最近、ニュースでも「デジタル庁」の名称を頻繫に聞くようになりました。
身近な所でいうと、マイナンバーカードの推進や携帯電話の料金の引き下げといったニュースを一度はどこかで耳にしたことがあると思います。
そんなデジタル庁ですが、実はデザインに関する取り組みにも非常に力を入れています。
たとえば、デジタル庁では以下のようなサイト運営をおこなっています。
募集されている職種は、採用の時期によって異なりますが、このブログを執筆している時点ではデザイン関連業務の職種もいくつか募集されています。
- プロダクトデザイナー(国民・自治体向けサービス)
- サービスデザイナー
- デザインプログラムマネージャー(オペレーションズ)
応募概要や企業情報については同じデジタル庁ですのでそれぞれの職種に大きな違いはありません。
ここでは、仕事の概要や、求められるスキルの違いについて見比べながら解説をしていこうと思います。
記事本文でも触れますが、それぞれの職種共に想定年収は700万~1,650万円となっているうえ、なんと副業も可能。
実は今回の募集は任期のある非常勤の一般職国家公務員の身分となっており、公務員の世界では「非常勤」という身分であれば副業自体も可能となっています。
公務員のデザイン職のことは気になっていたけど、いきなり転職する勇気は無かったんだよなあ…、という人でも受けやすい試験となっています。
ぜひ今回の記事を読んで、ぜひ将来のキャリアプランを描く際の参考にしてみてください。
そもそも、デジタル庁ってどんなところ?
まずは、デジタル庁がどんな機関で、どんな役割を果たしているのかを確認しておきましょう。
Wikipediaによると、デジタル庁について以下のように記載されています。
デジタル庁は、日本の行政機関のひとつ。デジタル社会の形成に関する内閣の事務を内閣官房と共に助け、その行政事務の迅速かつ重点的な遂行を図ることを目的として内閣に置かれる。2021年(令和3年)9月1日に発足した。
引用:デジタル庁 – Wikipedia
少し小難しく書いてありますが、要するに行政のデジタル化を推進する新しい組織ということになります。
もう少し私たちの生活で身近な所でいうと、マイナンバーカードの整備、子育て・介護・引越し・旅券申請などの手続きのオンライン化・ワンストップ化に取り組んでいます。
行政のデジタル化はまだまだ始まったばかりで、紙媒体の書類とデジタルの書類が混在している状況となっています。
この状況を打破するべく、創設されたのがデジタル庁なのです。
デジタル庁におけるサービスデザインユニット部門の主な募集職種
冒頭で紹介したサービスデザインユニット部門の職種は以下の通り。
「プロダクトデザイナー(国民・自治体向けサービス)」
「サービスデザイナー」
「デザインプログラムマネージャー(オペレーションズ)」
これらは、サービスデザインユニット関連の職種となります。ですが、デジタル庁ではそれ以外の職種についても数多く募集を募っています。
参考までにその他の求人一覧を掲載しておきますので、もし興味のある職種があれば併願して転職活動を進めてみても良いでしょう。
- プロダクトマネージャー(国民事業者向けサービス)
- テクニカルプロダクトマネージャー(スマホアプリ)
- オペレーションマネジメント(アソシエイト)
- プロダクトマネージャー(スマホアプリ)
- プロダクトマネージャー(事業者向けサービス)
- プロダクトマネージャー(金融領域)
- プロダクトマネージャー(府省領域)
- ビジネスアーキテクト
- PMOマネージャー
- IT-BCPマネージャー
- 品質管理エキスパート
- プロダクトマネージャー(医療・健康・介護)
- 地方業務システム基盤エキスパート
- システムエンジニア (エンタープライズ/セキュリティ)
- ネットワークエンジニア(アーキテクト)
- ネットワークエンジニア(オペレーション)
- システムエンジニア(グループウェア・LAN統合)
- プロジェクトマネージャー(グループウェア・LAN統合)
- システムオペレーションマネージャー
- ソフトウェアエンジニア(フロントエンド・省庁向け内製開発)
- ソフトウェアエンジニア(バックエンド・省庁向け内製開発)
