このブログを読んでいる人の中には美大生含め、一般大学に在学中、あるいは、一般大学を卒業して社会人として働いている人もいるかと思います。
そんな読者の中には、リスク分散として、公務員のデザイン職と併願できるデザイン関連の会社を知りたいと思っている人もいるでしょう。
他にも、趣味でモノづくりをしている人もいれば、美術館に行って沢山のアート作品を観るのが好き!という人もいるかと思います。
今からアーティストやデザイナーになるつもりは無いのだけど、そういった人たちの近くでアート&デザインに携われる仕事ができたら…という思いを持っている人もいるでしょう。
そこで、今回は一般大学からも就職しやすい会社や、実際に一般大学を卒業してからアート&デザイン関連の会社に就職した先輩の事例も交えてご紹介します。
この記事を読んで、憧れの業界で働くためのヒントを見つけ出してみてください。
公務員のデザイン職と併願できるデザイン関連の会社ってあるの?
はじめに、公務員のデザイン職と併願できるデザイン関連の会社はあるのでしょうか?
結論からお伝えすると、あります!
ただし、職種にこだわりすぎると難易度が跳ね上がりますので気を付けてください。
特に、一般大学からデザイナー職やアーティスト職を目指そうとすると、美術大学出身の人たちと同じ土俵で闘わなくてはなりません。
美大に受かるような人たちというのは、毎日何時間も来る日も来る日もデッサンや制作活動をおこない、想像を絶するほどの努力をしてきています。
逆に美大生であれば、そういった会社を受けるのに特に抵抗は無いでしょう。
一般的には、アート&デザイン系の会社の営業職、企画職、事務職などが狙い目でしょう。
直接、モノづくりをするわけではありませんが、間近でクリエイティブな刺激を受けられる現場で働けるというのは、かなり魅力的です。
公務員のデザイン職と併願できるデザイン関連の会社について
それでは、公務員のデザイン職と併願できるデザイン関連の会社には、どんな所があるのかを見てみましょう。
代表的な場所は以下の8つの会社+番外編。
- 美術館
- 展覧会企画会社
- 広告代理店
- 出版社
- 印刷会社
- Web関連会社
- 施工・内装関連会社
- 公的機関のクリエイティブ関連部門
- 【番外編】インターンで働く
どうしょう?いずれも身近な会社ばかりではないでしょうか。
これらの会社ではデザイナーやアーティスト職以外の職種も数多くありますので、こまめにチェックしてみると良いでしょう。
他にも、こちらの学芸員の方のブログにここでご紹介した会社以外の情報が載っていますので参考にしてみてください。
参考:美術館に関わる仕事8選|学芸員以外にも美術館を支える人たちがいる (bei-cham.com)
それでは、1つずつ順番に見ていきましょう。
①美術館
美術館のスタッフの中には、美大出身以外の人も数多く働いています。
学芸員やキュレーター、受付で働いている人や、監視をしている人など、実際に美術館に行った時にも目にする人たちばかり。
たとえば、デザイン関連の展覧会をおこなっている21_21DESIGN SIGHTという美術館では、タイミングによっては以下のような職種募集をおこなっています。
- A. 館内レギュラースタッフ・スーパーバイザー
- B. 企画・会場施工スタッフ
- C. 広報スタッフ
- D.ショップスタッフ
アルバイトや契約社員という形のものが多いですが、どうしてもこの業界で働きたいという意思が強ければ、最初はステップアップのためと割り切って働いてみるのもありでしょう。
参考:21_21 DESIGN SIGHT | RECRUIT (2121designsight.jp)
ここでの経験が、後々の転職活動や就職活動での面接時のアピールネタになるかも知れません。
②展覧会企画会社
展覧会企画会社もデザイン職やアーティスト職以外の職種を募集している会社の1つです。
