公務員のデザイン職の多くは、自治体で「デザイン・クリエイティブ枠」という名称で行っている所が多いです。
ですが、それ以外に特別専門講師として外部の人材を募集している所もあります。
今回はそんな特別専門講師の募集内容について徹底解説。今回は「東京都」に絞ってピックアップしました。
モノづくりに興味がある人や、過去にデザイン業界に携わっていた人にもオススメの職種です。
特に公務員のデザイン職を目指して転職活動をおこなっている人は、少ない労働力で多くの収入を得られるうえ、面接時のアピールポイントとしての経験を得られます。
ぜひ、この記事を読んで将来のキャリア形成に役立ててください。
特別専門講師とは
まず、特別専門講師の概要について見ていきます。特別専門講師とはいわゆる時間額職の会計年度任用職員のことを指します。
ちなみに、会計年度任用職員は2020年4月から導入された非常勤の地方公務員制度で、任期は原則として1年間(4月1日から翌年3月31日まで)。
地方公務員法が適用され、一定の権利や義務が発生しますが、基本的には兼業が認められています。
この制度は、非正規職員の採用や待遇を適正化する目的で導入されました。
ただし、無期雇用への転換はなく、常勤職員との待遇差も残っているため、今後さらなる改善が期待されています。
最近では、任用条件によって期末手当や勤勉手当が支給される場合があるなど、常勤職員との差が徐々に埋まりつつああります。
特別専門講師は、この会計年度任用職員に位置付けられているため任期が定めらているのです。
東京都で募集があった特別専門講師について
ここからは、そんな特別専門講師の募集があった東京都の事例を見ていきましょう。
ある程度の専門性が求められることから、小中学校での募集というよりは高等学校での募集が多いようです。
- 東京都立小台橋高等学校
- 東京都立工芸高等学校
- 東京都立世田谷総合高等学
それぞれの募集職種は、時期によって異なりますのでここでは2024年7月現在までに、過去に募集があった職種を掲載しています。
それ以降の、募集職種や募集人員についてはその都度、ホームページ等から最新の情報をチェックしてみてください。
東京都立小台橋高等学校の特別専門講師
東京都立小台橋高等学校は「支援教育を行う普通学校」の一つ、チャレンジスクールに指定されています。
チャレンジスクールの特徴として、小中学校時代などに不登校経験を持つ生徒や、長期欠席などの原因で高校を中退した生徒を受け入れているという点が挙げれらます。
ホームページには以下のような記載があります。
東京都立小台橋高等学校の募集職種は以下の2職種。そのうち「ジュエリー制作入門」については現在、絶賛募集中となっています。
- 「ジュエリー制作入門」
- 「デザイン研究3」
「ジュエリー制作入門」
ジュエリー制作入門の勤務日数は、週1回で水曜日13時から15時まで。総勤務時間数は36時間となっています。
「デザイン研究3」
デザイン研究3の勤務日数については相談に応じて。総勤務時間数は、128時間となっていました。
東京都立工芸高等学校の特別専門講師
東京都立工芸高等学校は、工芸・デザインの専門高校。ホームページには以下のような記載があります。
ちなみに、設置されている学科は「アートクラフト科」「マシンクラフト科」「インテリア科」「グラフィックアーツ科」「デザイン科」の5つです。
東京都立工芸高等学校の特別専門講師の募集は「工業情報数理」の1職種。
「工業情報数理」
工業情報数理の勤務日数は、週1回3時間(木曜日5時間目から時間目まで)となっています。
ちなみに、工業情報数理の授業で求められる能力は以下の通り。
- スクリーンプリント並びに四版印刷方式に対する豊富な経験と技術がある方
- 個人情報保護及び情報セキュリティ対策の重要性を認識した上で、適切な対応ができる方
- 職務上知り得た個人情報等の秘密を守れる者(その職を退いた後も同様とする。)
ちなみに、スクリーンプリントとは版画の孔版形式での代表的な版種の一つ。
また、四版印刷方式の四版とは「平版印刷」「凸版印刷」「凹版印刷」「孔版印刷」の4つの印刷方式のことを指します。
東京都立世田谷総合高等学校の特別専門講師
東京都立世田谷総合高等学校は、6系列を設置している総合学科高校です。
設置されている学科は、「社会・教養」「サイエンス・環境」「情報デザイン」「ライフデザイン」「国際・文化理解」「美術・ものづくり」の6つ。
そして、ホームページには以下のような記載があります。
東京都立世田谷総合高等学校の特別専門講師の募集は以下の6職種でした。
- 「社会参画A」
- 「手話」
- 「陶芸Ⅰ・Ⅱ」
- 「デジタルグラフィックデザインB」
- 「華道」
- 「茶道」
