座のみの受講はできません。
◉一部の講義は、平日に実施する場合があります。
参考:働く社会人のためのデザイン学校|MeMe Design School
なおミームデザイン学校は受講申し込み後、高いモチベーションと一定レベルの受講生を募っているため、受講の可否の審査があります。
結果は後日郵便にて届きます。申し込みをしても必ず受講できる訳ではないのでお気を付けください。
桑沢デザイン研究所 夜間附帯教育
4つ目は桑沢デザイン研究所の夜間附帯教育で、公式ホームページでは以下のように紹介されています。
桑沢デザイン研究所の昼間部・夜間部はデザイナーの育成を目的としていますが、夜間附帯教育では桑沢の教育を社会へより広く還元することを目指して、プロを目指すか否かにかかわらず、デザインに関心をもつ方ならだれでも学ぶことのできる場を提供しています。
また、受講後に本格的にデザイナーを目指す場合にも、専攻デザイン科への進学準備として役立てることができます。
夜間附帯教育には職業や年齢もバラバラにいろいろな人が集まっています。
プロのデザイナーをこの1年で目指すというカリキュラムではありませんが、デザインのものの見方は様々な仕事や生活の中で活きてきます。
夜間附帯教育のプログラム終了後、きっと世の中の見え方が変わっているでしょう。
引用:夜間附帯教育 / 専門学校桑沢デザイン研究所 (kds.ac.jp)
桑沢デザイン研究所の代表は、現在第12代目の所長として佐藤竜平さんという方が就いています。専任講師としても活躍しており、近代~現代美術を研究し、連作絵画「培相」を制作。
「基礎造形」関連の科目担当ほか、「基礎造形専攻」設置(2005)、「総合デザイン科カリキュラム」改編(2006)、「SO+ZO展」(2010、2012)企画協力などもおこないました。
そもそも、桑沢デザイン研究所は1954年に創立者の桑澤洋子さんによって設立され、知る人ぞ知る超有名なデザイン専門学校として君臨しています。
桑沢デザイン研究所のあゆみは以下の通り。
創立者・桑澤洋子は昭和10年代から建築・室内設計・服飾などのデザインジャーナリズムの中で活動し、そこでバウハウス(※)の存在を知り、その影響を強く受けました。
機能や合理性を追求したデザイン活動をすすめる中で、デザインの総合的な基礎教育と専門教育の重要さを痛感し、実現のため努力を重ねました。
昭和29年(1954年)、このひたむきな情熱に、当時活動していた気鋭の教育者、芸術家、デザイナーたちが協力の手をさしのべて、ささやかな私塾として本校が誕生しました。 当時としては、純粋な「デザイン学校」の発足は画期的なことでもありました。
創設時代から試行錯誤をおそれない、しなやかさの中にも強さをもった教育方法が特徴です。
開校以来、半世紀にも及ぶ卒業生は3万人を超え、各領域においてデザイナー等として活発に活動し、その業績は高く評価され認められてきました。
それは卒業生および本校関係者がこれまで続けてきた努力の賜物といえましょう。
※バウハウス
1919年に建築家グロピウスによってワイマールに建設された造形芸術の総合的な学校。
芸術と工業を統一する理念をたて、活発な造形教育を行い、その後の欧米の芸術、文化状況にも広く深い影響を残した。
引用:桑沢のあゆみ / 専門学校桑沢デザイン研究所 (kds.ac.jp)
桑沢デザイン研究所という名前をあまり聞いたことが無いという人も、安心してください。美大を目指す受験生の中には、この桑沢デザイン研究所を併願している人も多いです。
そんな桑沢デザイン研究所には夜間1年生の附帯教育が設置されており、高校卒業程度の資格があれば誰でも受講できるカリキュラムが用意されています。
夜間附帯教育には、「基礎造形専攻」と「基礎デザイン専攻」の2つのコースがあります。
コースを別々に受講することもできますし、同時2つ受講することも可能です。それぞれのコースの特徴は以下の通り。
基礎造形専攻:表現力や創造力を育む
■概要
基礎造形専攻では、色・形・素材などの造形体験を豊かに積むことで、必ずしもデザインだけに限定されることがない、創造・制作活動一般の基礎を学びます。誰もが等しくもつ造形能力を、豊かに開発するための演習を体験し、個人の感覚・能力のトレーニングを行う専攻です。
