
資料がごちゃごちゃして伝わらないし、何となく見づらいけど、どこを直していいか分からなくて…

それって「見た目の問題」だけではなく、頭の中が整理されていないことが原因かも…。
資料がごちゃごちゃしている原因として、一般的には「デザインのセンスが無いから」という理由で片付けられてしまいます。
ですが、その土台にあるのは本来誰もが訓練すれば身に付けられる「整える力=整理整頓の習慣」が原因だったりします。
この記事では、整理整頓とデザイン力の意外な関係を、具体例とともにご紹介します。
整理整頓を習慣化することで得られるデザイン的なメリットは以下の通り。
- 思考がクリアになる
- 判断が早くなる
- 伝える力の土台が固まる
今回の記事を読めばデザイン力を伸ばすためのヒントと共に、ビジネスや日常生活にも役立つ考え方が学べます。
さらに、記事では今日からできる3つの生活習慣についても触れています。ぜひ、こちらも実践してみて下さい。
整理整頓とデザインに共通する3つの要素

はじめに、整理整頓とデザインに共通する3つの要素を確認しておきましょう。
- 不要なものを減らす力
- 重要な情報を順番に並べる力
- 見た目を整える力
不要なものを減らす力
資料にすべての情報を盛り込もうとすると、結局なにが言いたいのか分からなくなる
――これはよくあるミスです。
言い換えると、「引き算の思考」ができていない状態とも言えます。

詰め込むことが良かれと思っても、相手の処理能力には限界があります。
伝える側の都合ではなく、受け取る側の余白を意識することが必要です。
整理整頓も同じ。
机の上やPCのフォルダに、使わないものを“とりあえず置いておく”と、全体が見えづらくなってしまいます。
「何を捨てるか」を考えることが、結果的に「何を伝えるか」を強くします。
重要な情報を順番に並べる力
文房具や書類を、使いやすい順番に並べておく。
この行為そのものが、情報を並べる力=構成力のトレーニングになっています。
デザインでも、どの順番で見せるか、どこを強調するかは非常に重要です。
「整えて並べる力」は、目に見えないけれど確実に伝える力を高めてくれます。
構成力はプレゼンや報告書、会議資料、あらゆるビジネスシーンに応用できます。
たとえば、伝えたいことを
「結論→理由→事例→まとめ」
といった順番で提示するだけで、相手の理解度はぐんと上がります。
順序は、内容よりも説得力を左右する重要な要素です。
見た目を整える力
片付いた空間は、見た目がオシャレでなくても心地よいものです。それは、機能的で目的に合っているから。
それは、デザインも同じ。
美しいこと以上に、「整っていて伝わる」ことが重要です。
整える意識こそが、見た目の説得力を高めてくれます。
視覚の混乱を避け、伝える情報を選別するという作業そのものが、実は「見る人へのやさしさ」につながります。
整理整頓は、思考を整えることと同義

整理整頓をおこなうと、もう一つ大きなメリットがあります。
それは、思考が整うということ。
自分の身の回りが乱雑なままだと、どうしても思考がそれに影響されていしまいます。
その点、キレイな部屋や空間の中に居れば余計な情報やノイズが無いので、思考がクリアになります。
逆に、思考が乱れるとデザインも乱れるという悪影響があります。
- 思考が乱れると伝わらない
- 整理→構成→見せるの順番が大事
思考が乱れると伝わらない
考えがまとまっていないままスライドを作り始めると、文字だけが並び、どこが重要なのか分かりづらい資料になってしまいます。
これは、頭の中で“伝える順番”が決まっていないためです。
まずは、自分の中で「何を伝えたいか」を整理すること。
そのひと手間が、結果として“伝わるデザイン”につながります。
情報を詰め込むより、「目的」を明確にすること。
それができれば、情報の取捨選択も自然とできるようになります。

「これは今、相手に必要か?」と問い続けることで、アウトプットの精度が上がっていきます。
思考整理→構成→視覚化の順番が大事
デザインの要素は情報を見せる順序が大事になります。たとえば、こんな手順です。
- 思考整理 → 言いたいことを3つに絞る
- 構成 → どの順番で伝えるか決める
- 視覚化 → 見出しやレイアウトで表現する
この流れを踏むだけで、なんとなく作っていたデザインが「意図して作ったデザイン」に生まれ変わります。
この考え方はビジュアルデザインの世界だけでなく、文章構成や口頭でのプレゼンにも応用できます。
整理整頓とは、モノの話ではなく「考え方の癖」なのです。
今日からできる3つの生活習慣