キュレイターズという会社では採用情報自体はあるものの、現在は募集をしていませんとの表記。
定期的に新卒採用等をおこなっていない場合は、欠員が出たときに補充するというタイプの会社もあります。
むしろ、デザイン事務所やデザイン制作会社などクリエイティブな業界ではそういったタイプの会社の方が多いくらいです。
もし興味がある場合は、実際に会社に問い合わせてみたり、電話やメール等で今後の採用スケジュールなどを聞いてみると良いでしょう。
③広告代理店
広告代理店もクリエイティブ職以外の職種を募集している代表的な会社の一つです。
営業職や企画職はもちろんのこと、大手の広告代理店などでは一般大学卒の新卒枠で総合職以外のデジタルクリエーティブ職の募集していたりします。
実務経験があれば、メディアプランナー、ビジネスプロデューサー(営業職)、データマーケティングプランナー、DX開発マネージャーなどにも応募可能です。
参考:Careers(採用情報) – 電通ウェブサイト (dentsu.co.jp)
大手広告代理店ともなると競争率は激化しますが、国内にはそれ以外の広告代理店も数多く存在。
広告・Web・マスコミ職種専門の転職エージェントに「マスメディアン」というサイトもありますので、こちらも参考にしてみてください。
④出版社
出版社でもデザイン職以外の職種の募集をおこなっています。
集英社の新卒採用枠では一括採用という形で募集をおこなっており、編集部門・営業部門・管理部門・デジタル部門といった職種別の採用をおこなっていません。
入社後の研修や、本人の適性をもとに各部署に配属されます。ちなみに、2023年11月17日現在、経験者は募集していないようです。
参考:募集要項|集英社 2025年度定期採用情報 (shueisha.co.jp)
大手の出版社は新卒採用枠に力を入れているようですので、出版業界で働きたいと思っている人は中小の出版社にも目を向けてみると良いでしょう。
⑤印刷会社
印刷会社の有名どころでいうと、凸版印刷や大日本印刷などの大手の会社が有名です。
新卒枠で見てみると、たとえば凸版印刷では営業部門、事務管理部門(事業戦略、総務、法務、財務など)、企画職などの募集をおこなっています。
特に、企画職に関しての対象学部学科等の項目を見てみると、「全学部・全学科(文理不問)特に、IT系、マーケティング系、美術・デザイン系の学部・学科」との記載があります。
つまり、企画職に関していえば、一般大学卒でもデザイン系の学部学科の人たちとも対等に闘えるという訳です。
ちなみに、経験者枠としても企画・設計に携わる募集があり、デジタルメディアプランナーや事業企画などの職種の募集があります。
他の印刷会社も多数の職種がありますので、興味があればその会社の採用案内のページをチェックしてみると良いでしょう。
⑥WEB関連会社
サイバーエージェントのという名前をどこかでおぼろげに聞いたこともあるでしょう。
ですが、手掛けている事業を聞いたら、ほとんどの人が知っているコンテンツだと思います。
ちなみに、公式ホームページの一部から事業概要を引用したものが、以下の文章です。
2016年4月に新しい未来のテレビ「ABEMA」を開局し、多くの方々に利用していただいています。また国内最大規模のブログサービス「Ameba」やマッチングアプリ「タップル」、通販化粧品の「N organic」など様々なサービスを提供しています。
引用:メディア | 株式会社サイバーエージェント (cyberagent.co.jp)
インターネットコンテンツの「ABEMA」、ブログサービスの「Ameba」などは、一度はどこかで見聞きしたことのあるサービスではないでしょうか。
Web業界で、サイバーエージェントの名前を知らない人はいないでしょう。
それほど、有名な会社ですし、手掛けている事業も比較的大規模なものが多いです。