こんな人におすすめ⇒いままで美術やデザインの教育は受けたことがないが、造形課題を通して創造する能力を身につけたい方。
参考:夜間附帯教育 / 専門学校桑沢デザイン研究所 (kds.ac.jp)
基礎デザイン専攻:デザインのプロセスと方法を学ぶ
■概要
基礎デザイン専攻では、デザイン・プロセスの体験とレクチャー&ワークショップにより、デザインの方法やアプローチについて学んでいきます。「レクチャー&ワークショップ」ではデザインに関する教養に触れることで、デザインをよく知るための視点を身につけます。「プロジェクト」では主要なデザインの企画・制作を体験して、デザインのプロセスを知ります。
こんな人におすすめ⇒
いままでデザイン教育に触れたことはないが、世の中にはどのようなデザインがどのように生み出されているのか興味がある方。デザインの持つ社会への働きかけを体感したい方。
参考:夜間附帯教育 / 専門学校桑沢デザイン研究所 (kds.ac.jp)
それぞれの専攻の募集概要は以下の通りです。
■基礎造形専攻
夜間1年制/週2回( 月・木 18時30分~21時10分) 募集定員40名
■基礎デザイン専攻
夜間1年制/週2回(火・金 18時30分~21時10分)募集定員40名
※2つの専攻を同時に受講することが可能です。
■応募資格
1. 高等学校卒業以上の既卒の方および卒業見込の方。
2. 高等学校を卒業した方と同等以上の学力があると認められる方。
■願書送付先・問合先
〒150-0041 東京都渋谷区神南 1-4-17 専門学校 桑沢デザイン研究所「入学願書受付係」
TEL 03-3463-2432(進路支援課)
■願書受付期間 2024年11月1日~2025年3月末日必着 ※先着順受付、定員になり次第締切。
■提出書類
インターネット出願により出願登録を行い、下記書類を送付してください。
・出願内容詳細(インターネット出願からプリントアウト)
・最終学校の卒業(見込)証明書または在学証明書(※高校生の場合は、卒業見込証明書を提出してください。)
※外国籍の方は、「在留カードのコピー(表面・裏面)」と「パスポートのコピー(氏名・パスポート番号等が記載されているページ)」を提出してください。
※出願書類として健康診断書は不要です。ただし、入学後に実施する健康診断において、疾病のため受講に耐えられないと判断した場合、入学許可を取り消すことがあります。
■書類選考
提出書類により、応募資格を満たしているかどうか確認します。
■入学手続き
出願条件を満たした方には、願書受付後に入学手続き書類を郵送します。
■学費(年額) 基礎造形専攻、基礎デザイン専攻それぞれの学費は次のとおりです。 入学手続き書類に記された期日までに納入してください。(入学許可により一度納入した学費は、理由の如何にかかわらず返金いたしません)
1専攻あたり385,000円
(授業料 275,000円 維持費 66,000円 施設拡充費 44,000円)
2つの専攻を同時に受講する場合は、両専攻併せて以下の学費になります。
715,000円 (授業料 550,000円 維持費 121,000円 施設拡充費 44,000円)
※上記のほか、災害保険料を徴収いたします。また、桑沢デザイン研究所同窓会への入会希望者は、入学後終身会費として 30,000 円を事務局に納入してください(入会は任意です)。
■開講期間
前期 2025年4月~7月/後期2025年9月~2026年2月上旬
■修了
修了と認定された方には修了証書を交付します。
■Web出願
2024年度募集は終了しました。
2025年度募集は2024年11月1日から開始いたします。
参考:夜間附帯教育 / 専門学校桑沢デザイン研究所 (kds.ac.jp)
桑沢デザイン研究所は課題が多いことで有名なので、働きながら受講を検討している人は要注意です。
せっかく高い授業料を払っても、課題がこなせず終わってしまってはあまりにももったいなすぎます。
ですが、基礎からみっちりと1年間課題をこなしながらデザインの基礎を学ぶためには、打ってつけの講座ともいえるでしょう。
判断に迷う場合は、ホームページから資料を請求したり、入学相談なども利用して、実際に学校へ自分が通っているイメージを固めていきましょう。