それぞれの職種について簡単に触れておきます。
「社会参画A」
社会参画Aの勤務日数は月4日、1日当たり2時間。年間勤務時間は64時間(最大)となっています。
「手話」
手話の勤務日数は月4日、1日当たり2時間。年間勤務時間は64時間(最大)となっています。
「陶芸Ⅰ・Ⅱ」
陶芸Ⅰ・Ⅱの勤務日数は月4日、1日当たり2時間。年間勤務時間は64時間(最大)となっています。
「デジタルグラフィックデザインB」
デジタルグラフィックデザインBの勤務日数は月4日、1日当たり2時間。年間勤務時間は128時間(最大)となっています。
「華道」
華道の勤務日数は月4日、1日当たり2時間。年間勤務時間は68時間(最大)となっています。
「茶道」
茶道の勤務日数は月4日、1日当たり2時間。年間勤務時間は68時間(最大)となっています。
いずれの職種も採用1名として募集がおこなわれていました。
この中でも、「デジタルグラフィックデザインB」についての年間勤務時間数は、128時間(最大)となっているため、単純計算での年間収入は以下の通りとなります。
月4日、1日当たり2時間として考えると、少ない労働時間でかなりの収入が見込めるため、転職活動と並行しておこなうには打ってつけの職種です。
特別専門講師の応募資格
特別専門講師の応募資格は以下の通り。
(1) 教育に対する熱意を有する者
(2) 公立学校の教育に活用できる有用な知識若しくは技能又は経験等を有する者
見てわかる通り、教員免許状や何か特別な資格やライセンスが必要という訳ではありません。
教育に対する熱意、豊富な知識や技能、実務経験等があれば、誰でも応募可能となっています。
特別専門講師の報酬
ここで、気になる特別専門講師の報酬について見てみましょう。
4,300円~(時間額)(改定される場合あり)
資格(免許・経験)等により報酬額は異なる
(通勤手当相当額を別途支給:上限2,600円/日額)時間額 ※ 一定の要件を満たす場合、期末手当を支給
一般的なアルバイトやパートタイム職員の時給が1,200円~1,500円ほどであることを考えると、かなりの好待遇であると言えます。
学校によって4,300円~7,800円と幅がありますが、基本的には最低時給の4,300円をベースに考えておくと良いでしょう。
特別専門講師の休暇等
特別専門講師の休暇もかなり充実しています。
このあたりは、さすが公務員の括りといったところでしょうか。
休暇は大きく分けて以下の2種類。
- 有給休暇
- 無給休暇
それぞれ簡単に見ていきます。
有給休暇
特別専門講師の主な有給休暇は以下の通り。
- 年次有給休暇
- 公民権行使等休暇
- 慶弔休暇
- 夏季休暇
- 妊娠出産休暇
- 母子保健検診休暇
- 妊婦通勤時間
- 出産支援休暇
- 育児参加休暇
上記の休暇を取得する際は、有給休暇なので、当然お給料も発生します。
年休以外にも多くの休暇制度があるのは嬉しいですね。
無給休暇
特別専門講師の主な無休休暇は以下の通り。
- 妊娠症状対応休暇
- 育児時間
- 子どもの看護休暇
- 生理休暇
- 短期の介護休暇
- 介護休暇
- 介護時間
- 育児休業
- 部分休業
上記、制度としては設けられているものの、無給休暇を利用しての休暇は、当然お給料が発生しません。
こちらの無休休暇については、制度があってもあまり活用できないというのが現実かも知れません。
ただ、欠勤と異なり無給休暇はきちんと手続きを踏んで無給休暇を取る限り、懲戒処分の対象にはなりません。
特別専門講師は地方公務員の隠れた人気職種!兼業にもおすすめ
ここまで、東京都の特別専門講師の募集要項について詳しく見てきました。
公務員のデザイン職といっても、このように多種多様な職種があります。
自治体のデザイン・クリエイティブ枠を照準に就職活動や転職活動をおこなっている人も多いと思います。
ですが、このような選択肢があることも覚えておいてください。
現在、学生として勉強しながら、あるいは、働きながら就職活動や転職活動をおこなっている人にとって、この特別専門講師はかなり魅力的に映るでしょう。
というのも、少ない労働力で多くの収入を得られるため、転職活動や就職活動の資金に充てることができます。
また、任期付きとは言え、特別専門講師として採用された場合は面接時のアピールポイントとなるため、面接ネタとしても打ってつけ。
業務と全く関係のないアルバイトをするよりも、業務とある程度関係のある特別専門講師として働きながら収入を得られれば、志望理由を作成する時にも役立つでしょう。
ぜひ、ご自身のキャリアプランを形成する際の参考にしてみてください。
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