仕事や日常生活をしている時に、「もっといいアイデアが出せたらな…」と悩んだ瞬間はありませんか?
- 「なぜ、あの人はすぐにアイデアが出てくるのか?」
- 「自分だけ、何も浮かばない…」
- 「このままだと“センスがない人”と思われるかも…」
自分自身も、そんなプレッシャーを感じたことが何度もあります。
僕は元々、民間企業でグラフィックデザイナーとして働いていましたが、今は事務職として、全く違う立場で働いています。
デザインの現場を離れても、
「もっと見やすくなるは方法ないかな」
「このお知らせ、伝わるかな」
と、ついついデザイン的な視点で考えてしまいます。でも、これって公務員や会社員の人にとっても大事なことですよね。

ただ、僕は昔から発想力があるタイプだったかというと…全く逆。 むしろ、「アイデアを出すのが一番苦手」なタイプでした。
そこで今回は、アイデアに悩んできた僕だからこそ伝えられる“ひらめき”の正体とその育て方について解説。
今はChatGPTのようなAIも日常的に使えるようになってきていますので、それらを駆使した方法も併せてお伝えいたします。
今回の記事を読めば、アイデアを出すための土壌が整い、仕事や日常生活でも自然とアイデアが出せるようになるでしょう。
良いアイデアは訓練すれば誰でも出せる

「アイデアを生み出す人」と聞くと、何か特別な才能やセンスを持っているように聞こえるかもしれません。
でも実際は、訓練をすることで誰でも才能ある人に近づくことができます。
アイデアやひらめきの正体について
まずはじめに、誰もが気になっている「アイデアやひらめきの正体」についてお伝えします。
アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない
引用:新装版『アイデアのヒント』(ジャック・フォスター著)
このことは、『アイデアのヒント』というアメリカの大手広告代理店で働いていたジャック・フォスター氏によって書かれた本に記載されています。
ちなみに、僕はこの本がボロボロになるまで今でも何十回と読み返しています。
書籍には、具体的にアイデアを出す普遍的な方法が数多く記されており、自信を持ってオススメできる1冊です。
既存の要素の組み合わせの例として、今の時代のアイテムで例えると以下のようなものがイメージしやすいでしょうか。
- 「メモ帳」と「冷蔵庫」を組み合わせた”冷蔵庫に貼れるToDoメモ”
- 「カフェ」と「仕事場」を混ぜた”コワーキングスペース”
実は、私たちが便利だと思っているものの多くが、既存の要素の新しい組み合わせでできています。
この「既存の要素」×「既存の要素」の新しい組み合わせを考えれば、斬新なアイデアが生まれる可能性が高まります。

アイデアとは「知っていること」や「見たことのある情報」を新しい形でつなぎ直すことにすぎないのです。
アイデアは既存の要素を整理するだけ
アイデアが出ないときは、「まだ思いついていない」のではなく、思いつくための“材料”が整理されていないだけ。
発想力を鍛えるとは、つまり「素材を集めて」「つなぐ回路をつくる」訓練をすることなのです。
ではその土台を作るために、どのようなステップを踏めばいいのでしょうか?
具体的な方法は以下の4つ。
- Step① 発想するための情報を集める:観察力と引き出しづくり
- Step② 集めた情報を、組み合わせる:視点をずらし、組み合わせる力を鍛える ※AI併用可
- Step③ 一旦、考える作業から離れる:アイデアは“放置”で浮かぶ
- Step④ 出したアイデアを育てていく:ダメ出しと改善で、アイデアは磨かれる ※AI併用可
この4ステップを意識することで、自信を持ってアイデアを出せるようになるでしょう。
Step① 発想するための情報を集める

どんなに優れた発想も、元になる“材料”がなければ始まりません。アイデアの出発点は、「気づく力」と「記録する力」です。
まずは、身の周りにあるヒントに敏感になることから始めましょう。
観察力と引き出しづくり
アイデアの素材は、特別な場所ではなく、目の前の日常に転がっています。
具体的には以下のようなものが挙げられます。
- 通勤途中に見る広告のデザインやキャッチコピー
- SNSでバズっている投稿の構図や言葉の選び方
- 上司のプレゼン資料のうまい伝え方
こうした「なんとなく印象に残るもの」を、意識して集めるクセをつけるだけで、アイデアの“引き出し”がどんどん増えていきます。
情報を集めるための具体的な方法