参考:採用情報 | 株式会社サイバーエージェント (cyberagent.co.jp)
⑦施工・内装関連会社
施工・内装関連会社でも、デザイン関連の職種募集をおこなっています。
たとえば、乃村工藝社という会社の事業内容は、以下の通り。
空間創造における、調査・企画・コンサルティング、デザイン・設計、制作・施工 ならびに運営・管理
引用:会社概要・アクセス | 株式会社乃村工藝社 / NOMURA Co.,Ltd. (nomurakougei.co.jp)
新卒採用枠だと、営業職・プランニング職・ディレクター職などが狙いやすいでしょう。
また、経験者枠だと、経営管理・法務・人事などの職種も募集されています。
ちなみに、乃村工藝社の制作実績としては、「TBS赤坂BLITZスタジオ」の空間演出などがあります。
他にもホームページには、数えきれないほど沢山の実績が紹介されていますので、興味のある方は覗いてみてください。
参考:採用情報 | 株式会社乃村工藝社 / NOMURA Co.,Ltd. (nomurakougei.co.jp)
⑧公的機関のクリエイティブ関連部門
ここでは、民間企業とは少し毛色が違う公的機関のクリエイティブ関連部門についてご紹介します。
政令指定都市の神戸市では毎年度、事務一般職の枠組みの中で「デザイン・クリエイティブ枠」という職種を募集しています。
デザイナーとは異なり、あくまでも事務職というカテゴリーになります。
実際の募集要項はこちら ⇒ 神戸市:2024年度 デザイン・クリエイティブ枠(大学卒、高専・短大卒) (kobe.lg.jp)
クリエイティブな業界、デザイン関連の職種に共通しているのが、どうしても仕事の量や質により給料や生活の質が左右されてしまいます。
その点、神戸市のようなデザイン・クリエイティブ枠の事務職であれば、公務員という安定した身分を保ちながら、デザイン&アートに関わることを仕事にできます。
オシャレタウンとしても名高い神戸市での業務は、やりがいのあるものとなるでしょう。
⑨【番外編】インターンで働く
就職・転職以外の道として、まずはインターンで働いてみてデザイン関連の会社や部署を経験してみるという方法もあります。
就職活動や転職活動では、交通費や宿泊代、スーツにクリーニング代など、何かと費用がかかります。
その点、長期・有給でのインターンであればお給料を貰いながら、自分が希望する業界や職種の経験ができますし、自分が目指すキャリアもより具体的になるでしょう。
ここではハイクラス向け長期インターン求人サイトの「UT-Board」取り上げてみます。
「UT-Board」は、東大・京大・早稲田・慶應など一流大学の学生向けの求人サイトで、過去に利用していた学生の主な就職先は以下の通り。
- ゴールドマンサックス
- モルガン・スタンレー
- ボストンコンサルティンググループ(BCG)
- A.T.カーニー
- AWS
…etc
いずれも、名だたる外資系企業が名を連ねています。もちろん、デザイン職や事務職でのインターンシップ情報も多数掲載されています。
インターンシップを経験することで、面接で説得力のある志望動機を伝えられるよう準備しておきましょう。
公務員のデザイン職と併願できるデザイン関連の会社に就職した先輩たち
ここまで様々な会社の事例を見てきましたが、ここからは実際にアート&デザイン系の会社に就職した先輩たちの事例を見ていきましょう。
- 立命館大学から神戸市役所へ(市長室広報戦略部広報課)
- 都内の私立大学教育学部からT3デザインへ(営業企画職)
- 慶應義塾大学から六曜社へ(企画営業職)
三者三様、ここに登場する人物はすべて自分のやりたいことを実現し、アート&デザイン系の会社に就職して、自信の夢を叶えています。
この3人のように、今度は自分自身の夢を叶えてしまいましょう!