なお、願書の申し込みは先着順受付となっており、定員になり次第締切なのでお気を付けください。
公式ホームページに参考になる動画もありましたので、こちらにも掲載しておきます。
アートディレクター養成講座(ARTS)
5つ目はアートディレクター養成講座(ARTS)で、公式ホームページでは以下のように紹介されています。
アートディレクターに求めらることは、企業や商品が抱える課題、ターゲットのインサイト、市場や社会の状況などを掘り下げて考えることができること。そして、マーケティング的情報を整理し、世界観やトーン&マナーを統一してブランドを創り上げること。本講座では、アートディレクターになるために必要なステップアップをみっちり学ぶことができます。「考える力」「判断する力」「伝える力」3つの力を養う基礎講義。アートディレクター以外の考え方を知ることができる特別講義。そして3クラスに分かれ、実際に手を動かしながら取り組む、課題演習と卒業制作。実力に折り紙付きの講師から直接のフィードバックも他では得られません。
引用:アートディレクター養成講座(ARTS) | 教育講座を受ける | 宣伝会議オンライン (sendenkaigi.com)
アートディレクターという職業を初めて聞いた人もいるかも知れませんが、ざっくりビジュアル制作全般におけるディレクター的な役割をする人だと思ってもらって構いません。
アートディレクターの多くは、デザイナーを数年間経験した後にステップアップする人が多いです。
代表的なアートディレクターとして、ユニクロや楽天のロゴをデザインした佐藤可士和氏、ロッテ キシリトールガムや明治おいしい牛乳などの商品を手掛けた佐藤卓氏、Mr.Childrenのアルバムジャケットなどをデザインした森本千絵さんなどが挙げられます。
このアートディレクター養成講座はARTS(アーツ)とも呼ばれ、Artdirector Return To Schoolの頭文字をとって通称「ARTS」と呼ばれています。
運営している母体は、宣伝会議という会社でその事業は以下の通り。
広告やクリエイティブ業界では割と名の通っている会社で、このような講座や研修を広く展開しています。
アートディレクター養成講座(ARTS)の詳細は以下の通り。
アートディレクター養成講座(ARTS)
■概要
・「考える力」「判断する力」「伝える力」3つの力を養う基礎講義
・アートディレクター以外の考え方を知ることができる特別講義
・3クラスに分かれ、実際に手を動かして取り組む、課題演習と卒業制作
■受講対象
・広告会社、制作会社、Web制作会社、Webメディア、アプリやコンテンツ制作会社、印刷会社、インハウス、フリーランスのアートディレクターやデザイナー。
※広告・グラフィックだけでなく、Web、パッケージ、プロダクト、エディトリアル、プロモーションツール、空間など様々な領域のデザイナーも多く受講しています。
・ディレクター、プランナー、プロデューサー、あるいは発注側の担当者など。自分自身でデザイン・制作しないが、立場上、よいクリエイティブをつくるためにデザインやディレクションの知識やスキルが必要な方。
■カリキュラム
1. 基礎講義
実際の企画と制作物をベースに一流講師が指導する基礎講義では、実務に生かせるアートディレクションの基礎を教えます。「考える力」「判断する力」「伝える力」の3つの要素を、講師が手がけた企画書やグラフィックなどの制作物と経験を基にして、理論的に学ぶことができます。受講生が日常業務で抱く疑問や迷いに対する回答と気付きを得て、自分の指針を確立しアートディレクターとして活躍していくための基礎力をつけるプログラムです。
2. 特別講義
現代のアートディレクターに求められる考え方を、トップクリエイターから学びます。特別講義ではデザイナー出身のクリエイティブディレクター、コピーライター、プランナーなどを招き、アートディレクターとの共同作業で、どのように成果を上げるか、その秘訣を講義します。アートディレクター以外の考え方を知ることで、自らの考え方に幅を持たすことができ、他のスタッフとの、効果的な連携の取り方を学ぶことができます。
3. 課題演習