- ソフトウェアエンジニア (フロントエンド)
- ソフトウェアエンジニア (バックエンド)
- ソフトウェアエンジニア
- ソフトウェアエンジニア (Android)
- クラウドアーキテクト(ガバメントクラウド/新規クラウド事業者)
- クラウドエンジニア (ガバメントクラウド)
- クラウドアーキテクト(ガバメントクラウド移行)
- クラウドエンジニア(ガバメントクラウド管理サービス開発プロダクトオーナー)
- クラウドセキュリティアーキテクト(ガバメントクラウド)
- クラウドアーキテクト(ガバメントクラウドヘルプデスク)
- 庁内情報システムエンジニア
- 庁内情報システム企画
- インフォメーションシステムユニット長
- 庁内情報システムオペレータ
- データプロダクトマネージャー(情報連携)
- システムアーキテクト
- 開発エンジニア(API GW)
- アイデンティティスペシャリスト
- プライバシーデザイナー
- データストーリーテラー
- ビジネスパートナーシップ(政策データ)
- 脆弱性診断士
- セキュリティプロジェクトマネージャー
- データサイエンティスト(AI利活用)
- 経営企画 ビジネスアナリスト(計数管理)
- 経営企画スタッフ(アソシエイト)
- 経営企画 業務推進
- AI政策推進(アソシエイト)
- 経営企画 ビジネスアナリスト(戦略企画)
- リクルーター
- 人材開発スペシャリスト
- 人事労務アソシエイト
- 人事システム/人事DXアソシエイト
- 人事システム/人事DXスペシャリスト
- 人事システムエンジニア
- 人事制度設計スペシャリスト
- 人事制度設計アソシエイト
- HRオペレーション(採用アシスタント)
- 人材リソースマネジメント担当
- 広報アシスタント
- PRコンテンツマネージャー(動画)
- デジタル政策リサーチャー
- 政府DX推進専門員
- 政府DX推進専門員(アソシエイト)政策推進スペシャリスト
- 政策推進スペシャリスト(国際戦略)
- 法務スペシャリスト(マイナンバー法/法令審査/契約法務)
- 総務(政策専門職)
- 人事・会計(政策専門職)
- デジタル庁参事官補佐・主査
- デジタル庁参事官補佐・主査(人事・給与関係業務情報システム担当)任期付職員
- デジタル庁参事官補佐又は主査(省庁向けサービスの企画開発・運用担当)
- 期間業務職員(一般事務補助/マイナOSS総括担当)
- 期間業務職員(一般事務補助/会計・出納担当)
- 期間業務職員(一般事務補助/総務総括)
デジタル庁では、サービスデザインユニット以外の部門でも数多くの人材を募集していることが分かりますね。
いずれも高年収の職種ばかりなので、もし少しでも興味があれば併願して受験してみてもいいでしょう。
「プロダクトデザイナー(国民・自治体向けサービス)」について
プロダクトデザイナーといえば、企業の製品や部品を設計するデザイナーとして名が知れています。
ただ、デジタル庁のプロダクトデザイナーは、国民・自治体向けサービスということで若干普通のプロダクトデザイナーとはおもむきが違うようです。
具体的な業務内容は以下の通り。
- あるべき利用者体験を反映したサービスコンセプトの可視化
- 立案 ・行政サービスと関連する法令への理解
- サービスコンセプトを用いた、複数の開発チームを横断した合意形成
- プロトタイピングの作成及び、ユーザーリサーチの設計と実施
- 住民向け、自治体職員向けなど対象利用者ごとのユーザーフロー作成
- デジタルサービスにおける情報設計及び、デザインシステムを活用したUIデザインの作成
- 外部開発事業者のディレクション
やはり行政に関する法令等の理解は必須と言えますが、公務員のデザイン職を目指している人であればこの辺りは抵抗なく受け入れられるでしょう。
「サービスデザイナー」について
次にサービスデザイナーの職種について見ていきましょう。
サービスデザイナーというと少し抽象的かも知れませんが、ザックリ言うと情報サービスのデジタル化に関わることでデジタルでの手続きをスムーズにおこなう役割を担います。
具体的な業務内容について、以下の通り。
