デザインについて勉強を続けていると、何かいつもと違った表現方法を試してみたくなることがあります。
家庭用のプリンタにいつも白いコピー用紙以外に入れたことが無い、という人はぜひ違う種類の紙を入れて試してみてください。
いつもと同じデザインやレイアウトなのに少し紙の種類を変えただけで、一挙に高級感が出たり、スタイリッシュな印象になったりします。
そこで、今回の記事では紙の専門商社「竹尾」という会社についてご紹介。
竹尾は紙の見本帖のお店を全国に展開しているので、一般の人でも様々な種類の紙を購入できたり、実際に触ったりもできます。
もちろん商品を見るだけなら、無料です。私自身も過去には沢山の種類の紙を買って、デザイン制作物に利用していました。
この記事を読んでいる皆さんも、ぜひ一度竹尾見本帖のお店を覗いて見てください。
紙の専門商社 竹尾とは
竹尾は、1899年に創業した紙の専門商社。
紙が持っている色味・風合い・素材感を活かした高級特殊印刷用紙の「ファインペーパー」の開発と提供をおこなっています。
数多くのデザイナーに支持され、紙の可能性を広げるべく日々活動をおこなっている会社です。
そして竹尾には、紙のサンプルなどを提供している「見本帖」と呼ばれる店舗が全国に4店舗あります。
- 見本帖本店
- 青山見本帖
- 淀屋橋見本帖
- 福岡見本帖
それぞれ店舗ごとに多少特徴が違うので、1店舗ずつ見ていきましょう。
見本帖本店
東京の神田にある見本帖本店は、気軽に様々な紙に触れることのできる親しみやすいスペースのお店。
1Fショップがショップになっており、2Fはファインペーパーの魅力を活かしたサンプルや展示などが行わています。
取り扱っている商品の詳細はこちら。
- 取り扱いサイズ A4サイズ厚さ 1種類
- 取り扱い銘柄 竹尾のミニサンプル収録全銘柄全色、約300銘柄2,700商品
- その他取り扱い品 ミニサンプル、デザイン封筒、各種紙製品
※ 全判は倉庫より取り寄せ可、断裁品は指定寸法にて取り寄せ可(要断裁料)
店舗の商品はA4サイズにカットされているので、そのまま何枚かお気に入りの紙を買って、家のプリンターで印刷にかけることも可能。
通常の鞄であれば、特に折り目をつけることなく、問題なく持ち帰れます。
参考:見本帖本店1Fショップのご案内 (takeopaper.com)
青山見本帖
青山見本帖は、プロのデザイナーなどの利用者に特化した提案をおこなうためのスペース。
と言っても、ゆっくりじっくり選べるという意味合いが強いので、一般の人でも問題なく利用できます。
立地柄、少し高級そうなイメージがありますが、特にそこまで気にする必要は無いでしょう。
時々、デザインを学んでいる美大生や専門学校生の姿もチラホラと見掛けますので、学生であっても特に躊躇することなく利用しています。
取り扱っている商品の詳細はこちら。
- 取り扱いサイズ 全判4切サイズ(約540×390mm・サイズが異なる銘柄あり)※
- 取り扱い銘柄 竹尾のミニサンプル収録全銘柄全色・全連量、約300銘柄7,000商品
※ 1商品につき各3枚までご購入可。お取り寄せや断裁は不可。
こちらの青山見本帖は、取り扱いサイズが全判4切サイズの約540×390㎜と、見本帖本店よりも大きくカットされているのが特徴です。
そのため、折らずに持って帰りたい場合は、紙を丸めるか、折れないよう大きめのケースを持参していくと良いでしょう。
淀屋橋見本帖
淀屋橋見本帖は、大阪の淀屋橋駅(京阪本線)から徒歩1分というアクセスに優れた場所にあります。
お店の特徴として、紙とデザインと印刷を通じて、新たな出会いが生まれるような店舗スペースとなっています。
取り扱っている商品の詳細はこちら。
- 取り扱いサイズ 全判4切サイズ(約540×390mm・サイズが異なる銘柄あり) ※