新聞、ポスター、パッケージ、交通広告など、各メディアごとの特徴や、インサイトを捉えた課題に取り組み、プレゼンをします。実務で経験のないテーマの場合でも、自分の力をぶつけ、講師からフィードバックを受けることは他では得られない経験になり、本講座で最も力がつくポイントです。課題演習の場を最大のチャンスと考え、普段の仕事以上に心血を注ぎ作品を仕上げることが、自分の可能性を広げていくことにつながります。
4. 卒業制作
全員の制作物を展示し、プレゼンを行ったうえで、講師が優秀作を選びます。講師は企画とデザインの双方の観点から評価をし、全ての講義で直接フィードバック。自分一人ではたどり着けないレベルまで達することができます。
参考:アートディレクター養成講座(ARTS) | 教育講座を受ける | 宣伝会議オンライン (sendenkaigi.com)
なお、申し込みに際しては講義ごとに【オンライン・オフライン】を自由に選択できます。参考までに今年度の申込み概要を載せておきます。
教室・オンライン選択可
■開講日
2024年08月20日(火)
講義について詳しく知りたいという方は説明会にご参加ください。無料体験講座も開催してまいります。
講義終了後、受講証明書を発行することが可能です。ご希望の方は、講座事務局にご連絡ください。東京教室の講義日程、カリキュラムについてのお問い合わせは下記までお気軽にご連絡ください。
【問合せ先】
アートディレクター養成講座 東京教室事務局
Tel: 03-3475-3030
Mail: arts@sendenkaigi.co.jp
■講義時間
19:00~21:00(毎週火曜日)
13:30~16:30もしくは18:30~21:30(土曜日・月一回程度、課題演習実施回)
■定員
90名
■講義回数
30回
■開催場所 オフラインで実施する場合の会場は南青山の宣伝会議セミナールームです。別途、受講者の皆さんにはご案内いたします。オンラインで実施する場合はZoomを活用予定です。
■受講価格
170,000円(税込 187,000円)※申込金20,000円(税込 22,000円)を含みます。
■注意事項
・受講は申込者本人に限ります。他人に貸与・譲渡することはできません。
・お申込み後のキャンセルは原則承っておりません。
・教室・オンラインライブ講座は、個人申込の場合、受講料について開講前のご入金を原則とさせていただいております。
・オンデマンド講座は、お申し込み後すぐに受講案内メールをお送りしており、メール受信後、ご視聴いただけます。そのため、視聴の有無に関わらず、お申し込み後のキャンセルは一切、承っておりません。詳しくは、特定商取引法に基づく表示をご覧ください。
参考:アートディレクター養成講座(ARTS) | 教育講座を受ける | 宣伝会議オンライン (sendenkaigi.com)
教室・オンライン選択可 補講セットプラン
■開講日
2024年08月20日(火)
講義について詳しく知りたいという方は説明会にご参加ください。無料体験講座も開催してまいります。
講義終了後、受講証明書を発行することが可能です。ご希望の方は、講座事務局にご連絡ください。東京教室の講義日程、カリキュラムについてのお問い合わせは下記までお気軽にご連絡ください。
【問合せ先】アートディレクター養成講座 東京教室事務局
Tel: 03-3475-3030
Mail: arts@sendenkaigi.co.jp
■講義時間
19:00~21:00(毎週火曜日)13:30~16:30もしくは18:30~21:30(土曜日・月一回程度、課題演習実施回)
■定員
90名
■講義回数
30回
■開催場所
オフラインで実施する場合の会場は南青山の宣伝会議セミナールームです。別途、受講者の皆さんにはご案内いたします。オンラインで実施する場合はZoomを活用予定です。
■受講価格
185,000円(税込 203,500円)※申込金20,000円(税込 22,000円)を含みます。
■補足
本プランは、欠席時にキャッチアップしたり復習に活用したりすることができるアーカイブ配信を25回利用できるチケットがセットになったプランです。アーカイブ配信は単発での視聴申込も可能で、その際には1回あたり1100円(税込)かかります。ですので、15回以上、アーカイブ配信をを利用したい場合には、こちらのプランのほうがお得になります。
