【ネタバレ注意】元デザイナーの僕が、『ブルーピリオド』第3巻を読んで感じたこと

マンガ

第3巻では、美大受験が目前に迫る主人公、八虎たちの苦悩と葛藤が見どころとなっています。絵は描けば描くほど上手くなるけど、描けば描くほど正解が分からず、葛藤することにもなります。

今回はそんな状況を思い浮かべながら考察していこうと思います。



『ブルーピリオド』第3巻のあらすじについて

最初に第3巻のあらすじをざっと、さらっておきましょう。

成績優秀、世渡り上手なリア充高校男子が絵を描く喜びに目覚め、美大を目指す!受験を目前に控えヒリヒリとした日々を送る八虎は、美大予備校でより受験に実践的な課題を取り組み始める。“対応力”が足りないことを知った八虎は突破口を見つけるため、あることに挑戦するが…!? 各界で話題騒然のアート系スポ根漫画、第3巻!

Amazonの商品説明より

第3巻に収録されているタイトルは以下のとおりです。

【9筆目】課題が見えてもどうしようもねぇ
【10筆目】言いたいことも言えないこんな絵じゃ

【11筆目】褒められが発生しました
【12筆目】イキリ乙

ブルーピリオド(3) (アフタヌーンコミックス)

【9筆目】課題が見えてもどうしようもねぇ

美大受験も目前に迫り、予備校の課題も段々と入試に近いものになって行きます。

主人公の八虎は今までモチーフを見ながら絵を描いてきましたが、今回はイメージ課題。

モチーフそのものが無い課題となります。

モチーフが無いということは、自分の頭の中にあるイメージやメッセージを、絵で伝えることになります。

それには、最低限の画力やデッサン力が必要となります。伝えたいメッセージが明確でも、絵に力が無いとメッセージ性が弱くなってしまいます。

元デザイナーの自分でもかなり躊躇してしまう課題です。僕もモチーフを見ればある程度ものは描けますが、真っ白なキャンバスに何も見ずに描くというのは苦手な部類に入ります。

案の定、八虎もこの課題に大苦戦を強いられれます。

行き詰まった八虎に学校の美術部の顧問、佐伯先生がある提案をします。それは、

「F100号の絵を描いてみませんか」

との一言。第9話はこのシーンで終わりをむかえます。

F100といえば、162.0cm×130.3cmの、超大作のキャンバスです。自分の身長ほどの高さもある絵を油絵で描くというのは想像するだけでもキツイ作業です。

果たして八虎はこの問いにどのような回答をくだすのでしょうか。

【10筆目】言いたいことも言えないこんな絵じゃ

F100号の絵を描いてみませんか、の問いに八虎は「今は枚数を重ねることに集中したい」という理由で、この提案を断ります。

自分もそうでしたが、行き詰まった時は、描いても描いても前に進んでいる気がせず、かなり苦しい時間が続きます。

そんな折、たまたま予備校で見かけた同じ受験生の作品の絵に、八虎は飲み込まれることに。

自分がしていることに「何か間違いがある」と気づいた八虎は、一度断ったF100号の絵に挑戦することを決意したのです。

モノづくりをしていると、しばしば、奇抜なことやテクニック的なことで斬新さを狙いたくなるのですが、敢えてそのような手段を取らず正攻法で攻めるほうが実力が上がると個人的には思います。

もちろんそういった手段を知っているに越したことはないのですが、それは基礎的な力を持った上で、適材適所、的確な場面で発揮するからこそ意味があると思うのです。

F100号のキャンバスの前で悶々としている八虎でしたが、その後、ひょんなことから武蔵美に進学した美術部の先輩に会いに行くことに。

先輩には会えなかったものの、先輩の圧倒的な絵を見て自分が何をやるべきかということに遂に気づくことになります。

【11筆目】褒められが発生しました

試行錯誤しながら八虎や遂にF100号の絵を完成させることができました。

僕もデザイン専門学校に通っている時に痛感しましたが、学校の課題以外に、プラスアルファでさらに別の作品を作り上げるというのは、相当な労力を伴います。

課題作品と自主制作作品のクオリティを維持しながら、作品を完成させるというのは至難の業と言えます。

それを八虎はやりきったということになるので、気力・体力・精神力、どれか一つでも欠けていたら、達成できなかったのではないでしょうか。

そんな努力の甲斐もあり、八虎は周りの人たちから描いた絵をメチャクチャ褒められまくります(笑)

作品制作において、自分がいいと思った、あるいは会心の出来だと思ったものを、さらに周りから褒められまくると、やはり嬉しいものです。

そして、次々と課題をこなして行くのですが。。。

人間、一度うまくいったことは再度やりたくなってしまうのですが、八虎も同じように恐らく無意識でF100号でうまくいった方法をアトリエの課題で実践。すると、

「鮮度がない」「挑戦も工夫もない」「以前の焼き直し」「これじゃ受からない」

と、散々な評価を下されてしまいます。いや、結構キツイっすね(苦笑)

アトリエでもデザインの学校でも、僕も散々ダメ出しを喰らいましたが、本当に精神的にズタズタにされます。

それでも、何度も何度も何度も立ち上がって、ボロボロになりながらでも、前に進み続けなければなりません。

好きなことをやるのは、とても楽しいはずなのですが、いつでも楽しいという意味でないというのは、真実かも知れません。

【12筆目】イキリ乙

季節は、美大受験、直前の冬休み。だけど、当然予備校の課題に追われまくります。

八虎も自分なりの武器を探そうと、試行錯誤しています。

アトリエの先生からは「画材の扱いを見直してみたら?」

という提案もあり、色々と実験的に家の中にある、あらゆるものを画材として駆使して描いていきます。

そんな最中に、予備校仲間の世田介くんから、初詣の誘いが。二人の会話の中で、世田介くんの口から、

「俺も、矢口さん見てるとイライラするよ」

の一言。その言葉に、八虎は、めっちゃ喜んで感情を露わにします。

天才的な絵の才能を持った世田介くんから、自分のことをそのように評価され喜んでいるという訳ですが、最初なぜこの流れになるのか、僕はわかりませんでした。

後から、どうでも良い人のことに関しては何の感情も抱かないけど、天才的な才能を持った世田介くんからみても八虎は特別な存在なんだな。と、気づいて合点がいきました。

『ブルーピリオド』第3巻を読み終わってみての感想

第3巻も美大受験生の感情の流れが、丁寧に描かれていて、読んでいて中々苦しくなりましたね(笑)

自分もデザイン専門学校の入試とは言え、八虎たちと同じように美大受験のためのアトリエに通い、デッサンや平面構成の対策を日々やっていたので。

美術は正解がない世界なので、面白いだけではなく、正解が分からず苦しい時間を過ごすことも多々あります。

自分が最高だと思っていても、周りからの評価は酷評だらけだったり。そんなことは日常茶飯事とも言えます。

これから受験当日まで、八虎たちがどのような成長を遂げるのか。それも今後の見所になってきそうです。

この記事を書いた人
めびうすさん

50人前後の組織の中で奮闘するひとり事務員。元広告デザイナー。過酷なデザインの世界から、事務の世界へ転職。
自分のようにデザインの道から逸れてしまっても、楽しく生きて行くための道をこのブログで綴っていきます。

めびうすさんをフォローする
マンガ
スポンサーリンク
めびうすさんをフォローする
めびうすさんの、人生放浪記。

コメント

タイトルとURLをコピーしました