デザインの力を向上させるためには、アウトプットだけではなく、インプットも同じくらい重要です。
どんなに優れたデザインの技術があっても、インプットした情報が無ければデザインの幅を広げていくことができません。
- どれだけ多くの体験をしたか
- どれだけ多くのものを見たか
- どれだけ多くのものを聞いたか
- どれだけ多くのことを感じたか
これらすべて、自分で見たもの、聞いたこと、感じたことすべてが優れたデザインを引き出すための情報となっていきます。
デザインを作り出す立場ではなく、デザインを選ぶ立場であっても、自分の中に数多くの引き出しがないとどれがいいデザインかを判断する術がありません。
そこで重要となってくるのが、優れたデザインを見つけ出すための「嗅覚」となってきます。
ただし、「嗅覚」といっても実際に匂いがあるものを探すという意味ではなく、ここでいう嗅覚とは、時代の潮流を掴んだ優れたデザインを見つけ出す能力という意味合いです。
もちろん、普通に生活しているだけでは中々そのような情報は入ってきません。
自分から情報を取りに行くことで最新のデザインの流れを嗅ぎ分けることができるようになります。
そこで重要となってくるのが、雑誌等に掲載されている情報となってきます。
インターネットやSNSが全盛の時代とはいえ、雑誌等から入ってくる情報は幅広い分野をカバーしているため、とても役に立ちます。
インターネットやSNSは速報性に優れていますが、自分が興味ある分野以外の情報を検索することは少ないため、それ以外の情報が中々入ってきません。
その点、雑誌等では自分に興味・関心がある/無いにかかわらず、ページをめくれば様々な情報が自然と目に入ってきます。
そこで、今回はそんな時代の流れを掴んだ情報の宝庫であるデザイン関連の雑誌について解説。
この記事を読んで、ぜひ日頃から積極的に情報収集に励んでみてください。きっと、時代を半歩先取りしたいいアイデアが生み出せるでしょう。
デザイン関連の雑誌は旬の情報の宝庫
冒頭でも少し触れたように、雑誌は時代の潮流を映した情報の宝庫と言えます。
特集されているページ企画についても、出版社や編集者が今何が流行っているかをリサーチし、読者に心に刺さる内容を提案してくれています。
そのため、雑誌を読むだけどんなモノ(コト)が流行っているのか、どんなものに需要があるのかを、すぐに把握することができます。
特に、実店舗の本屋さんで平積みされている雑誌は最新のトレンドを収録したものが多いので、こまめに本屋さんに足を運んでチェックしておくと良いでしょう。
もし、自分がデザインに関連する部署に所属している場合は、企画・立案のヒントになります。
あるいは、デザインに関連する職種を目指している人にとっても、どんな企画が世の中でもてはやされているのか、どんな見せ方をすると読者にとって魅力的にみえるのか、などの参考になります。
インターネットのオンライン書店ばかりで実店舗の本屋さんにはあまり足を運ぶ機会が少ない人は、ぜひ普段から街角の本屋さんを利用するよう心掛けてみてください。
元デザイナーがオススメするデザイン雑誌 5選
ここからは、デザイン初学者でも取っ付きやすい雑誌を5つご紹介します。
いずれも、僕がデザインの勉強をしていた時や、実際にデザイナーとして活躍していた時にも、継続して読み続けていた雑誌となります。
今は、事務の仕事がメインとなっているため、毎号買うということはありませんが、今でも興味のある特集・企画が掲載されている時は必ず購入するようにしています。
今回の記事でご紹介するのは、こちらの5つのデザイン関連の雑誌です。
- デザインノート(誠文堂新光社)
- ブレーン(宣伝会議)
- pen(CCCメディアハウス)
- 日経デザイン(日経BP)
- デザインの引き出し(グラフィック社)
いずれも、ある程度大きな本屋さんに行けば必ず置いてある雑誌のひとつです。
それとこちらは余談ですが、自分が欲しいと思った雑誌についてはなるべく紙媒体の方の雑誌を購入するようにしています。
というのも、やはり紙媒体の雑誌の方が一覧性・可動性に優れていますし、パッと思い出して調べたい時にすぐに手に取れるためです。
デジタルがいいか、紙媒体がいいかは好みによって分かれる所だと思いますが、スマホで閲覧するくらいなら紙媒体の雑誌を買った方がいいと思います。
タブレットのような画面が大きな端末であればどちらで閲覧しても良いと思いますが、紙や印刷の種類を特集している雑誌で、現物の付録が付いている場合は紙媒体一択となります。
目的や自分のライフスタイルに合わせて、デジタルの雑誌を購入するか、紙の雑誌を購入するかは使い分けておくと良いでしょう。
①デザインノート(誠文堂新光社)
