デザインの力を使って公務員として活躍している女性をピックアップ!

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これまで公務員のデザイン職についての概要や、就職活動の仕方を見てきました。

ですが、公務員の中でもデザイン職ではない一般事務職や他の職種に就いている人でも、デザインの力を使って活躍している人が居ます。

今回は、そんな素晴らしいスキルや才能を持った人たちをご紹介。

特に、公務員は福利厚生や待遇がしっかりしていることもあり、女性からも人気の職種です。

ここでは、デザインやクリエイティブの能力を活かして活躍している5人の女性公務員にスポットを当てました。

  • デザイン・クリエイティブ枠の公務員は倍率が高くて、自分には難しい
  • 美大出身の人たちと一緒に競争するのは、気が引ける
  • デザインやアートは好きだけど、面接でプレゼンできるほどの作品がない

このように感じている人にも、ぜひ読んで頂きたい記事となっています。

たとえ、公務員の一般行政職や事務職に就いたとしても、デザインやクリエイティブに関する業務は多々あります。

また、今回ご紹介する5人は美大や芸大ではなく、一般大学を卒業してから公務員となった女性たちです。

ぜひ今回の記事をじっくり読んで、自分のキャリアプランプランを描く際の参考にしてみてください。

目次

「公務員はお役所仕事」という感覚は、もう古い

まずはじめに、「公務員はお役所仕事」という概念は捨ててください。

一昔前、このブログを読んでいる方の親世代は確かにそのように揶揄されることも多かったです。

ですが、今は公務員の世界にもデザイン思考や、ITツール、ChatGPTのような技術が積極的に取り入れられ、業務の進め方も大きく変わりました。

このブログでも度々ご紹介していますが、近年では行政職だけでなく、「デザイン・クリエイティブ枠」の事務職を募集する自治体も増えてきました。

これは、ほんの数年前までは考えられなかった画期的な流れ。

かつては、採用試験自体も筆記試験に重きが置かれ、受験するだけで何十科目もの教科を勉強しなければなりませんでした。

もちろん、今もそのような自治体は数多くあります。

ですが、「デザイン・クリエイティブ枠」の事務職における採用試験については、民間試験と併願しやすいSPIなどの試験に置き換わっている所も多いです。

というのも、今は知識偏重型の人材が欲しいわけではなく、人柄重視の試験にシフトしているからです。

あまりに筆記試験の比重が重くなると、優秀な人材を取りこぼす可能性もあります。

今は、既存のやり方、既存の人材登用方法だけでは、変化の激しい現代社会の課題を解決することが困難な時代。

そのため、多角的な視点で問題解決できる人材が一層求められているのです。

デザインの力で革命を起こす5人の女性公務員

ここからは、実際にデザインの力を使って活躍している5人の女性公務員の方をご紹介します。

  • 北海度森林管理局の平田美紗子さん
  • 経済産業省の平山由佳さん
  • 経済官庁の半谷英里子さん
  • 山形県金山町役場の堀実玖さん
  • デザイナー・公務員でパラレルワーカーの砂田智香さん

ほとんどの方が美大出身ではなく、一般大学の出身でデザインやクリエイティブの分野で目覚ましく活躍している方々です。

さっそく、一人ずつどんなお仕事をしているか見ていきましょう!

北海度森林管理局の平田美紗子さん

1人目にご紹介するのは、国家公務員でありながらイラスト・マンガの仕事でも活躍する平田美紗子さんです。

平田さんは林野庁の職員で、“庁内漫画家”として森林や林業のことを多くの人に伝える業務をおこなっています。

出産・育休を経て、林野本庁の広報班に配属されました。

そこで、林野庁発行の情報誌『林野-RINYA』で林業漫画『お山ん画』を連載することになったのです。

他にも、図書資料館発行の『人to木』などを制作。

ポプラ社刊『みぢかな樹木のえほん(国土緑化推進機構 編)』のイラストを担当するなど、活躍の場を広げています。

2019年には、イラストや漫画を通して森林や林業の普及、教育に貢献していることが高く評価され、農林水産省優良職員等表彰も受賞しました。

参考:絵で森林の魅力を伝える 国家公務員 平田 美紗子さんインタビュー|北海道 未来のしごとの参考書 (haj.co.jp)

経済産業省の平山由佳さん

2人目にご紹介するのは、経済産業省九州産業局の平山由佳さんです。

平山さんはもともと法学部出身ですが、「国家公務員官庁合同説明会」で経済産業省の業務に興味を持ち、2018年にデザイン政策係長という役職に就きました。

平山さんは、当時の状況について以下のように記しています。

そこでデザインについて学んだ際、デザインは外形を整えるのではなく、人間の発する思いを形にするプロセスや、形にしてみたものを立ち止まって考え直してみたり、届けたつもりの思いがしっかり届いているかを整理したりすることなのだと理解しました。

引用:デザインで行政を良くしたい JAPAN+Dコアメンバー/経産省・平山さんの奮闘から探る、企業とデザインの関係 (1/3):MarkeZine(マーケジン)