ここからは、日常の中で「引き出し」を増やすために、どんな工夫ができるかをご紹介します。

“引き出し”とは、言い換えれば「自分なりのインプットのストック」のことです。
素材が多ければ多いほど、ひらめきの選択肢が増えます。
デザインや発想に関わらず、日常の「気づき」をストックするだけで、アイデアの種が増えていくのです。
- スマホの写真フォルダを「デザイン観察用」にする
- PinterestやNotionで「お気に入り資料」フォルダをつくる
- 日常で「気になったこと」を1日1つ、メモ帳に記録する
こうした習慣は、一見地味ですが非常に効果的です。
素材の引き出しを増やしておくと、後の組み合わせフェーズがぐっと楽になります。
つまり“インプットの質と量”が、ひらめきの幅を決めるのです。
※PinterestはWeb上で見つけた画像や動画を保存、共有し、アイデアやインスピレーションを集めるためのビジュアル探索型SNSのこと
※Notionは情報の整理やプロジェクト管理を簡単にし、業務を効率化できるドキュメントツールのこと
習慣化するための工夫
「1週間に1つだけテーマを決めて観察する」という方法もおすすめです。
たとえば「色使い」や「コピーの言い回し」など、自分が注目したいポイントを1つ選んで集めることで、観察力がぐっと深まります。
日常の中で“引き出し”をつくる行為を意識するだけで、ひらめきの準備が整っていくことを実感できるでしょう。
ひらめきの幅は“インプットの質と量”で決まるのです。
Step② 集めた情報を、組み合わせる

素材がそろったら、いよいよそれらを“組み合わせる”段階です。
ここでは、自由な発想やちょっとした視点のズレが大きな力を発揮します。
視点をずらし、組み合わせる
「集めた素材をどう使うか?」ここで必要なのが強引な発想力です。
- 「スマホ」×「もちもち」→ 触り心地に特化したスマホケース
- 「会議」×「アウトドア」→ 焚き火を囲んでミーティング
どうでしょうか?少しアイデアを出すのが身近に感じられるのではないでしょうか。
もちろん組み合わせる要素によっては、しっくりこないかも知れません。
最初は荒唐無稽に見えてもOK。
この作業はアイデア発想のための「筋トレ」のようなものだと思ってやってみてください。
組み合わせるための具体的な方法

次は、頭の中にあるバラバラな素材を、どうすればうまく組み合わせられるのかを考えていきます。
多くの人は「アイデア=ゼロから作るもの」と思い込みがちですが、実際は既にあるものを組み合わせるのが正解。
視点を少しずらしたり、意外なもの同士を掛け合わせるだけで、一気にユニークな発想が生まれます。
近年ではChatGPTのようなAIも台頭してきているので、集めた素材をAIに放り込んでも良いでしょう。
- 日常の名詞を2つ紙に書いて、くじのように引いて組み合わせる
- 「逆にしたらどうなる?」を問いかける
- 集めた素材をChatGPTなどのAIに入れてみる
こうしたワークは、アイデアを出す前のウォームアップとしてもおすすめです。
組み合わせのバリエーションを繰り返すことで、“発想の柔軟性”が鍛えられます。
慣れてくると、複雑な課題も複数の視点から捉えられるようになります。
チームで発想を広げるヒント
“組み合わせゲーム”は、誰かと一緒にやるとより効果的です。もちろんAIとの壁打ちでも発想のヒントは得られます。
ここに、他の人の視点やアイデアが加わることで、自分では思いつかなかった発想につながります。
ゲーム感覚で進めると気軽に参加できるので、発想が苦手な人にもおすすめです。
他人の視点も混ざり合って、思いもよらなかったアイデアが生まれやすくなります。

発想を“ひとりで抱え込まない”ことも、柔軟な視点を育てる重要なヒントになります!
Step③ 一旦、考える作業から離れる

ひらめきは、常に目を凝らして考え続けた先に現れるとは限りません。
むしろ、いったん頭から離したときに“ふと”浮かぶことも多いのです。
アイデアは放置で浮かぶ
「今すぐ出さなきゃ」と思うほど、逆に出てこないのがアイデアというもの。

僕自身、夜遅くまで考え込んで、いいアイデアが出なかった日が多々あります。
けれども、翌朝、洗顔中やコーヒーを入れてるときにふっと答えが出てくる
──そんな経験が何度もあります。
考えて、考えて、考えて、考えて…それでもなお、いいアイデアが出てこない時は一旦放置する勇気も必要です。
寝かせるための具体的な方法