- 取り扱い銘柄 約270銘柄 4,600商品
- その他取り扱い品 デザイン封筒、各種加工品受注
※1 商品につき各3枚までご購入可。お取り寄せや断裁は不可。
店舗に併設されている「CAPPAN STUDIO」では、印刷の注文も受け付けてくれます。
福岡見本帖
画像引用:株式会社 竹尾(@takeopaper)さん / X (twitter.com)
福岡見本帖は、東比恵駅(地下鉄空港線)から徒歩で10分ほどの所にあります。
取り扱っている商品の詳細はこちら。
- 取り扱いサイズ 全判 ※
- 取り扱い銘柄 約140銘柄3,500商品(福岡支店在庫品)
- その他取り扱い品 デザイン封筒、各種紙製品お取り寄せ可
※ 非在庫品および断裁品は指定寸法にて取り寄せ可(要断裁料)
こちらの福岡見本帖は、神田の見本帖本店と同様、欲しい紙が取り寄せ可というのも魅力ですね。
竹尾の紙とデザイン
紙とデザインの関係は、切っても切れない関係にあります。
紙のことを詳しく知れば知るほど、デザインの幅が一挙に広がるでしょう。
ここでは、竹尾で可能な印刷加工の種類をいくつかご紹介したいと思います。
- 活版印刷
- レーザーカット
- エンボス・デボス
- 抜き
- 箔押し
- 加熱型押し
- オペークインキ
- モールド
いずれも、使いこなせるようになれば、大きくデザインのクオリティを高めることが可能です。
今回は細かい説明は割愛しますが、こういう加工方法があるんだ!ということを知っておきましょう。
活版印刷
画像引用:活版印刷|紙とデザイン|竹尾 TAKEO
活版印刷は普段あまり馴染みが無いかも知れませんが、名前くらいは街中で聞いたことがある人もいるでしょう。
インクジェットプリンターの印刷と違って、カスレやにじみが演出されて、とてもオシャレな印刷方式。
活版印刷をテーマに1冊の本ができてしまうくらい人気の印刷方法です。
活版印刷|LETTERPRESS
版の凸面にインキを着けて直接紙に転写する凸版印刷の一種です。
本来は金属活字を組み製版しますが、樹脂、金属凸版等も
版として用いられます。インキ濃度が高く力強い表現が特徴です。
引用:活版印刷|紙とデザイン|竹尾 TAKEO
レザーカット
レザーカットは、型を作らずに紙を切り抜ける加工です。
時々、名刺などをレザーカットしている人を見かけますが、とても緻密で繊細なデザインとなっているのが特徴です。
この加工方法を応用した紙をベースに作られた照明器具なども制作されています。
レーザーカット|LASER CUT
レーザービームをプリンタのトナーのように照射することで、型を使用せず
1枚から抜きや彫り加工を行うことができます。版をつくらずに
パターンデータなどを忠実に再現できるため、緻密な抜き加工にも適しています
引用:レーザーカット|紙とデザイン|竹尾 TAKEO
エンボス・デボス
エンボス・デボスの加工は紙の表面に凹凸をつけることで、インクを使わずに文字や模様を演出できます。
最近では本の表紙や、家で日常的に使うコースターなどにもこの加工が施されていたりします。
エンボス・デボス|Embossing, Debossing
紙に凹凸をつけて立体的な質感を作り出す加工です。
凹版と凸版を組み合わせて紙をプレスすることで
紙の表情を豊かにして高級感を生み出すことができます。
引用:エンボス・デボス|紙とデザイン|竹尾 TAKEO
抜き
画像引用:抜き|紙とデザイン|竹尾 TAKEO
抜きの加工は、厚みのある紙にも対応できるため、比較的応用が利く加工方法です。
紙のチップ、ファイルの背表紙など、いろいろな用途に展開できるのも魅力です。
抜き|DIECUT
おもに金型を使って紙を抜く加工です。板に金属刃を埋め込んで紙を
プレスし型抜きします。型で細かいニュアンスを調整しながら圧を
コントロールすることでさまざまな厚みや素材感の紙に対応できます
