クリエイティブなデザインのお仕事と、決まったルール通りにおこなう事務仕事は、一見すると真逆のように思えるかも知れません。ともすると、まったく別の能力が必要なようにも思えます。
が、実際には共通点も多く、デザインで培った能力を活かせる領域が幅広くあります。クリエイティブな業界から一般の会社への転職を踏みとどまっている方への後押しになればと思い、今日はその点について詳しく書いていきます。
商品を魅力的に伝える力は、事務仕事でも必須のスキル
デザインをするときには、まずどんなコンセプトで、どんなターゲットを設定して、どんな商品を売りたいかを決めていくことになると思います。
これを今の事務仕事に当てはめると、どんな制度の内容を、どんなターゲットに、どのようにわかりやすく伝えるかを決めていくことと同義になります。
もう少し具体的に落とし込んでみるとわかりやすいと思いますので、ここでは、年末調整関連の事務仕事について考えてみましょう。
年末調整の制度について、社員に、わかりやすく発信するには、どのように伝えるのが効果的か?
この課題については、デザインの力で商品を売るのと同じように考えていくことができます。年末調整についての詳しい制度の概要は割愛しますが、一般的な会社員や公務員の方であれば、毎年、会社の総務部や事務の方から、書類が渡されて申請手続きを行っているはずです。
年末調整は1年に一回の処理なので、次の年にやり方を完璧に覚えている人は少ないのではないかと思います。そのため、その時期になると会社から年末調整の具体的な申請の仕方や、記入例などが同時に配布されたりしているはずです。
広告と同じように考えると、
売る商品が「年末調整」であるならば、この制度がいかに魅力的で素晴らしい制度であるかということを伝えていくことと同義になります。
実際のところ、年末調整をすることによって、社員は払いすぎた税金の還付を受けられますし、確定申告だってほとんどの人が省略することができます。
ところが、不思議なことにこの年末調整の作業を面倒くさいといって一定数、期限ギリギリまでやらない人がかなりの人数いたりします。
(もし年末調整をやらなかった場合は、自分で毎年確定申告を行う必要があります。そのほうがよっぽど面倒くさいのでは?とおもったりするのですが。。。。。)
自分のところにも、毎年、国税庁や担当部署の方から年末調整書類の記入の仕方や申請方法の冊子がバサッと送られてくるのですが。ハッキリ言ってまったく読む気になりません(笑)
理由は簡単です
- A4の紙にびっしりと文字が敷き詰められており、もはや模様にしか見えない
- 様々な控除対象項目があることによって、自分がどの控除対象になっているのかわかりづらい
- 去年申請した内容など、すっかり忘れている
などなど。心当たりがある、という方も多いはずです。
では、どうしたら、この複雑な年末調整の制度の内容を社員にわかりやすく伝えることができるのでしょうか。
必要なのは、いかにシンプルで分かりやすく、魅力的に伝えられるか?という点です。そこで、役に立ってくるのがある程度のデザイン能力となります。
シンプルで分かりやすく、魅力的に伝えることの大事さ
少しでもデザインの分野を勉強したことがある方や、デザインの勉強をしたことのない普通の人でも、人生で一度は「シンプル・イズ・ベスト」というキャッチフレーズを聞いたことがある方も多いと思います。
ここでは年末調整を例にあげていますが、この複雑で難しい制度の内容を、どうすればシンプルで分かりやすく、魅力的に伝えることができるでしょうか?
正解は一つではなく、 下記のように様々な方法があります。
- イラストやグラフを使って、親しみやすい雰囲気で伝えたり
- フローチャート形式にして、どんな申請をすればいいのかを伝えたり
- 難しい表現は使わず、簡単な言葉でマニュアルを作り直したり
伝えるといっても、様々な方法が挙げられます。要するに、ここでもデザインの能力は十二分に発揮できます。
そのためには、まず自分自身が年末調整の制度について深く理解しておかなければなりません。そのうえで、現状をとらえ、必要な情報と必要でない情報を精査します。それを図案化して伝えるのもよいでしょう。
もし、Canvaやillustratorのソフトが使えるのであれば、それを駆使してもよいですし。特にそのようなソフトが手元になければ、Wordデザイン講座でおこなったようなレイアウトで文書を作成してみるのもオススメです。
A4に文字がびっしりと敷き詰めらているよりは、表やイラスト、グラフや写真などを使ったほうが情報の伝達速度がスムーズになります。
自分はグラフィックデザインで培ってきた力を使って、A3の用紙に必要な項目だけをピックアップして、年末調整の作業で本当に伝えるべき内容だけをシンプルに伝えることを試みました。
その結果どうなったかというと・・・圧倒的に社員からの問い合わせ件数が減りました(笑)。自分が行ったことは、
デザイン制作の過程でいうなれば、どんなビジュアルやキャッチコピーを使って、いかに商品の魅力を消費者に伝えるか?のステップと言えます。
そのために、グラフィックデザインの力を活用して、情報を整理し、魅力的でシンプルなものに見えるようにしただけです。年末調整の制度そのもののルールを変えることは出来ませんからね。
まとめ
デザインの仕事と同じように、事務仕事においてもデザインの力を発揮する場面は、とても多いです。これは、自分自身が身をもって体験しているので、間違いないです。
ほかにも、仕事の進め方をデザインしたり、文字組やレイアウトに工夫を凝らしたり。まさしく、グラフィックデザインの能力に必要な情報を整理してわかりやすく伝えるといったシーンは数多くあります。
一見すると、デザインの仕事と事務仕事というのは、相反する反対の概念であるかのような印象を受けますが、共通点を見出そうと思えば、たくさんの共通点が見つかります。
デザイン業界から、一般の会社への転職を踏みとどまっている方の参考になれば幸いです。
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