“考えすぎ”を手放すコツは、意図的に「放っておく」時間をつくること。
頭の中で何かを考え続けていると、脳は一見フル回転しているようで、実は処理が滞ってしまうことも。
少し距離を置くことで、無意識のうちに脳が情報を整理し、答えを導いてくれるのです。
- メモに残して、いったん忘れる
- 仕事中でも“考えないタイム”をつくる
- お風呂の中で“ふと思い出す用”のメモアプリを開きやすくする
「考えない時間」を作ることで、脳の裏側にある“無意識の思考回路”が自然と働き出します。
大切なのは、「あえて手放す勇気」。
それが、次のステップへ進む突破口になることも多いのです。
環境で発想を刺激する
散歩や自然の中での時間は、脳に余白を与えるチャンスです。
スマホを見ない静かな時間を意識的につくるだけで、頭の中の情報が自然と整理されます。
その結果、思いがけないひらめきが、ふと浮かぶことがあります。
- 散歩に出る
- 緑のある場所に行く
- あえてスマホを見ない時間をつくる
──こうした「脳に余白を与える行動」が、意外と大きな差を生みます。
静かな時間の中で、あなたの中に眠っていたヒントがふと顔を出すかもしれません。
Step④ 出したアイデアを育てていく

出したアイデアは「そのまま」では終わりません。
ここからどう育てていくかが、発想を“使える形”に変えるカギとなります。
ダメ出しと改善で洗練させる
最初から完璧なアイデアを出そうとしないこと。
むしろ、「ちょっとズレてる」「惜しいかも」と感じるアイデアこそ、他人の視点で磨かれて“化ける”可能性を持っています。
育てるための具体的な方法

出したアイデアを“そのまま”にせず、どう磨いていくか。その方法をシンプルにまとめます。
アイデアは、生まれた瞬間が一番“未完成”です。
そこから少しずつブラッシュアップすることで、他人にも伝わる形に整っていきます。
大事なのは、出した後にどう扱うか。そして、磨くことを面倒くさがらないことです。
- まずは違う方向性のものを3案出して、他人に見てもらう
- 1日置いて“明日の自分”にフィードバックしてもらう
- 出したアイデアをAIに投げて、客観的に評価してもらう
育てるプロセスで意識したいのは「第三者の視点」。
他人の目を通すことで、自分では気づけなかった強みや弱みに気づくことができます。
また、自分の中でも時間をおいて見直すことで、冷静な判断ができるようになります。
発想力は“出す力”だけでなく“育てる力”で完成されるのです。
「比較」と「混ぜ合わせ」で磨く
「出したアイデアを、どうやってもっと良くするか?」
それを考えるときに役立つのが「比較」と「混ぜ合わせ」の考え方です。
たとえば、1つの問題に対して、あえて違う方向のアイデアを3つ出してみます。 たとえば──
- 王道:多くの人が思いつく、王道のアイデア(例:夏の暑さ対策に“扇風機を使う”)
- 現実的:すぐに実行しやすい、現場で使えるアイデア(例:首元に保冷剤を巻く)
- 突飛:ちょっと変わった、奇抜で新しいアイデア(例:ドローン型の扇風機が部屋を飛び回る)
これらを並べて比べてみると、それぞれの「良さ」や「物足りない点」が見えてきます。
そのあとに、いい部分をつなぎ合わせてみると、ぐっと洗練された“本命アイデア”が生まれることがあるのです。

アイデアを出したあとに「比較する」→「混ぜ合わせる」。 これだけで、アイデアの質はぐんと上がります!
完璧なひらめきは最初から狙わなくてOKです。
比較したり、混ぜ合わせたりする中で、アイデアはどんどん“育っていく”ものなのです。
ひらめきの正体を知って、アイデアが出ない恐怖を乗り越えるべし

「アイデアが出ない…」
「自分には向いてないかも…」
そう感じるのは、自然なことです。でも実は、ひらめきは「訓練で磨き上げる」ものです。
素材を集め → 組み合わせ → 寝かせて → 育てる
この“仕組み”の上に生まれるものです。
完璧なアイデアなんて最初から必要ありませんし、少しズレていても磨けば形になります。
僕自身、事務職として働くなかで、「どうしたらもっと伝わるか?」を考える時間が増えました。
そのおかげで、以前よりずっと発想の幅が広がった実感があります。
今回の記事を参考に、良いアイデアを出すためのコツをつかんで頂ければと幸いです。

肩の力を抜いて、日常の中にあるヒントを探してみてください。 きっとあなたの中にも、アイデアの種が眠っています!
- 通勤中に「気になる広告」をスマホで撮る
- SNSで「いいな」と思ったデザインや写真をスクショして保存
- ふと思いついたことをメモアプリに放り込む

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