デザインノートは、デザイン関する情報を集めるならコレ!といっても良いほど、デザイン業界では有名な雑誌の一つ。
誠文堂新光社から2004年に創刊された雑誌で、今でも定期的に出版されてデザインに携わる人々のバイブル的な雑誌です。
雑誌そのもののデザインや記事のレイアウトも「デザイン」のことを記事にしているだけあって、さすがに美しく配置されています。
特集も読みやすく、取材を通じて著名なデザイナーやアートディレクターの方の考え方、思考のプロセスを辿ることができるので、デザインを学んでいる学生からも人気があります。
②ブレーン(宣伝会議)
ブレーンは宣伝会議という出版社から発行されており、主に広告のデザインや広告クリエーターを特集している雑誌です。
1961年に創刊され、企画書・プレゼン、海外広告賞、地域ブランディング、空間デザイン、最新テクノロジーの活用法などが掲載されています。
毎号さまざまな切り口から、広告コミュニケーションの最先端をレポートしてあるため、広告・広報の分野に携わる人にとっては貴重な1冊。
レイアウトや記事も読みやすいため、ページをパラパラとめくっているだけでも、世の中で今どんなものが流行っているのかを掴みやすいでしょう。
③pen(CCCメディアハウス)
penはCCCメディアハウスから出版され、毎号ひとつのテーマをpen独自の切り口から徹底的に掘り下げています。
そのため、毎号毎号がデザインの特集という訳ではありません。
モノ、ファッション、スポーツ、クルマ…etc、デザイン以外にも毎号ひとつのテーマを取り上げています。
このように、penはある1つのテーマを深掘りしてくれるので、浅く広い情報を集めるのではなく、深く濃い情報を集めるのに最適な1冊となります。
④日経デザイン(日経BP)
日経デザインは、見た目の綺麗さや美しさから、もう一歩踏み込んで経済的・技術的な側面からもデザインを分析している雑誌です。
日経BP社から出版され、デザインをビジネスの視点で捉え、“売れるデザイン”を解き明かすことを主軸にしています。
No Design,No Business.──
を合言葉に、製品・サービス開発の現場を取材して仕事に役立つ実践的なヒントとノウハウを特集しています。
⑤デザインのひきだし(グラフィック社)
でざいんのひきだし、については先にご紹介した4つの雑誌に比べてデザインの技術的な要素が強い内容となっています。
でざいんのひきだしはグラフィック社から不定期に出版されている雑誌で、人気のある号はすぐに売り切れてしまうので要注意です。
紙や印刷の種類、加工の方法など、割と専門的な内容となっているため、主に制作をメインとするお仕事の人をターゲットにしています。
ただ、実際に制作に携わらない場合であっても、多種多様な紙や印刷の種類があることを知っておくだけで、チームのメンバーと意思の疎通が図りやすくなるでしょう。
また、専門的な用語、専門的な加工の仕方などをきちんと理解しておけば、自分自身がイメージしながら打ち合わせできますし、相手からも一目置かれる存在となります。
デザインのひきだしは、付録が毎号とても豪華なのでそれだけでも買う価値があるかも知れません。
欲しいデザイン雑誌を手に入れる場所と方法5選+α
ここまで僕がオススメする5つのデザインに関連する雑誌を見てきました。
書店で見かけたこともある雑誌も多いかと思いますが、そんな雑誌一度も見たことがないという人もいるかも知れません。
そこで、ここからは欲しい雑誌を手に入れる場所と方法について触れておきましょう。
基本的なスタンスは以下の通りです。・
- デザイン・芸術関連の書籍や雑誌を多く取り扱っている大型書店に行く
- ブックオフなどの大型新古書店や古本屋でバックナンバーを探す
- メルカリ、ヤフーオークション等で出品されていないかチェックする
- インターネットでバックナンバーを販売しているサイトから購入する
- デザインの勉強をしていた友人・知人から譲ってもらう
- 【番外編】どうしても手に入らない場合は、ミュージアムライブラリーや図書館を利用する
近年では、大型の書店でも駅前から撤退したり、近所の昔ながらの本屋さんが潰れていく時代です。
そういった事情もあり、雑誌もいずれはデジタルの媒体で読むのが主流となっていくのかも知れません。
ただし、今は手に入れようと思えば過去のバックナンバーや最新の雑誌を定期購読することも可能な時代です。
欲しいと思っている雑誌が手に入らない場合は、ぜひ参考にしてみてください。
デザイン・芸術関連の書籍や雑誌を多く取り扱っている大型書店に行く
まずは、自宅や勤務先から近い大型書店を訪れてみましょう。
有名どころでいうと、紀伊国屋書店、ブックファースト、丸善、ジュンク堂、有隣堂などの大型書店が有名でしょうか?
