あんなに好きだったデザインの仕事が、なぜつらくなってしまうのか?

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デザインの世界は一般の人からはどのように見えているのでしょうか?パッと見、華やかで楽しい世界、といったところでしょうか。

派手な広告やポスター、写真やイラストなどのビジュアルは見ているだけで心がワクワクしてきます。

そんなワクワクドキドキするような仕事を自分も手掛けられたら…、という思いでデザイナーをこころざしてクリエイティブな職業に就いている人も多いと思います。

あるいは、モノづくりが好きでそれに没頭している時間こそが至福の時、という人もいるかと思います。

けれども、徐々に仕事が面白くなくなり、ひどい状態になると、考えることも、作業することも、ツラくなってきてしまうことがあります。

これはいったい、なぜなのでしょうか?

健康な身体を取り戻し、自分の当時の状況を客観的に振り返ることが出来るようになったいま、僕のデザイナー時代の実体験も交えて、今一度考察してみることにしました。

目次

デザインの世界は華やかで楽しいことばかりじゃない

いきなり夢を壊すようなことを書いて申し訳ないのですが。デザインの世界は楽しいこともあればツライこともある、とてもシビアな世界です。

もしかしたら、この傾向は一般的ないわゆる普通の会社の仕事よりも強い傾向があるかも知れません。

デザイナー職も含めて、いわゆるクリエイターという職業はたとえ締め切りがあったとしても、クオリティを追い求める限り終わりがありません。

他人が納得していも、自分が納得していなければ、それを提示することはクリエイターにとって屈辱以外の何物でもありません。

逆に自分が納得していても、他人が納得していなければ、最終的には作り直しということになります。いえ、作り直せるならば、まだ運がいい方かも知れません。

他人が納得していない、ということは、二度と自分に仕事が来ることはないかも知れないのです。

そうすると、締め切りというものは実はあって無いようなものなのです。

言い換えてみれば、たまたま自分が提案できる最良のデザインを出せるタイミングが締め切りの日だった。ということになるでしょうか。

デザイン会社が残業が多い理由というのも、半分は会社の方針という部分があるかも知れません。

ですが、もう半分はクリエイター自身が納得行くものを制作できていないために自主的に多くの時間をかけている可能性があります。

これは、ハタから見てパッと判断できるものではありません。

まわりから見たら「好きでやってるんでしょ?」の一言で片付けられてしまうかも知れないのですが、当の本人は至って真剣です。

アイデアが湯水のように湧き出てきて、楽しくての楽しくて仕方がないという人は別かも知れませんが。

通常は、いいアイデアというのは中々出てこず、生みの苦しみを味わう人が大半なのではないかと思うのです。

  1. アイデアが出ない
  2. 作業が進まない
  3. 帰りが遅くなる
  4. 残業が続く
  5. 徹夜が続く
  6. 眠れなくなる
  7. 土日が休めない
  8. 頭が働かなくなる
  9. アイデアが出ない( ※1.に戻るというループ)

クリエイターを職業としている人であれば、一度はこのような体験したことがあるかも知れません。

ですが、このスパイラルに入ると最悪です。

この状態に入ると、頭も朦朧として来るし、手にも力が入らず、身体も重くなり、正常な判断をすることも困難になります。

みんな頭の中ではわかっているのです。しっかり睡眠をとって休養しないと、頭も身体も働かないということは。

ですが、抱えている仕事は1つではありません。通常は多くのプロジェクトが同時並行しています。休むと当然、他の仕事にも影響ができます。

また、休んだからといって良いアイデアが出るとは限りません。

とすると、良質なアイデアさえ出すことができれば後半の作業自体はだいぶ楽になる、ということなるのですが。

クリエイティブなお仕事というのは、このアイデアを出す段階が最も難しくもあり、面白いとも言えます。

このアイデア出しの作業がとても面白いという方はクリエイターという職業に向いているとも言えます。

逆にこのアイデア出しの作業が毎回ツライという方は、あまりクリエイターには向いていないのかも知れません。

クリエイターには、大きく分けて2種類のクリエイターがいる

ひとくちにクリエイターといっても、クリエイターには大きく分けて2種類のタイプがいると僕は考えています。(もちろんクリエイターの中にはデザイナーも含まれます)

それは

  • アイデアを出すのが好きな人
  • 作業をするのが好きな人

の2種類です。先に述べた、アイデアを出すのが好きな人というのは根っからのクリエイター気質であると思います。

一方で、作業をするのが好きな人というのは、同じモノづくりとはいえ、頭ではなく、手を動かすのが好きな人、というくくりに入ります。

わかりやすくいうと、美術作家さんや、伝統芸能などを手掛ける職人さんが近いでしようか。

このタイプは、昔から絵を描くのが好きだったという人に多く見受けられる気がします

世間一般では、クリエイターと呼ばれるこの2種類の性質の方々を一緒くたにしている感があります。

そのため、せっかくクリエイティブな世界に飛び込んだとしても、企業とのミスマッチが起こり、離職を余儀無くされる方も多いです。

それって本人にとっても、企業にとっても、とても不幸なことではないでしょうか。

もし自分が、アイデアを出す時間がとても苦しいという方は、もしかしたらクリエイティブなお仕事ではなく、DTPオペレーターなどの作業に徹する別のお仕事の方が向いている可能性があります。