立命館大学から神戸市役所へ(市長室広報戦略部広報課)
1人目に紹介するのは、見事、立命館大学から公務員のデザイン職で神戸市役所へ就職した中村紀彦さんです。
中村さんは、立命館大学の映像学部を卒業した後、神戸大学大学院人文学研究科芸術学研究室に進みタイ映画・現代美術の研究者に。
その後、「デザイン・クリエイティブ枠」で神戸市役所に入庁。
現在は、市長室広報戦略部に勤務に勤務しているという異色の経歴の持ち主。
参考:卒業生インタビュー 映像学部3|立命館大学 入試情報サイト (ritsumei.jp)
中村さんのように、一般大学を卒業してストレートに会社に就職するのではなく、様々な道を経て、アートやデザインに関わる仕事に就く人もいます。
また、神戸市のデザイン・クリエイティブ枠については、美大や一般大学を区別することなく、受験資格を設けています。
興味があれば、ぜひ一度チャレンジしてみましょう!
都内の私立大学教育学部からT3デザインへ(営業企画職)
2人目にご紹介するのは、都内の私立大学教育学部からT3デザインの営業企画職についたゆいまーるさんです。
ゆいまーるさんは、就職活動をするときの軸を以下の3点に絞ったと記載があります。
- ①企画力を活かせる(鍛えられる)仕事
- ②転勤が少ないこと
- ③大衆に向けて発信する仕事
こうした軸を決めて、就職活動をするという選択は中々良いですね。
途中、紆余曲折あったようですが、最後には自分のやりたかったパッケージデザイン関わるT3DESIGNという会社に就職しました。
ちなみに、T3DESIGNを受けるきっかけとなったコメントがありましたので、記載しておきます。
新卒採用サイトの応募要項を見ると「営業企画職」を募集していて応募条件は学部問わず!(※営業企画職の募集は2020年のことで、今年の2022年採用では募集していません) 営業企画職ってなんや?とは思いましたが、これはもう聞きに行くしかない、と思い速攻説明会の予約をしました。
参考:文系のわたしがデザイン会社に就職した理由(ワケ)(T3のコト)|【パッケージデザイン会社】株式会社T3デザイン(東京都渋谷) (t3design.co.jp)
素晴らしい行動力ですね!
美大や学部によって限定されている職種ではなく、学部を問わず募集をおこなっていた営業企画職を選んだことも功を奏したようです。
慶應義塾大学から六曜社へ(企画営業職)
最後、3人目にご紹介するのは、慶應義塾大学から六曜社の企画営業職に就いたY.Kさんです。
Y.Kさんは、慶應義塾大学を卒業後、大手生命保険会社に入社。その後、来店型店舗での経験を経て、六曜社に転職しました。
入社の動機を以下のようにコメントしています。
大学在学時は日本美術の研究を行っており、展覧会を作る仕事に憧れがありました。前職の組織編成改革のタイミングで、自分のやりたいことに挑戦してみたいと思い、転職を決意しました。
入社した最大の決め手は、前職での営業経験を活かしつつ、挑戦してみたかった展覧会運営にも携われる点です。
参考:Y.K(企画営業職)へのインタビュー|株式会社六曜社|採用サイト (recruit-rokuyosya.com)
もともと、日本美術の研究をしていたこともあり、展覧会などのやりたい仕事とマッチしている会社を見つけられたようです。
このように、デザイナーやアーティストにならなくても、アートやデザインに関連する会社で働くことは可能。
決め手となるのは、やはり、やる気と行動力ですね!
公務員のデザイン職と併願できるデザイン関連の会社は、探せば沢山あります
ここまで見てきたように、公務員のデザイン職と併願できるデザイン関連の会社を併願することは可能です。
クリエイティブな業界で働きたいという人は、最初から諦めるのではなく、いかにクリエイティブな仕事と関われるかを考えてみると良いでしょう。
そうすれば、おのずとそれらに関する情報は耳に入ってきます。
ここでは紹介しきれませんでしたが、他にもデザイン事務所の経理事務や、美術大学の大学職員などの職種があったりもします。
もし、どうしてもアートやデザインなど、クリエイティブな世界と関わりながら働いてみたい!という方は、今回の記事をぜひ参考にしてみてください。
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