人気スイーツ店の労働基準法違反について、考察してみる(元デザイナーの視点から)

雑談

似たようなブログの記事を書いている時にタイムリーな話題だったので、このニュースを取り上げて、働き方を考えてみたいと思います。

月100時間を超える時間外労働の常態化

今回は、関西のある人気スイーツ店の時間外労働の常態化のニュースについて、概要をみてみたいと思います。

ざっくりとまとめると、人気スイーツ店の社員の半数以上が月に100時間以上の時間外労働を強いられていた、という内容です。

100時間以上の時間外労働は、通常、産業医の面談が必要と言えますし、過労死ラインを余裕で超えていると言っても過言ではないでしょう。

さらに、2018年1月に労働基準監督署から1度目の是正勧告を受けていたということで、それよりも前からこの状態が続いていたに違いありません。

それから二度目の是正勧告を受けているということは、その後も社員は100時間以上の残業を強いられいたということです。

ざっくりいうと、デザインの世界と同じようにいわゆる「やりがい搾取」と呼ばれる状態が、当たり前の日常になっていた訳です。

パティシエもデザイナーも、クリエイティブな仕事というカテゴリーでは一緒に括られてしまいます。そういった世界では、この「やりがい搾取」の状態になりやすく、かなり前からこの問題は取り沙汰されています。

僕がデザイン業界にいた10年以上前から、令和の時代の今でも、まだこんな事が続いているということ自体が驚きです。

不幸中の幸いかも知れませんが、こちらのスイーツ店の労働契約においては裁量労働制ではなかったため、過去2年間の残業代が支払われることになったようですが。

デザインの世界では、残業しても残業代が必ずしも支払われないのが当たり前の※裁量労働制を導入しているところも多く、そういった意味ではきちんと手当が支給されることになったのはまだマシとも言えます。

友人や同級生のデザイナーもそれを良しとしてしまっていますし、法律を盾にされてしまうと裁量労働制自体は合法ということになり、ほとんどが泣き寝入りです。

そういった意味では、デザイン業界の方が劣悪な環境と言えるかも知れません。もちろん、ほとんどのデザイン会社は社員を大事にしていると思いますし、ニュースで取り上げられるような悪どい会社はごく僅かだと思いますが。

(※裁量労働制については、こちらの記事に詳しく書かれているので参考にしてみて下さい↓↓↓

【弁護士監修】裁量労働制とは?メリットとデメリットとは?
「裁量労働制とは?メリットとデメリットとは?」そんな転職や仕事にまつわる法律の疑問・悩みを法律のプロの弁護士が解説します。

2015年の電●のあの事件(女性新入社員過労死事件)が起こった後も、まだ平気でこんなことを続ける人がいるのは大変遺憾ですし、自分も同じような境遇に遭っているので率直に怒りすら湧いてきます。

果たしてクリエイティブな仕事は職人技なのか?

よく、クリエイティブな世界では下積み生活を最低●年、行わなければならないといったことを良く耳にします。だけれども、これだけコンピュータやAIが発展した現代社会において、本当にこの下積みの経験は必要なのでしょうか?

勿論、最低限、身につけなければならない知識・技術があることも確かだと思います。

ただ、それを踏まえた上でも、さらに何年も下積みに必要な時間をかける必要があるのでしょうか?今回の時間外労働の件もそうだと思いますが、自分の技術向上のために、自らの意思で残業をしていたのでしょうか?