- プロジェクトのスコープ整理や実施計画
- 住民や地方公共団体の職員に対する調査設計と実施
- 住民の体験や職員の業務、制度、システム等の課題整理と可視化
- ターゲットの特定、カスタマージャーニーマップやサービスブループリントの作成
- 利用者起点の政策や行政サービスのコンセプト定義
- プロトタイプ(ユーザーシナリオ・UI等)の作成
- ユーザーテストによる検証と改善
- 政策や行政サービスの取組方針や戦略、ロードマップ等の策定支援
- 説明資料の作成や関係者へのプレゼンテーション
- サービスデザイン活動の庁内外発信
- 国内外のサービスデザインコミュニティとの連携
- その他、行政運営の遂行のために必要な業務
サービスデザイナーは、「健康・医療・介護、教育、こども、防災、モビリティ」等のデジタル化を推進する役割も担っています。
これらのサービスの質が向上すれば、私たちの生活は一層便利で豊かなものになるでしょう。
「デザインプログラムマネージャー(オペレーションズ)」について
最後に「デザインプログラムマネージャー(オペレーションズ)」についても触れておきましょう。
デザインプログラムマネージャーは自分自身でデザインをおこなうような職種ではありませんが、デザイン関連部門において欠かせない人材となっています。
大きな役割としては、デザインの力を仕組みとして広げていく能力が求められます。
具体的な業務内容は以下の通り。
- デザインに関する業務プロセスの分析と最適化、効率化施策の立案と実行
- 組織的な知識共有の仕組み構築と運用、ナレッジベースの整備と活用促進
- デザインチームコミュニケーション活性化やカルチャー醸成の支援
- デザインシステム、デザインツールの管理と整備
- デザイン人材の獲得・定着に向けた採用戦略の立案と実行の補助
- 行政におけるサービスデザイン実践におけるガイドラインやフレームワーク等の策定と活用支援の補助
- デジタル庁の戦略に基づくサービスの創出や改善に向けたデザインチーム連携のマネジメント補助
- デザインチームの連携や協業に必要な目標、活動、タイムライン、アプローチ等の定義と計画の補助
- デジタル庁におけるデザイン活動の庁外発信、デザインコミュニティ拡大・連携の支援
- デジタル庁内における利用者体験志向の啓蒙
- その他、行政運営の遂行のために必要な業務
業務内容を見てみると、「デザイン」というシステムを定性的に分析するのではなく、定量的に分析する要素も強いことが見て取れます。
感覚的にデザインに接するのではなく、ロジカルにデザインに接するのが好きという人に向いている職種とも言えます。
サービスデザインユニット部門の応募概要について
ここからは応募概要についても見ていきましょう。
いずれの職種もデジタル庁で、身分は非常勤の一般職国家公務員です。
- 給与
- 勤務地
- 雇用形態
- 勤務体系
- 試用期間
- 福利厚生
それでは、順番にそれぞれの概要について見ていきます。
給与
まずは、何といってもきになるお給料についてです。公式サイトによると以下のように記されています。
想定年収:700万~1,650万円
※一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号)に基づき、職務経験や職務内容等を勘案し、常勤職員との権衡を考慮して給与決定します。
※ 想定年収は、賞与(年2回)を含む、週5日フルタイム勤務の場合の理論値となります。
参考:サービスデザインユニット の求人一覧 – デジタル庁
なんと、非常勤という身分でありながら年収の最高値は1,650万円となっています。
さらに、賞与も年2回支給されるため、一般的なデザイン関連の職種よりもかなりの高給といえるでしょう。
勤務地
勤務地は、もちろん東京都のど真ん中です(笑)。しかも、東京ガーデンテラス紀尾井町のビルの中。
〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町1-3 東京ガーデンテラス紀尾井町
※ただし、勤務地変更の可能性あり
参考:サービスデザインユニット の求人一覧 – デジタル庁
こんなオシャレな場所で毎日働けたら、テンションが上がりますね!
