本業としてのデザイン業から離脱してからは、自分のデザイン能力が確実に落ちていくのを痛感するようになりました。
独学でもある程度の知識・技術は会得することはできますが、あくまである程度といったレベルです。
イラストレーターやフォトショップも毎日使っていないと、いつも使っていたショートカットキーを忘れてしまったり、印刷するのが億劫になったり。
そこで、事務職に転職した僕が今、どんな方法でデザイン力を維持しているかをご紹介したいと思います。
社会人の通う写真教室やデザイン教室での経験
デザインの学校に通っていた頃と違い、デザイン業界を離脱すると、自分の身近で同レベルのデザイン力を持った人はほとんど居なくなってしまいました。
当たり前と言えば当たり前なのですが、事務の仕事をしていると周りの人はアートやデザインに興味のない人の方が多いです。
そうすると、自分から積極的にアートやデザインに興味がある人が多くいる場所に赴いていかない限り、そのような人たちと交流すること出来なくなってしまいます。
稀に会社や社会人サークルのような場所でそういったアートやデザインが好きな人に会うこともあるのですが、自分でモノづくりまでしている人は少なく、見る方専門といった感じでした。
また、趣味でアートやデザインの作品を作っている人も居たりするのですが、もともとデザインの世界にどっぷり浸かっていた自分からすると、物足りない感じでした。
うーーん、どうすればいいかな?と思い、インターネットや美術館のチラシを眺めていると、写真教室や社会人のためのデザイン学校という文字が目に入ってきました。
「お、これはいいかも」
ということで。僕は転職して仕事も慣れ始めてきた頃に、週末だけ写真の教室に通ってみることにしました。
かつて就職する前に通っていたデザイン専門学校でも写真の授業はカリキュラムの中に少しだけありましたが、本当に写真の授業に特化して、プロの写真家の方に習うというのは初めてだったので中々新鮮な体験でした。
社会人のための写真教室に通ってみて
写真教室では、フィルムカメラ、一眼レフカメラ、デジタルカメラ、スマートフォン、フィルムカメラ、トイカメラなど、とりあえず、写真を取るためのカメラさえあれば、どんなカメラでもOKという条件で受講することができました。
簡単な講義と、その日のお題が出され、2週間後くらいに自分が撮影したきた写真をプレゼンテーションするという流れだったと思います。
当時の僕のスマートフォンのカメラはそこまで性能が良くなかったので、手持ちのデジタルミラーレス一眼レフカメラを使って、課題をこなしていきました。
受講生はプロのカメラマンの人はあまりおらず、趣味でカメラを極めている人が大多数でした。本業はみんな別にある感じです。あとは美大生とか、美大生の卵の子とか。
それでも、プロ級に上手い人もいたし、機材も何十万円もするようなレンズを持っている人もいました。
僕が通っていた写真教室は技術を磨くというよりは、アイデアやセンスで写真を構成するという要素が強かったため、そこまでカメラの知識や技術がなくてもついていく事ができるレベルでした。
ただ、フルサイズのデジタル一眼レフカメラで撮影したプリント写真を見たときは、流石にこの画質には勝てないなあ。と思いました。
自分のデジタルミラーレス一眼レフカメラで撮影した写真もそこそこ綺麗に撮れていましたが、フルサイズで撮影した方が、画質やグラデーション、きめ細やかさなど、写真そのものの力が半端なかったのを覚えています。
それでもまあ、アイデアや企画力勝負という事で、ほかの人と違う視点になるよう意識して写真の課題をこなしていったのを覚えています。
全ての講義が終わってみての感想は、「アマチュアでも趣味を極めている人が本当にすごいなあ」という事でした。力の入れ具合が半端なかったし、皆楽しそうに講義を聞いているのをみて、久しぶりに楽しい感覚を得た!という感じでした。
写真のレベルも趣味で撮っていたときより、やはりもう一段階上げる事ができたのも良かったです。課題があるとそれを乗り越えるため、少し無理をするのが良かったみたいです。
社会人のためのデザイン教室に通ってみて
次に社会人のためのデザイン教室に通ったときのことを綴っていこうと思います。
その時は、自分のレベルを維持することや少しでもデザインのレベルを上げることを意識していたため、一般の人ではなく、プロのデザイナーの人が通っている教室に行ってみたいという思いに駆られていました。
そこで、色々とネットで検索していると、幾つかそういった教室がある事がわかったので、そちらに通うことにしました。
授業は約半年間に及び、広告、タイポグラフィ、印刷の知識・技術、パッケージ、写真、エディトリアルなど、プロのデザイナーの方達と一緒に教室で学ぶことできました。
授業の課題は社会人のためのデザイン学校らしく、毎回かなり重い課題が与えられました。
デザイン専門学校の時と違って、今度はプロのデザイナーと肩を並べながら課題をこなしていくという事で、課題提出後のプレゼンテーションでは変な作品を持っていくことはできません。
毎回、かなり緊張しながら、課題を持って行ったのを覚えています。
受講生はもちろんプロのデザイナーの方が多いのですが、一般の方でもかなり意識が高い方も居たりして作品のレベルとすごく高かったです。
講師の先生もプロのアートディレクターや写真家など、毎回豪華な講師陣で、その時の業界の話を聞くのも楽しみになっていました。
デザイン業界を離れて何年も経っていましたが、やはりこれくらいのレベルで自分の力を出し切れるというのは、充実感があり、中々良い時間を過ごす事ができたという感じでした。
個人的な感覚ですが、普段はプロのデザイナーの方でも、仕事に翻弄されるあまり、こういった自由な発想で作品制作をすることは少ないようでした。
なので、同じくらいのレベルで一緒に課題をこなしていけるのも、良かったなあ、と思います。ボコボコのズタズタにされていたら、きっと途中で通うの辞めてしまったかもしれないので(苦笑)
感覚的には自分のデザインのレベルが2段階くらい上がった感じです。課題も、実は毎回毎回、結構苦しかったんですが(苦笑)
このあと、コンペに応募したり、旅行に行ったときに写真撮影をするときも、いろいろなことを意識するようになり、結果的には通ってよかったなと思います。
デザイン業界を離れても、デザインの力を伸ばすことはできる
以上見てきたように、僕は週末を利用して写真教室に通ったり、社会人のためのデザイン学校に通ったり、自らのデザインの力を伸ばすための経験を積んできました。
今の本業は事務仕事メインですが、こんな自分でもデザインコンペやデザインコンテストで入賞するくらいの力を継続して維持する事ができています。
趣味でデザインをやっていくのもそれなりに面白いですが、やっぱり社会の中で自分の生み出したデザインがどんな化学反応を起こすのかを見てみたいという気持ちもあります。
プロとして活躍し続けていたら、そのチャンスはいくらでもあったかも知れませんが、今の自分の立ち位置でそれがどこまで通用するのか。それに挑戦し続ける毎日も悪くないかな。と思っています。
好きだったデザインの仕事を辞めて、もう10年以上の月日が流れています。
病気になって離職してしまった時は、もう二度とデザインと関わることはないと思っていました。ですが今、こうして、自分なりの方法でデザインを続けていく事ができています。
それでも毎日は日々充実しているし、これからもデザインのことを学び続けて行きたいと思っています。このブログを訪れてくれた人に、少しでも勇気を与えられたら幸いです。
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