ほとんどの答えがNOだと思います。

通常、本来やるべき業務があり、それをこなせるだけの時間が無いため、止むを得ず残業を強いられている人が大半なのでは無いでしょうか。

よく職人技という言葉を耳にすることも多いですが、コンピュータで出来ないこと、パターン化できないこと、アルゴリズムをつくることができないこと、など、最終的に人間の判断でしかできないことを鍛えて行くことの方が大事な気もします。

パティシエの方ですと、同じ形のケーキを何百、何千と毎日毎日作り続ける必要があるのだと思うのですが、それこそ、同じ形のものを「全て人の手で作る」というのは、現代社会においては理に適った方法とは言えない気がします。

クリエイティブなデザインの世界ですら、今はコピー&ペーストで、誰がやっても同じ線や図形を描くことができます。

(昔は一本一本、カラス口と呼ばれる道具や、ガラスペンを使用して、まさに職人技と言えるような真っ直ぐな線を、インクや絵の具で引けることがデザイナーになるための最低条件だったようですが…)

これだけコンピュータやAI、3Dプリンターが発展しているのですから、技術でカバーできる部分は少しずつでも取り入れていかないと、いつまで経っても働き方そのものが変わらないとも言えます。

ただ、先人の中には自分たちの既得権益を守りたいがために、新しい技術を取り入れることに抵抗を示す方が多いのも事実ですが。

そういった複雑な問題が絡んでいるので、解決への糸口は中々難しいものがあるのも確かです。



僕たちが、僕たちの働き方を守るためにできること

さて、今回取り沙汰された問題はどうすれば防ぐことができたのでしょうか?

1つは、僕たち自身が労働基準法など、最低限の法律の知識を身に付けることが大事とも言えます。何も知らないがために、今回は上司のいうことを当たり前のように受け入れてしまったことにも問題がある気がします。

今回事件が発覚した理由は、社員の中に誰か法律に詳しい人がいて、内部告発した可能性も否定できません。一人の社員が声を荒げたところで、もみ消されてしまうのがオチなので、外部に情報提供した人がいたのかも知れません。

そうでもしなければ、労働環境自体が変わらない体質になってしまっていたのだろうと推測できますが、真相はわかりません。

けれども、何が間違っていて、何が正しいことなのか。知っていて受け入れるのと、知らないで受け入れるのでは、雲泥の差があると思うのです。

あとは社員が結託して、パティシエの社長さんに、労働交渉をするという方法もあったかも知れませんが。おそらくそういった事をすると、交渉をした人のみが辞めさせられる可能性がとても高い気がします。

もともと、世界的に有名なパティシエの方に憧れて入社してきた人が多いはずなので社員全員でボイコットを行うというのもかなりハードルが高い気がします。

デザイン事務所にいるときに自分も同じように感じていましたが、いわゆるワンマン社長の一言で全ての社内のルールが決まるといっても過言ではありません。

パティシエ店広報の方の言葉を引用すると、

「時間をかけていいものを作る、技を磨くというスタイルを誰も疑ってこなかった。商品の種類や数、ラインナップを検討して手間のかからないものにするしかない

この回答を見る限り、社員の労働時間を減らして生産性を上げるという努力をしてこなかった、ということがハッキリとわかりますね。

相手の考え方、スタンスを変えるというのは不可能に近いと言えます。

そうであるならば。

自分がもし社員の立場でパティシエを続ける強い意志があるなら、ある程度経験を積んだら、他の職場に転職するか、全く違う業界に進むか、起業して自分の会社を立ち上げるか、という選択肢があると思います。

ただ、自分の体力、精神力、技術力、を振り返って、この先何十年もその世界で生きて行くことが出来ないということが分かったら、デザイナーから事務職に転職した自分と同じように仕事とは別に好きな事を続けて行くという道もあります。

身体を壊して倒れてしまったら元も子もありません。どんなに好きな事でも、自分の身体や精神には限界はあるのです。

決して無理をせずに、好きな事を仕事にしなくても、自分が一番楽しくて充実していると思う道を進んで欲しいな、と思います。

この記事を書いた人
めびうすさん

50人前後の組織の中で奮闘するひとり事務員。元広告デザイナー。過酷なデザインの世界から、事務の世界へ転職。
自分のようにデザインの道から逸れてしまっても、楽しく生きて行くための道をこのブログで綴っていきます。

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