ここまで、デザインと整理整頓の関係を見てきました。
ここからは、それをつなげるための3つの生活習慣について見ていきましょう。
- ToDoリストを3つのカテゴリーに絞る
- 選ぶ色は3色までにする
- 毎日、机の上をリセットする
ToDoリストを3つのカテゴリーに絞る
やるべきことを
「重要」
「緊急」
「その他」
に分けて整理するだけで、思考の構造が明確になります。
これはそのまま、資料や構成を考えるときの基本にも応用できます。
タスクの整理ができると、思考の優先順位も自然と身につき、余計な迷いも減るでしょう。
加えて、カテゴリごとにリスト化する習慣をつけると、視覚的にも整理された状態が保てます。
たとえば
「今日中にやる」
「今週中にやる」
「そのうちやる」
といった時間軸で分類しても効果的です。
選ぶ色は3色までにする

色やフォントを自由に使いすぎると、情報の焦点がぼやけてしまいます。
ですが、制限をかけることで自然と整える力が育ちます。
配色に悩んだときも、「ベース・アクセント・補助色」のように役割で考える癖をつければ、シンプルかつ効果的なデザインが可能になります。
また、ブランドカラーを事前に決めておくことで、毎回ゼロから悩まずにすみ、整った印象を保つことができます。

色数を絞ることで、視認性やトーンの一貫性も高まり、見る側のストレスを減らせます。
毎日、机の上をリセットする
終業後に一度すべてのものを片付け、翌朝「本当に必要なものだけを戻す」。
この習慣が、「選ぶ力」と「削る力」を同時に鍛えてくれます。
机を整えることで気持ちのスイッチも入ります。仕事のオン・オフを切り替えるルーチンとしても有効。
さらに、片付けることで自然と作業の区切りが意識でき、時間の使い方やタスクの優先順位にも敏感になります。
視覚的ノイズが減ると、集中力が高まり、生産性も上がります。
整える力が育った時こそ学びのタイミング

思考を整理する習慣が身につくと、不思議と
「どう見せるか」
「どう構成するか」
がクリアになってきます。つまり、この瞬間こそ“デザインを考える準備”が整った状態です。
あとは、それをきちんと形にするための知識や技術を、自分に合ったスタイルで学んでいくだけ。
学びの方法はいくつかありますので、順にご紹介します。
- 書籍でじっくり基礎を固める
- 現場経験でスキルを身につける
- オンラインスクールで体系的に学ぶ
書籍でじっくり基礎を固める

まずは気軽に始められるのが、書籍や雑誌による学習です。
理論を体系的に学びながら、自分のペースで読み進めることができます。
たとえば、クリエイティブディレクターの佐藤可士和さんが書いた「佐藤可士和の超整理術」という書籍。
こちらはデザインと整理整頓の関係について詳しく書かれていてるのでとても参考になります。

本を読んでトップクリエイターの思考をたどることで、情報の整理術を吸収できます。
現場経験でスキルを身につける

社内プロジェクトや自主的な資料作成など、小さなアウトプットの積み重ねも立派な学びです。
自分の提案した資料やプレゼンに対して、上司や同僚からどんなリアクションがあったかを確認しておきましょう。
身近な業務に「伝わるデザイン」を意識して取り組むことで、実践力が磨かれていきます。
オンラインスクールで体系的に学ぶ

もっと深く学びたいと感じたら、オンライン完結型のスクールも有力な選択肢です。
書籍や現場経験でスキルを身に付けるのも良いのですが、独学だと時間が掛かるうえ、正解が分かりづらいというのが難点。
その点、オンラインスクールなら社会人や初心者向けに設計されたプログラムも用意されています。
プロの構成からの直接アドバイスを受けたり、自分のスケジュールに合わせて学べたり、柔軟性にも長けているのが特徴です。
整理整頓の習慣が、あなたのデザインを変えていく

整理整頓は、見た目の美しさだけでなく、伝える力を育てるための土台です。
資料作成やプレゼン、日常の伝達においても、モノを整える習慣は情報の取捨選択や順序の構成に直結します。
そして、整った空間や作業環境は、思考の整理にもつながります。
考えがクリアになることで「何をどう伝えるか」への意識も研ぎ澄まされていきます。
片付けに自信がある人はもちろん、苦手な人も、まずは“整える習慣”を始めてみること。
それだけで伝え方が変わり、仕事や日常生活の質とともにデザイン力にも変化が表れてくるはずです。

整った空間が、整ったアウトプットを生む。それが、伝わるデザインへの第一歩です。
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