あるいは、圧倒的にインプットの時間が足りていないのかも知れません。

アイデアを出す作業というのは、アウトプットの作業です。良いアウトプットをするためには、どれだけ良いインプットをしているかがとても重要です。

もし、普段仕事ばかりしていて、なかなかインプットの作業が出来ていないという場合、アウトプットをすること自体が苦しくなってきます。

デザイナーに限らずクリエイターはよく遊んだ方がいいと言われるのも、そのゆえんです。

いっぱい遊んだ方が、色々なものを見たり体験したりして、いいインプットができますからね。

今は昔と違ってネット環境も整い、その気があれば誰でも簡単にデザイナーになれる時代です。

良いこともある反面、あまりにも簡単に名前の響きだけでデザイナーという職業を目指してしまい、自分と同じように離職を余儀無くされる人も沢山みてきました。

アイデアを出す時間があまりにも苦しい、という人はぜひ自分の仕事を今一度見つめ直してみてください。

ツライことがあっても、デザインの仕事を続けていかなければならない環境

もう一つ。とても重要なことを書きます。

どんなにツライことがあっても、クリエイターやデザイナーと呼ばれる方たちは、日々仕事を継続し続けなければなりません。

「何を当たり前のことを言ってるの?それって普通の会社員も同じでしょ?」

と思うかも知れません。

ですが、クリエイターやデザイナーは、仕事やプライベートでどんなに悲しくてツライことがあっても、楽しいデザインを作り続けなければいけません。

普通の会社員であれば、嫌なことは忘れて淡々と仕事をして忘れるという方法をとることもできます。ですが、クリエイティブを仕事にしている場合、それをやるのは至難の業です。

なぜなら、楽しい作品を作るのに、悲しいテンションで作ることは絶対に!出来ないからです。

本来、ツライことがあったら、思い切り落ち込んだり、泣いたりして、感情を発散させる必要があります。

ですが、クリエイティブなお仕事ではどんなにツラくても、感情をコントロールして、無理やり明るくして楽しいデザインをすることが求められます。

そうすると、どうなるでしょうか??

本来は感情を解放してリセットさせなければいけないので、それができない状態が続きます。

すると、悲しみの感情を押し殺したままになるので、だんだんと感情が動かなくなり、最終的には鬱症状を発症することになります。

自分や自分の周りのクリエイティブなお仕事をしている友人も、この見えない「罠」にハマってしまいました。

しかも、この罠の恐ろしいところは、自分自身が気づくことが出来ないスピードでゆっくりゆっくりと、心の中をむしばんでいきます。

そして、気付いた時には心も身体も動かなくなってしまうのです。

自分の場合は強烈なパワハラがトリガーでしたが、人によっては最愛の人との死別、恋人にふられた、親にメチャクチャ怒られた、友人とケンカした、同僚の嫌がらせ、などがトリガーになることもあるかと思います。

本当は、そんな時は感情を解放して思い切り落ち込んだり、泣いたりして、気分を晴らすべきなのですが。

回復するまでに、1日とかからない人もいれば、1週間、あるいは1ヶ月、場合によっては年単位で回復の時間を要することもあります。

また、人によってはそのような状態から回復も脱却も難しく、半永久的にツライ毎日を過ごさざるをえない方もいます。

本来はその間、クリエイティブな仕事をするのは避けた方がいいと思うのですが。ほとんどの場合は、それが出来ない状態が続きます。

いまのご自身の状態はどうでしょうか?無理して仕事を続けていませんか?楽しみながら毎日を過ごしているでしょうか?

もし、ツライ時は思い切り落ち込んで、思い切り泣いて、感情を解放させてあげてください。

可能であれば、自分自身を守る為にも、1日でも早くそのような環境から離れることをオススメします。

まとめ

デザイナーも含めて、クリエイティブなお仕事というのは、いわゆる感情労働に属するお仕事だと僕は思っています。

感情労働とは一般的に、

相手の精神を特別な状態に導くために、自分の感情を誘発、または抑圧することを職務にする、精神と感情の協調が必要な労働

のことを言います。

一般的には、

  • 「看護師」
  • 「介護士」
  • 「客室乗務員(CA)」
  • 「ウェイトレス」
  • 「秘書」
  • 「受付係」
  • 「エレベーターガール」
  • 「ホテルのドアマン」
  • 「銀行店舗の案内係」
  • 「不動産営業等のサービス業」
  • 「教師」
  • 「保育士」
  • 「カウンセラー」

などが挙げられます。

ただし、見て貰えばわかる通り、まだまだ世間一般的にデザイナーやクリエイターなどの職業は感情労働に属する職業とは認められていないようです。

自分の感情を救えるのは自分だけです。もし、感情が解放できていないと感じている場合は、即刻自分の感情を解放してあげてください。

それができない状態が続いているということであれば、いま居る場所はあまりいいで環境ではないかも知れません。

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この記事を書いた人

一組織の中で、孤軍奮闘する元デザイナー事務員。一般大学の文系学部を卒業した後、デザイン専門学校に進学。

卒業と同時に広告デザイナーになるも理想と現実のギャップにさいなまれ、方向転換。

その後、「安定した生活」と「自分のやりたいこと」の両方を叶え、一組織の事務員として過ごしながら数々のデザインコンテストに入賞し、現在に至る。

このブログでは、デザイナー&事務員の両方を経験している元デザイナーが一般社会で楽しみながらデザインの力を活かす術を伝授。

その中でもワークライフバランスの最高峰に位置する、公務員のデザイン職を目指す人の合格までの道のりをメインでサポート。
サブテーマとしては、生活を安定させながらやりたいことを叶える事務職の仕事についても触れています。

手堅く安定した本業を維持しながら、デザインの世界にもたずさわりたいという欲張りな人に向けて、日々役立つ内容を発信していきます。(学生も勿論OK!)

【デザイナーを辞めてから受賞したコンテスト】
・写真コンテスト(プリント部門) 入選
・雑誌の表紙絵デザインコンテスト 優秀賞
・キャラクター塗り絵イラストコンテスト 入賞
・ショート動画コンテスト 佳作
…他、多数

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