なお、講義のアーカイブ配信以外のコンテンツも順次、ご提供予定となっており、その動画を視聴する際にもチケットの利用が可能です。アーカイブ配信の運用や本プランについて、疑問点がございましたらお気軽にお問い合わせください。
■注意事項
・受講は申込者本人に限ります。他人に貸与・譲渡することはできません。
・お申込み後のキャンセルは原則承っておりません。
・教室・オンラインライブ講座は、個人申込の場合、受講料について開講前のご入金を原則とさせていただいております。
・オンデマンド講座は、お申し込み後すぐに受講案内メールをお送りしており、メール受信後、ご視聴いただけます。そのため、視聴の有無に関わらず、お申し込み後のキャンセルは一切、承っておりません。詳しくは、特定商取引法に基づく表示をご覧ください。
参考:アートディレクター養成講座(ARTS) | 教育講座を受ける | 宣伝会議オンライン (sendenkaigi.com)
申し込みは1年に1度のタイミングですが、アナログのデザインスクールの中でも最上級にレベルの高い講座であるため、じっくりと考えてから受講するようにしましょう。
ちなみに、毎年8月中旬ごろに募集を締め切っているようです。
心配な方は、先にアートディレクター養成講座(ARTS)の【説明・相談会】を受講しておきましょう。約80分の相談・説明会となっており、こちらは受講料0円となっているので安心してください。
自分にあったアナログのデザインスクールを選ぶ基準
今回は東京近辺に通勤・通学・お住まいの方がメインになるかと思いますが、ここまで5つのアナログの知識・技術・発想を学べるデザインスクールをご紹介してきました。
いずれも、ワンランク上のスキルを身に付ける場所としては、とても魅力的な環境と言えるでしょう。
ただし、自分の今のレベルと合ったスクールを選ばないと、周りのレベルが高すぎてついていけなかったり、逆に、すでに学んだことばかりで退屈してしまうかも知れません。
そのようなことにならないためにも、まずはしっかりと自分のレベルに沿ったカリキュラムになっているかを今一度確認しておきましょう。
どうしても、ホームページや学校案内の資料から判断できない場合は、オープンスクールや体験授業を見に行ったり、入学相談の機会を設けてらもい、今の自分のレベルにあった学校を選ぶようにしましょう。
あるいは電話やメールで「こんなことを学んでみたいと思っていますが、そちらのカリキュラムでその内容が学べますか?」と直接聞いてみても良いですね。
大学や他の専門学校より受講料が安いとはいえ、数万円~何十万円ものお金がかかる講座も多いです。
自分の大切な時間とお金を守るためにも、しっかりと下調べだけではしておきましょう。
自分の目指す未来に合ったデザインスクールを選ぼう
ここまで色々なデザインスクールをご紹介してきましたが、最後は自分の目で見てしっくり来るものを選ぶのが一番良いのではないかと思います。
Webだけで学ぶオンライン講座とは違い、オフラインのデザインスクールでは他の受講生と直接交流があったり、自分の立ち位置が確認できたり、上手い人の作品を参考にできたり…オンラインとは異なるメリットがあります。
逆に、働きながら時間を確保するのが難しかったり、毎回通うのに交通費がかかってしまったり、オンライン授業に比べて受講料が高かったりするデメリットもあります。
ですが、アナログの知識・技術・発想を学ぶためにこれらのコストは必要最低限の経費として捉えるのが得策です。
長い目で見て、デザイン業界やデザインに関連する職種を可能な限り続けていきたいのであれば、少しのお金と時間を投資するだけで大きなリターンが得られます。
自分なりにリスクとリターンのバランスを考えて、上記で紹介したデザインスクールに通う必要があるかどうか、もう一度検討すると良いでしょう。
僕個人の見解としては、過去にデジタルのデザイン技術しか勉強して来なかった場合は、今回ご紹介したアナログのデザインスクールに通ってみるのは非常に価値のある選択だと思います。
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