雇用形態
先ほども少し触れたように、雇用形態は一般職の国家公務員という括りになります。
デジタル庁職員
※身分は非常勤の一般職国家公務員となります。
参考:サービスデザインユニット の求人一覧 – デジタル庁
公務員でも非常勤職員という立場であれば副業が可能なことも多いです。
本業のデザイン業務の傍ら、スキルアップも兼ねて別の仕事を並行しておこなうこともできます。
こちらは、副業が法律で禁止されている正規の職員とは異なるメリットと言えますね。
勤務体系
勤務体系については、フルタイム勤務の職員とそこまで変わりませんが、任期が定められており、毎年度更新となるため、翌年に必ず採用されるとは限りません。
ですが、最大で1~5年の範囲で任用が見込めるため、その間に稼ぎ切って次のキャリアアップを目指すという手段も取れるでしょう。
具体的な勤務形態については以下の通り。
【勤務日数等】
稼働日数:週4日~週5日
※職種により、オフィス出勤を必要とする場合がございます。リモートワークについては、下記のよくある質問をご覧ください。
<デジタル庁中途採用ページ(採用に関するよくある質問)>
https://www.digital.go.jp/recruit/career
【休日】
土曜日、日曜日、祝日、年末年始(12月29日~1月3日)
※年次有給休暇は、6ヶ月後の1年間分として付与されます(例えば、1週間当たり5日契約で、全勤務日の8割以上勤務した場合10日間分付与)。
【任期】
任期:年度更新
※入庁時の任期は年度末迄(最大1年)ですが、概ね1年~5年の範囲で、年度末に勤務実績考慮の上、双方合意に基づき、更新(年度毎の再採用)を行います
【試用期間】
試用期間:1か月
※週4日以上勤務の場合に限る
【留意事項】
応募者が民間企業などとの兼業を予定している場合、原則として、採用された任期中に応募者が仕様書作成など直接関与することとなったプロジェクトに関連する調達案件への入札に関し、兼業で所属している事業者等の参加が制限されます。
【その他】
採用者にあっては国家公務員法の適用を受けます。
参考:サービスデザインユニット の求人一覧 – デジタル庁
こうしてみると割と働きやすい環境であることが分かりますね。
試用期間
試用期間についてはおおむね「1ヵ月」ほどが設定されています。
ですが、今回ご紹介した職種の中で「プロダクトデザイナー(国民・自治体向けサービス)」と「サービスデザイナー」については、試用期間は「なし」となっています。
福利厚生
最後に福利厚生についても見ておきましょう。デジタル庁のホームページには、以下のように記載があります。
- 健康保険、厚生年金保険、雇用保険及び介護保険については、適用の対象となる場合があります。
- 通勤手当は支給の対象です。
参考:サービスデザインユニット の求人一覧 – デジタル庁
こちらも一般的な福利厚生は充実しているので、特に問題は無いでしょう。
前例踏襲を打ち砕く、気概のある人こそデジタル庁の求人はオススメ!
ここまで見てきたようにデジタル庁では、様々な職種を数多く募集しています。
国内の行政サービスは長い年月、紙やFAX、ハンコや手書きによる手続き踏襲されており、まだまだデジタルで効率化できる余地が多くあります。
自分の住んでいる自治体の現状を見れば分かるかと思いますが、まだまだ市役所や区役所の窓口で紙の手続きをしなければならない場面も多いです。
そんな非効率的な事務手続きに革命を起こし得るのがデジタル庁の取り組みなのです。
特に今は多くの人材を必要としており、非常勤という身分にもかかわらず年収も1000万円を超える職種ばかり。
デザインの力に自信があって、「日本のアナログ文化の現状をデジタルの力で打破したい!」という気概のある人にとっては、天職となり得る可能性があります。
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