他にも、蔦屋書店などのオシャレな本屋さんなどにも置いてあったりします。
紹介した雑誌が置いてある近所の書店を見つけたら、毎号チェックできるようこまめに足を運んでみましょう。
ブックオフなどの大型新古書店や古本屋でバックナンバーを探す
新刊以外で、バックナンバーを探しているという場合はブックオフなどの大型新古書店や街の古本屋さんもチェックしてみましょう。
過去に発売された雑誌も古本扱いでこういった店舗には置いてあることも多く、価格も新品で買うよりも割安です。
ただ、在庫限りであることが多いので欲しいバックナンバーを見つけたらすぐに買うようにしましょう。
メルカリ、ヤフーオークション等で出品されていないかチェックする
実店舗で見つからない場合は、メルカリ、ヤフーオークションなどのサイトから購入するという方法もあります。
キーワード検索で欲しい商品を探せるため、検索もしやすいです。
やりとりに多少の手間が発生するのと雑誌の中身や特集が見れないので、その点がネックとなります。
もし、過去に自分が見たことのある雑誌で買いそびれたものがあれば、この方法は有効と言えるでしょう。
インターネットでバックナンバーを販売しているサイトから購入する
メルカリ、ヤフーオークションでの購入が心配という人は、販売している企業を間に挟んで購入するという方法もあります。
有名なところでは、「雑誌のオンライン書店 Fujisan.co.jp」というサイトが有名です。
こちらのサイトでは、国内で販売されているほぼ全ての雑誌をカバーしており、雑誌の種類によっては多くのバックナンバーを取り揃えています。
デザインの勉強をしていた友人・知人から譲ってもらう
実店舗やインターネットでも、どうしても欲しい雑誌が手に入らない場合はデザインの勉強をしていた友人・知人から譲ってもらうという方法があります。
今現在デザインの勉強をしている人は中々譲ってくれないかも知れないので、デザインの勉強をしていた人という所がポイント。
かつて自分自身もデザインの専門学校に通っていましたが、卒業後は約半分ほどの人がデザインの道から離脱していきました。
それだけデザインの道で生きていくというのは厳しいという側面もあるのかも知れませんが、ある程度レベルが上がってくると初心者向けのものは不要となるのも理由の一つです。
もし自分の周りにそうのような友人・知人が居たら、快く譲ってくれる可能性が高いです。
【番外編】どうしても手に入らない場合は、ミュージアムライブラリーや図書館を利用する
欲しいデザイン雑誌を手に入れる場所と方法について色々と見てきましたが、それでも出版年が古い雑誌は中々手に入りません。
過去に物凄い良い特集をしていた雑誌をどうしても閲覧したい場合は、美術館に併設されているミュージアムライブラリーや図書館も見てみましょう。
購入は難しいですが、その場で閲覧したり、一部のページをコピーしたりすることは可能なはずです。
それでもなお手に入らない場合は、国立国会図書館のような国内で出版された全ての本や雑誌を保管している専門図書館を訪れる以外に方法はありません。
ただし、あまりにも古い雑誌は情報の鮮度としては低いので、そこまで無理をして情報を掴みに行く必要はありません。
レトロなデザインをする際には参考になるかもしれませんが…
雑誌の特集は時代を映す鏡!積極的に情報収集をしよう
インターネットやSNSが全盛の時代であっても、デザイン関連の雑誌はとても貴重な情報源です。
スマホやパソコンが普及して、デジタル媒体で閲覧できる雑誌メディアも多くなってきました。
ですが、多くの雑誌が毎号新しい紙媒体の雑誌を発売しています。
やはり、一覧性・可動性に優れている紙媒体の雑誌は重宝されますし、パッと思いついたときにすぐに本棚から取り出してパラパラと閲覧できるのは大きなメリットです。
資料として参考にする際も、作業用パソコンの横において雑誌を見ながら作業できるのも紙媒体の魅力でしょう。
ただし、今はタブレット端末でも雑誌と同じ大きさくらいのディスプレイがありますし、紙媒体とデジタル媒体と使い分けられる人はデジタルの方でも良いでしょう。
どちらにせよ、常日頃から時代の潮流を掴んだ情報を掴みに行くという習慣が大事となります。
普段あまり雑誌から情報を得ていなかったという場合は、ぜひこまめにチェックするようにしてみてください。
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