引用:抜き|紙とデザイン|竹尾 TAKEO
箔押し
画像引用:箔押し|紙とデザイン|竹尾 TAKEO
箔押しでは、家庭のプリンターでは再現できないゴールドやシルバーの色を紙の上にのせることが可能です。
パッケージの印刷などに使用すると、高級感のある商品を演出できるでしょう。
箔押し|Foil Stamping
紙に箔をのせて凸版で熱を加えながらプレスすることで、
箔を圧着させる加工です。金属箔と顔料箔があり、
紙地に対する隠蔽性が高く、高級感を生み出すことができます。
引用:箔押し|紙とデザイン|竹尾 TAKEO
加熱型押し
竹尾の商品では、この加熱型押しと「パチカ」という紙を使って、デザインを施す方法が紹介されています。
パチカに加熱型押しをすると、その部分が透明になるという特徴を持った紙。
白紙部分と透明化部分の差異で、立体感を織りなす演出が可能です。
加熱型押し|Hot Stamping
凸版で熱を加えながらプレスする加工です。
パチカは加熱型押しすることによって
透明な蝋紙のような表情が生まれます。
引用:加熱型押し|紙とデザイン|竹尾 TAKEO
オペークインキ
オペークインキを使用すれば、色のついた紙に白インクをのせることが可能になります。
DMなどの招待状に使用すれば、かなりオシャレなデザインが出来上がるでしょう。
オペークインキ|Opaque Ink
オフセット印刷用の特色インキで、不透明性が特徴です。
おもに白が用いられ、紙の地色や刷り重ねとのバランスで
さまざまな印刷効果を得ることができます。
引用:オペークインキ|紙とデザイン|竹尾 TAKEO
モールド
画像引用:モールド|紙とデザイン|竹尾 TAKEO
最後にご紹介するのは、モールドと言われる加工方法です。
ひと口に紙と言っても、紙は平面だけではなく、立体にすることが可能です。
こちらも、頭の片隅にこのような加工方法があったということを覚えておけば、いつかどこかの場面で役に立つ日が来るかも知れません。
モールド|Molding
パルプを溶かした水溶液のタンクに型を沈め、パルプ繊維を
成型する加工です。金型によって自在な形を生み出せるため、
紙の素材感を活かした立体物が可能になります。
引用:モールド|紙とデザイン|竹尾 TAKEO
竹尾の紙専門ウェブストアについて
画像引用:NTラシャ|紙を選ぶ|竹尾 TAKEO
ここまで、竹尾の見本帖の紹介、様々な印刷加工の方法についてご紹介してきました。
ですが、
「自分の家の近くに気軽に行ける見本帖の店舗なんてないよー!」
という方もいるでしょう。
そこでここからは、竹尾のウェブストアについて解説していきます。
約9,000種の紙が買える竹尾のウェブストアtakeopaper.com
竹尾のウェブストアからは、主に以下のものが購入できます。
- ファインペーパー
- 紙製品
ウェブストアからも注文をすることが可能ですので、家や職場の近くに竹尾の見本帖がないという場合は、ぜひ利用してみてください。
竹尾を使って紙の種類・印刷について詳しくなれば、表現の幅が一挙に広がる
ここではあまり詳しく触れませんでしたが、竹尾には家庭用インクジェットプリンタ専用の用紙も数多く取り扱っています。
普段は、家電量販店やインターネットショッピングでしかOA用紙を買ったことがない人も多いでしょう。
ですが、竹尾にはお店に売られていないような特殊なOA用紙もあります。
実際にお店行けばサンプルも置いてありますし、どんな紙を探しているかを伝えれば店員さんが案内してくれます。
ぜひ、普段使ったことのない紙を購入して実際に使ってみてください。
表現の幅が一挙に広がって、デザインすることがますます面白くると思いますよ。
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