デザイナーという専門的な職種では無いにもかかわらず、ここまで分析できる視点があるのは素晴らしいですね。

他にも、デザインの考え方を経営に取り入れるためのプロジェクトを立ち上げ。

  • 「そもそも私たちの会社は何のためにあるのか」
  • 「誰を喜ばせたいのか」
  • 「ひとりよがりの課題設計になっていないのか」

こうした、デザイナーと企業をつなぐプラットフォームを運営するための取り組みにも力を入れてきたと語っています。

参考:デザインで行政を良くしたい JAPAN+Dコアメンバー/経産省・平山さんの奮闘から探る、企業とデザインの関係 (1/3):MarkeZine(マーケジン)


経済官庁の半谷英里子さん

3人目は、経済官庁に勤める半谷英里子さんです。

半谷さんは、パーソンズ美術大学のTransdisciplinary Design学科に留学し、日本の政策の現場に「デザイン」の考え方を取り入れる実践を行なっています。

ちなみに、Transdisciplinary Design学科では以下のような教育がおこなわれています。

製品やサービスそのものというよりは、いわゆる広義の“デザイン”によるアプローチを主として、人々を取り巻く社会課題などを研究対象とし、その課題やその中での人々の体験・考え方などをどうやったら変えていくことができるかに着目して研究・教育が行われています。

引用:政策の現場に「デザイン」を取り入れる未来をつくる──私が官庁からパーソンズ美術大学に留学して得た、新しい視座:連載「世界のデザインスクール紀行」第6回 | CULTIBASE

モノの見た目や機能を具現化する”狭義”のデザインではなく、人の行動や考え方に着目しているというのは興味深いですね。

公務員とデザイナーはいわば対極にある職種ですが、広義のデザインの中では「デザイン思考」等のアプローチから様々な課題を解決できます。

半谷さんは、そのようなデザインの可能性について学んできたことを行政政策にフィードバックするため、帰国後は「STUDIO POLICY DESIGN」という一般社団法人を設立。

STUDIO POLICY DESIGNの概要は以下の通り。

デザインアプローチによる政策や事業立案の実践・研究を行う行政官やデザイナーが所属し、革新的な政策や事業の立案や情報提供、行政・企業活動の事業支援を実施していきます。

引用:About – STUDIO POLICY DESIGN

また、具体的な活動内容については、以下の通り。

  • (1)行政・企業におけるワークショップや講演の企画・立案
  • (2)行政・企業活動を支援するツールの開発・提供
  • (3)スタジオによる行政活動を支援する事業の企画・実施

引用:About – STUDIO POLICY DESIGN

デザインの力で、社会課題や事業課題の解決を目指していこうとする姿が印象的ですね。


参考:政策の現場に「デザイン」を取り入れる未来をつくる──私が官庁からパーソンズ美術大学に留学して得た、新しい視座:連載「世界のデザインスクール紀行」第6回 | CULTIBASE

山形県金山町役場の堀実玖さん

参考:自治体職員でクリエイター。金山町を盛り上げるクリエイティブの極意を訊く (public-connect.jp)

4人目にご紹介するのは、山形県金山町役場で働く堀実玖さんについて。

堀さんは総務課広報・DX推進係として、広報かねやまの発行に向けた取材・撮影・編集や町公式ホームページやSNSの更新等をおこなっています。

近年では、職員採用のためのポスターやPR動画等を制作。

職員採用のポスターやPR動画は、他の自治体ではな見られないようなインパクトのある仕上がりとなりました。

山形県金山町の職員採用ポスター
山形県金山町職員採用試験PR動画

さらに、堀さんが作成したCMが「山形ふるさとCM大賞」で「手作り部門賞」を受賞するなど、活躍の場を徐々に広げています。

山形ふるさとCM対象2023 山形県金山町

手作りとは思えないくらいクオリティの高い動画ですね!

山形県金山町には僕も行ったことがありませんが、これらの動画を見るとぜひ近いうちに金山町に行ってみたいという気持ちになります。

代表取締役・デザイナー・公務員でパラレルワーカーの砂田智香さん

最後にご紹介するのは、幅広くクリエイティブの企画・制作を担当しているLUCK株式会社の砂田智香さんです。

砂田さんは、複数の仕事やキャリアを持って働くいわゆるパラレルワーカー。

具体的には、LUCK株式会社の代表取締役・デザイナー・​港区区長室の広報戦略支援員の3つ肩書を兼任しています。

やはり着目すべきは、公務員として港区区長室の広報戦略支援員として勤務している点でしょう。

そして、砂田さんはインタビューのなかで次のように述べています。

私たちは行政や民間など、さまざまな考え方をする人々を繋ぐ際の「橋渡」になれるかもしれないと思っています。

砂田さんは、まさにこのブログでも取り上げているデザイン・クリエイティブ枠の職種に近い存在とも言えますね。

他にも、デザインの力を駆使して様々な『キラリモンスター』や『こども六法』などの書籍も出版しています。

興味を持った方はぜひ砂田さんの作品にも触れてみてください。


参考:砂田智香インタビュー 〜マルチプレイヤーだから作れる「みんなが使いやすいデザイン」〜 (luck-inc.com)

作品の制作活動だけに収まらない公務員の魅力は無限大

ここまで、デザインやクリエイティブの能力を活かして活躍している5人の女性公務員の活躍について見てきました。

美大や芸大で専門的にデザインのことを勉強していなくても、デザインやクリエイティブの力を使って社会や行政の課題を解決しようとする姿はとても印象的でしたね。

デザイナーという職種に限って言えばポスターや作品等の制作活動の中だけに収まりがちですが、公務員はその政策や人々の行動様式までデザインできる点が魅力。

ぜひ、将来のキャリアプランを描く際の参考にしてみてください。

趣味も仕事も充実させて、クリエイティブな公務員になろう

一昔前の公務員のイメージといえば、決められた業務を決められた時間にこなせる人が重宝されていました。

ですが、変化の激しい現代社会ではもはやそのような人材は求められていません。

というのも、そのようなルーティンワークや単調な業務は、今やAIやITツールで代替できるからです。

それよりも、自分の頭で考え、行動し、クリエイティブな発想ができる人の方が貴重な人材であることは言うまでもないでしょう。

少しでも、デザインやクリエイティブの分野に興味のある人は、デザイナーやクリエイターという職種だけでなく、公務員のデザイン職も視野に入れて転職・就職活動をおこなってみてください。

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この記事を書いた人

一組織の中で、孤軍奮闘する元デザイナー事務員。一般大学の文系学部を卒業した後、デザイン専門学校に進学。

卒業と同時に広告デザイナーになるも理想と現実のギャップにさいなまれ、方向転換。

その後、「安定した生活」と「自分のやりたいこと」の両方を叶え、一組織の事務員として過ごしながら数々のデザインコンテストに入賞し、現在に至る。

このブログでは、デザイナー&事務員の両方を経験している元デザイナーが一般社会で楽しみながらデザインの力を活かす術を伝授。

その中でもワークライフバランスの最高峰に位置する、公務員のデザイン職を目指す人の合格までの道のりをメインでサポート。
サブテーマとしては、生活を安定させながらやりたいことを叶える事務職の仕事についても触れています。

手堅く安定した本業を維持しながら、デザインの世界にもたずさわりたいという欲張りな人に向けて、日々役立つ内容を発信していきます。(学生も勿論OK!)

【デザイナーを辞めてから受賞したコンテスト】
・写真コンテスト(プリント部門) 入選
・雑誌の表紙絵デザインコンテスト 優秀賞
・キャラクター塗り絵イラストコンテスト 入賞
・ショート動画コンテスト 佳作
…他、多数

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 初めまして。私は美大を卒業し、今年の春にとある自治体にデザイン人材枠で採用された者です。
    採用された当初は嬉しかったものの、いざ入庁すると思った以上に「公務員の事務職」の色が強すぎて(このところ毎日エクセルで会計の仕事をしています)、最近「やはり民間のデザイナーやディレクター職を目指した方が良かったのではないか」と思っておりました。
    しかしこの記事を読んで公務員デザイン枠の良さを再確認できましたし、自分にも公務員の仕事をしながらクリエイティブなこともしたいという思いがあることに気がつきました。
    ぴりおど様の記事に出会えて良かったです。長文になりましたが、これからの執筆も楽しみにしております。

    • このブログの運営者ぴりおどです!はじめまして!
      そして、コメントありがとうございます。まずは、今年の春にデザイン人材枠で採用されたとのこと、おめでとうございます!

      今は会計の仕事メインで大変かも知れませんが、各部署の大体の予算感をつかんでおくと後々仕事がやりやすくなりますよ!
      予算が把握できれば2年目以降は、アイデアメインのコストを度外視した提案ではなく、
      予算や実現可能性までも含めた説得力のある提案が可能になります。(←美大の授業でも習ったかもですが、アイデアの定着作業ですね)

      すぐにでもクリエイティブな仕事をしたい!と思っていても、1年目はなかな意見を言いづらいと思います。
      その場合は、外部のコンテストなどを狙って、上司や先輩に客観的に実力を示していくという方法もあります。

      あと、行政文書は情報量が多いので、内部資料やプレゼン資料をシンプルで視覚的に見やすくする練習を重ねるのもおすすめです。
      たとえば、分厚い資料がA4の図表1枚にまとめられたら、「分かりやすい!」と評判になりますよね。
      そうすると、行政文書の図解制作や自治体広報・庁内報・HPのことなら「デザイン人材枠のあの人に任せてみよう!」となるかも知れません。

      行政の世界は年度末・年度初めは繁忙期で大変だと思いますが、体調に気を付けて、まずは適度に楽しみながら目の前のお仕事をこなすのがいいと思います。
      今後も読者のためになるような記事を執筆していくので、ぜひ楽しみにしていてくださいね!

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